MONEY
2024.01.02
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2024.01.02
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「個人事業をもっと大きくしたい」「節税効果を高めたい」といった理由から、法人化を検討する個人事業主も多くなっています。
しかし、法人への切り替えは、タイミングを見計らうことが非常に重要です。
誤った時期に法人化してしまうと、メリットを最大限に活かせないだけでなく、事業を展開する上でリスクを高める可能性もあります。
長期的に事業運営していくためにも、個人事業を法人化するタイミングや月を考えましょう。
この記事では、法人化の適切なタイミングをテーマに解説していきます。
利益、売上、節税の3つの観点から判断するポイントや、法人化の注意点も併せてご紹介するので、知識を深めてスムーズかつ効率的に法人化を進めてくださいね。
目次
個人事業主の中には、法人への切り替えを考えている方もたくさんいます。
法人化するにあたって、ベストなタイミングを見極めなければなりません。
タイミングを見誤ることで経済的なメリットが減ってしまう可能性も高く、「しっかり調べてから法人化すべきだった」「やっぱり個人事業主のままでいた方が良かった」といった後悔に繋がる恐れもあります。
法人化による事業の利益を高めるためにも、以下では個人事業主から法人化にする適切なタイミングについて深堀していきます。
個人事業の所得が800万円以上、資金調達の必要性、事業拡大、2年前の売上が1,000万円以上の4つに分けてお話しするので、法人化を考えている方は参考にしてくださいね。
法人に切り替えるベストなタイミングのひとつに、個人事業の所得額が挙げられます。
個人事業主の所得税は累進課税率か適用されていますが、法人税は比例税率で計算されます。
以下は、それぞれの税率をまとめた表です。
所得税 |
|
課税対象となる所得金額 |
税率 |
~195万円 |
5% |
195~330万円 |
10% |
330~695万円 |
20% |
695~900万円 |
23% |
900~1,800万円 |
33% |
1,800~4,000万円 |
40% |
4,000万円~ |
45% |
法人税 |
|
課税対象となる所得金額 |
税率 |
~800万円 |
15% |
800万円~ |
23.20% |
法人化すべき目安は、所得額800万円に到達するタイミングです。
所得税では23%の税率ですが、法人税であれば15%となります。
控除額を踏まえて考えても法人税の方が節税効果は高くなるので、法人への切り替えが最適です。
尚、事前準備や条件の確認をしっかりと行うためにも、所得が700万円を超えたあたりで専門家に相談するのがおすすめです。
スムーズに資金調達をしたい場合は、法人への切り替えを視野に入れてみましょう。
個人事業を法人化することで、株式の発行による資金調達が可能となります。
株式とは、法人への出資者に対して発行する証券のことを指します。
出資者は株式を購入することによって株主となり、法人に関するさまざまな権利や特典を得られる仕組みです。
株式による資金調達には、返済の義務がないというメリットがあります。
株主が株式を手放したい場合、株主自身が株式を新たに購入したい人を見つけなければなりません。
法人にとっては経済的メリットが大きく、最もメジャーな資金調達方法のひとつとして考えられています。
個人事業主のままでは株式を発行できないので、資金調達したい場合は法人の設立が必須です。
尚、ほかの資金調達方法に、金融機関の利用が挙げられます。
個人事業主でも融資は受けられますが、社会的な信用度が高い法人の方が有利だということを覚えておきましょう。
事業を拡大したい場合、個人事業主から法人に切り替えるのがおすすめです。
登記申請などを経て設立される法人は、開業届のみを提出する個人事業主よりも社会的信用が高いです。
社会的信用を重視している企業は多く、取引や契約する際に法人のみを候補に考えている企業もたくさんあります。
個人事業主では事業拡大という点において不利になるため、さらなるビジネス展開を目指す場合は法人への切り替えを進めましょう。
また、法人化に伴って、多種多様な助成金・補助金制度を活用できます。
助成金・補助金制度の中には、個人事業主を対象外としているものも多くなっています。
一方で、法人の場合はさまざまな選択肢があり、法人設立に関する制度の数も豊富です。
助成金・補助金制度の活用によって事業をさらに大きくするチャンスも増えるので、「個人事業の経営展開に限界を感じている」「今よりももっとビジネスを発展させたい」という方は検討してくださいね。
2年前の売上が1,000万円に到達したら、法人化を視野に入れてみましょう。
法人化によって、最長で2年間の消費税の支払い免除になるという話を聞いたことがありますか?
