MONEY
2024.02.14
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日本では、全国民が公的健康保険に加入することを義務付けられています。これから社会人になる人や、個人事業主として独立しようとしている人の中には、社会保険と国民健康保険の違いを正しく知っておきたいと考えている人も多いのではないでしょうか。
本記事では、社会保険と国民健康保険の違いについて解説します。両者の概要や切り替え方法も含めてわかりやすく解説するので、最後までチェックしてみてください。
目次
社会保険と国民健康保険の違いを知る前に、まずはそれぞれの概要を理解しておきましょう。
社会保険とは、会社に勤務する正規社員や、一定の条件を満たした非正規社員が加入しなければならない公的保険の総称です。社会保険の中に、健康保険・介護保険・厚生年金保険・労災保険・雇用保険などが含まれています。
一般的には、社会保険といえば健康保険・厚生年金保険・介護保険を指し、労働保険といえば雇用保険と労災保険を指すことが多い傾向にあります。広義では社会保険の中にすべて含まれますが、狭義では先述した3つを指すと覚えておくといいでしょう。
本記事では、社会保険の中でも国民健康保険の比較対象となりうる健康保険を定義し、解説を進めます。
社会保険の健康保険とは、病気や怪我をした際に備えた保険です。健康保険があることで、病気や怪我で医療機関を受診しても窓口での支払いは一定の負担で済みます。ほかにも、出産した際に一時金や手当金が給付されたり、病気や怪我で働けなくなったときに傷病手当金が給付されたりするのも社会保険における健康保険の特徴です。
なお、勤務中に病気や怪我をした場合には、健康保険ではなく労災保険が適用される点も理解しておきましょう。
国民健康保険とは、企業に属していない個人事業主やフリーランス、無職、年金受給者などが加入する健康保険です。日本は国民皆保険制度を設けており、企業に勤めていなければ社会保険に加入できないため、原則国民健康保険に全員加入しなければなりません。
社会保険とは違い、国民健康保険は市区町村によって運営されています。病気や怪我で医療機関を受診した際に一定の支払いのみで済む点や、出産一時金が給付される点などは同じですが、社会保険に比べるとさまざまな点で保障が薄いのが特徴です。以降で保障内容の差についても詳しく解説しているので、続けて確認してみてください。
社会保険(健康保険)と国民健康保険の概要を理解したら、双方をさまざまなポイントで比較してみましょう。
社会保険の加入対象者は、主に企業の従業員とその扶養家族、公務員や私立学校の教職員とその扶養家族です。一方、国民健康保険の加入対象者は社会保険に加入していないすべての人です。
ちなみに、社会保険の健康保険には協会けんぽ・組合健保・共済組合の3つがあります。協会けんぽは全国健康保険協会が運営しており、中小企業の従業員とその扶養家族を対象としています。組合健保は、企業の健康保険組合によって運営されており、大企業の従業員とその扶養家族が対象です。
共済組合は、職種や地域ごとの共済組合が運営しており、公務員や私立学校の教職員およびその扶養家族が加入できます。追って詳細は解説しますが、国民健康保険には扶養制度がないため、世帯主が国民健康保険加入者であれば、たとえ扶養の条件にあてはまる家族がいたとしても全員国民健康保険に加入しなければなりません。
社会保険料の計算方法は、被保険者の年齢や4~6月に支払われた手当などの報酬平均額から、標準報酬月額を出します。一方、国民健康保険は、被保険者の収入や年齢をもとに保険料が計算されます。
社会保険は、加入している保険組合や都道府県によって料率が異なるほか、40歳になった月からは介護保険料も加算されるのが特徴です。決定した保険料は会社と折半して支払うため、国民健康保険に比べて負担が少ない傾向にあります。
国民健康保険は市区町村が運営しているため、住んでいる場所によって保険料は変動します。会社と折半して支払うような仕組みはないため、全額負担しなければなりません。
社会保険には扶養の考え方がありますが、国民健康保険にはありません。国民健康保険では扶養に入ることができないため、たとえ扶養の条件に当てはまる家族がいたとしても、家族全員が国民健康保険に加入して支払いをする必要があります。
社会保険では、扶養に入れる人数に応じて被保険者の保険料が変わることはありません。年間収入が130万円以下の家族なら、基本的に扶養に入れます。
国民健康保険には扶養がなく、仮に収入のない配偶者や子どもがいても各々に保険料がかかります。仮に配偶者とこどもが扶養に入っていた状態から、世帯主が個人事業主になって扶養がなくなると、保険料の負担が大幅に増える可能性がある点に注意が必要です。
社会保険と国民健康保険では、加入者の保険証に記載された番号の桁数が異なります。社会保険に加入している人の保険証では、保険者番号が8桁です。国民健康保険の保険証には、6桁の保険者番号が記載されています。ただし、国民健康保険の加入者であっても、企業から退職した後の場合は8桁です。