個人事業主や法人が消費税課税事業者になるか否かは、2期前の事業年度の売り上げが判断基準となります。
1,000万円を超えると納税義務が生じますが、法人は設立から最初の2期は基準となる事業年度の売り上げがないため、例外を除いて消費税の免除対象です。
もし個人事業の売り上げが1,000万円を超えるにもかかわらず個人事業を継続する場合、消費税の納税開始は2年後です。
しかし、個人事業の売り上げが1,000万円に到達して2年後に法人化すると、追加で2年間が免税期間となります。
個人事業と法人は別の事業として考えられるため、個人事業主時代の売り上げや期間は法人設立後にカウントされません。
免税期間を延長したいのであれば、売上1,000万円が法人化する目安です。
法人化するにあたって、タイミングを判断することが必要不可欠です。
ただし、法人に切り替えるベストなタイミングは複数あり、自身の個人事業に合わせて法人化する時期を選ばなければなりません。
もし個人事業を法人化するなら、利益、売上、節税の3つを基準に考えてみましょう。
それぞれの特徴や概要を把握することで、自身の個人事業が法人化に適した基準に達しているのかどうか検討しやすくなります。
ここでは、利益、売上、節税の観点を基に法人化のタイミングについて解説していくので、「個人事業が法人化するタイミングに来ているのかどうか分からない」「法人化したいけどどの時期を選ぶか迷っている」という方は判断材料として役立ててくださいね。
利益を基準に法人化のタイミングを判断する場合は、所得金額に着目しましょう。
法人税の税率は所得800万円以下で15%、800万円以上では23.20%となっており、800万円を超えるとどんなに利益が増えても23.20%で固定されます。
対照的に、個人事業主は最大45%の税率なので、所得金額が800万円に達したところで法人へ切り替えるのがおすすめです。
ただし、個人事業主の場合は、所得金額に応じて以下のような控除を受けられます。
課税対象となる所得金額 |
控除額 |
~195万円 |
0円 |
195~330万円 |
97,500円 |
330~695万円 |
427,500円 |
695~900万円 |
636,000円 |
900~1,800万円 |
1,536,000円 |
1,800~4,000万円 |
2,796,000円 |
4,000万円~ |
4,796,000円 |
具体的な控除の金額も含めて計算し、自身にとって最もバランスの取れた利益を理解した上で法人化すべき所得金額を割り出しましょう。
法人化を見極めるタイミングのひとつが、売上金額です。
年間の売上が1,000万円に達すると、個人事業主も法人も2年後から消費税課税事業者として扱われます。
もし個人事業を継続する場合は2年後から消費税の納税義務が発生しますが、年間の売上が1,000万円を超えた2年後に法人化すると免税の対象となります。
法人の納税義務を判断する基準期間は、2期前の事業年度です。
設立して間もない法人には2期前の事業年度が存在せず、個人事業の売上は法人とは切り離して考える仕組みになっています。
そのため、法人設立から2期目が終了するまで納税義務は発生しません。
もし個人事業主で年間の売上が1,000万円以上という場合は、経済的負担を軽減するために2年後から法人化するのがおすすめです。
ただし、以下のケースでは消費税免除の対象外となるので注意しましょう。
・資本金1,000万円以上
・特定新規設立法人の設立
・相続による事業継承
・消費税課税事業者である
法人への切り替えを考えている方の中には、「節税対策を強化したい」「個人事業が軌道に乗ってきて納税金額の負担が大きくなってきた」といった悩みもあるのではないでしょうか?
節税効果を高めたいのであれば、所得金額を基準にタイミングを決めるのがおすすめです。
個人事業主と法人では、税率の計算方法に違いがあります。
個人事業主は所得金額ごとに税率が異なる累進課税が採用されている一方、法人税では2種類のみの税率が使われる比例税率です。
累進課税では所得金額が増えるほど納税金額も大きくなるため、一定のレベルに到達した時点で法人に切り替えるようにしましょう。
一般的には、所得800万円が法人化を検討する最適なタイミングです。
法人の最大税率は所得800万円以上で23.20%となっており、個人事業主は695~900万円の所得で税率が23%です。
もし所得が800万円を大幅に超える場合は、法人化によって節税効果をアップできます。
タイミングによってはさまざまなメリットを得られる法人化ですが、注意すべき点も把握しておきましょう。
長期的な消費税の免除期間を獲得するためにも、法人に切り替える月を見極める必要があります。
決済の設定時期によっては1年近い免除期間の誤差が生まれるので、ルールを理解した上で選択することが大切です。
また、個人事業主と違って、法人は社会保険への加入が必須となります。
従業員の数によっては社会保険料の負担が大きいので、事前に増加額をある程度計算しておきましょう。
尚、法人では例え事業が赤字でも納税義務が発生する仕組みになっており、リスクが高いというデメリットもあります。
以下では、法人化の注意点についてさらに詳しく見ていきます。
消費税の免除期間を最大限にするためにも、法人化する月を考えてみましょう。
条件をクリアしている法人は、2期分にわたって消費税の支払いが免除されます。
注意すべきは、1期分の区切りです。
通常、法人の1期分は決済をもって終了となります。
法人の決済は自由に設定できるルールになっており、1年間の好きな月を決済の時期にできます。
もし決済を12月にしたい場合、1月に法人を設立すると2期分で24か月間が税金の免除期間です。
一方、法人の設立を11月にしてしまうと、設立翌月の12月の決済をもって1期分が終了してしまいます。
2期分で13ヶ月間の免除にしかならないので、設定したい決済月を基準に設立月を決めましょう。
尚、決算月を決める際は、原則として閑散期を選ぶのがおすすめです。
繁忙期では利益の誤差が生じやすく、決済の手続きと同時進行で業務を進める上で負担も大きくなるので、スムーズに事業運営するためにも閑散期を選んでくださいね。
法人の設立に伴って、社会保険へ加入しなければなりません。
社員5名以上で加入義務が発生する個人事業主と違い、法人では社員1名から加入が必須となります。
社会保険料の納税負担がかかるため、個人事業主よりも出費がかさみやすい点に注意しましょう。
法人が支払う社会保険には、健康保険、厚生年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険の5種類があります。
法人側の保険料の負担割合は社会保険の種類によって異なり、具体的には以下のようになっています。
社会保険の種類 |
保険料の負担割合 |
健康保険 |
50% |
厚生年金保険 |
50% |
介護保険 |
50% |
雇用保険 |
法人>従業員 |
労災保険 |
100% |
健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料は法人の負担が50%となっており、労災保険料に関しては全額支払う必要があります。
個人事業で社会保険に加入していなかった場合は、保険料による出費の差額が大きくなるということを念頭に置いて法人化を進めるようにしましょう。
法人化する際の注意点に、赤字でも税金の納税義務がある点が挙げられます。
法人が支払う税金の中で、法人税と法人事業税は利益に応じて課せられる税金です。
そのため、もし事業が赤字の場合は、法人税と法人事業税を納める必要はありません。
一方で、法人住民税の均等割と消費税は利益に関係なく納税義務があり、赤字であっても税金がかかるということを覚えておきましょう。
法人住民税には、法人税割と均等割の2種類が存在します。
法人税割は利益によって納税金額が変わりますが、均等割では全ての法人が一定金額の税金を納める仕組みになっています。
赤字の事業でも必ず納めなければならないので、経営不振に陥っている場合は経済的負担が大きくなりがちです。
また、条件を満たしている免税事業者を覗いて、法人には消費税の納付が義務付けられています。
利益に関係なく納税すべき税金なので、事業が赤字である場合の経済的リスクについても把握してくださいね。
もし節税対策、資金調達、事業拡大を目的に法人化を進めるなら、最適なタイミングを意識しましょう。
所得800万円や売上1,000万円が法人に切り替えるタイミングとなりますが、理由や背景をきちんと理解することで経済的メリットをさらに高められます。
今回ご紹介した利益、売上、節税という3つの観点に着目し、自身の事業の状況と照らし合わせてくださいね。
また、消費税の免除を最長まで引き延ばしたいなら、法人化する月も考える必要があります。
免除期間は決済の時期が基準になるので、決算月を設定する上でのコツやポイントもチェックしておきましょう。
ただし、法人化によって、社会保険料の支払いや事業や赤字の場合も納税義務が発生します。
個人事業主よりも責任やリスクが大きくなるので、長期的な視点から法人への切り替えを決定することが大切です。
法人化するタイミングの判断基準を把握して、個人事業を今よりも大きく成長させてくださいね。