また、社会保険であれば事業所の名称が書かれていますが、国民健康保険の場合は運営元の市区町村や都道府県名が書かれています。左上に、健康保険か国民健康保険かも大きく書かれているので、見分けはすぐにつくでしょう。
社会保険と国民健康保険の保障内容には、大きな差があります。社会保険のほうが保障は手厚く、出産や万が一の入院などにも対応しているのが特徴です。
社会保険にあって国民健康保険にない代表的な保障には、傷病手当金の支給と出産手当金の支給が挙げられます。
社会保険に加入していれば、万が一病気や怪我で長期的に働けなくなっても、給料のうち一定額が支払われるため生活に困ることはほとんどありません。出産により働けない期間には、出産手当金が支払われるため余裕を持って育児に専念できます。
一方で、国民健康保険には傷病手当金も出産手当金もありません。万が一病気や怪我で長期的に働けなくなれば、その分収入は途絶えてしまいます。出産育児一時金は国民健康保険でも支給がありますが、出産手当金はないため経済状況によっては出産後すぐ仕事へ復帰しなければならないケースがあるでしょう。
なお、出産育児一時金のほかに、医療費の自己負担割合や高額療養費制度についてはいずれも同様に保障されます。
次に、社会保険と国民健康保険を切り替える方法について解説します。会社員から個人事業主になった人だけでなく、その反対も解説するのでチェックしてみてください。
会社に勤めて社会保険に加入していた人が、何らかの事情によりフリーランスや個人事業主、無職になった場合には、居住地の市役所や区役所に行って国民健康保険へ切り替え手続きを行いましょう。
窓口での手続きには、前職の社会保険を脱退したことがわかる証明書が必要です。健康保険資格喪失証明書や退職証明書、離職票などを持参してください。身分証明書やマイナンバーが確認できる書類も求められる可能性が高いので、持参しておきましょう。
社会保険の資格喪失日から14日以内に役所へ届け出る必要があり、万が一遅れた場合は遡って保険料を支払わなければならず、まとめて負担がかかってしまうので注意してください。日本は国民皆保険制度が設けられているので、社会保険の資格を喪失した日から自動的に国民健康保険料が発生します。
健康保険証が手元に届くまでには一定の日数がかかるため、なるべく早めに手続をしておくといいでしょう。手続きをせず保険証が手元にない場合は、医療機関の窓口で全額負担しなければならないため注意が必要です。
個人事業主やフリーランス、無職などから会社員になり社会保険に加入する場合は、市区町村の役所へ行って国民健康保険の脱退手続きを行いましょう。新しく入社する会社の社会保険は、基本的に会社側がすべて手続きを行ってくれます。
役所へ行って脱退手続きを行う場合は、国民健康保険証と新しい会社の健康保険証、マイナンバーがわかる書類などが必要です。都道府県や市区町村によって異なる可能性があるので、事前にホームページで確認しておきましょう。
国民健康保険証の脱退手続きが遅れると、保険料の減額や返還ができなくなる可能性があるので、遅れずすぐに手続きを行ってください。
社会保険の任意継続制度とは、入社から退社までの間に2か月以上社会保険に加入していた場合に、退職後も社会保険に継続して加入できる制度を指します。
任意継続制度を利用すれば、退職後も国民健康保険に加入する必要はありません。任意継続保険者になれば、一部例外はあるものの、原則として企業に在籍中と同様の保険給付を受けることが可能です。
社会保険の任意継続制度を利用したい場合は、退職日の翌日から20日以内に任意継続申請を行う必要があります。継続して加入できるのは、2年間だけと定めもあります。
保険給付に加えて、任意継続すれば扶養もそのまま継続される点もメリットです。国民健康保険に加入すると該当する家族が扶養から外れ、世帯としての保険料負担が大きく増えてしまう場合があるため、状況に応じて活用するといいでしょう。収入状況によっては国民健康保険のほうが安くなる場合もあるので、慎重に検討することが重要です。
なお、企業に在籍中は会社と折半して保険料を負担できましたが、任意継続すると全額自己負担になる点も理解しておきましょう。
本記事では、社会保険(健康保険)と国民健康保険の違いについて解説しました。社会保険は主に企業に属する正規社員や条件を満たした非正規社員が加入するもので、国民健康保険はフリーランスや個人事業主、無職の人が加入するものです。
両者にさまざまな違いはありますが、大きなポイントは保障内容の違いといえるでしょう。とくに、家族がいる人や出産を控えている人にとっては、支払い負担や給付金などに大きな差が出ることがあるため事前に確認しておく必要があります。
社会保険から国民健康保険、もしくは国民健康保険から社会保険に変わった場合は、速やかに所定の手続きをすることも忘れないようにしましょう。