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2023.12.31

個人事業主が法人化するメリット・デメリットは?個人事業主との違いも解説

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事業拡大、リスクマネジメント、税負担の軽減など、個人事業主が法人化を検討する理由はさまざまです。

事業を次のステップに繋げる上で重要な役割を持つ法人化ですが、個人事業とは異なる部分も多くなっています。

「法人化でさらなるビジネス展開を狙いたい」「法人化したいけど失敗は避けたい」と考えているなら、法人化の注意点なども含めて知識を深めることが大切です。

この記事では、法人化の概要や個人事業主との違い、法人化によるメリットとデメリット、法人化する流れの3つをテーマに解説していきます。

トラブルや後悔を未然に防ぎながら法人化を進めるためにも、個人事業を法人化する上で最適なタイミングについても抑えていきましょう。

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    法人化とは?個人事業主との違い

    法人化とは?個人事業主との違い

    法人化という言葉に対して、「法人化ってそもそもどういう意味があるの?」「個人事業主と何が違うの?」といった疑問を持つ方もいるのではないでしょうか?

    法人化とは、事業を法人に切り替えることを指します。

    法人化のメリットを最大限に活かすためにも、個人事業から法人化するベストなタイミングを知っておくことが重要です。

    手続きを行うことではじめて法人化は適用となりますが、個人事業をスタートする場合よりも複雑なプロセスを踏む必要があります。

    また、法人と個人事業主と比較すると、事業開始の手続き・費用、納める税金、会計、社会保険の4つに違いが見られます。

    ここでは、法人化の詳細と個人事業主との違いについて詳細を確認していきましょう。

     

    法人化とは

    法人化とは、個人事業主の事業を法人に移し替えることです。

    法人成りという言い方をすることもあり、個人事業主として運営していた事業を法人化した後も引き継ぐ形になります。

    個人事業主から法人化するなら、所得が800万円に到達しているか売上高が1,000万円以上になったタイミングが最適です。

    節税対策における効果が高くなるため、もし所得や売上高の条件を満たしている場合は個人事業の法人化を検討してみましょう。

    尚、個人事業主になる際に開業届を提出するように、法人化に伴って法人設立届出書などの書類を届け出る必要があります。

    手続きを済ませていないにもかかわらず法人を名乗るのは違法なので、きちんと手順を踏むことがポイントです。

     

    個人事業主と法人の違い

    個人事業主と法人は、事業開始の手続き及び費用、支払う税金、会計、社会保険に関する違いがあります。

    個人事業を開始する場合、提出するのは開業届のみです。

    対照的に法人では法人登記を済ませる必要があり、会社印も併せて準備しなければなりません。

    個人事業主はコスト0円からでも事業を始められますが、法人は法定費用と資本金が必須です。

    また、個人事業主が支払う税金には、所得税、個人住民税、消費税、個人事業税があります。

    法人では法人税、法人住民税、法人事業税、消費税の納税義務があるので、事前に正しく理解しておくことが重要です。

    会計に関しては、個人事業主は確定申告のみである一方、法人は法人決算書や申告を行います。

    税理士が必要になることが一般的なので、出費がかかりやすくなっています。

    尚、個人事業主で従業員が5人以下の場合は社会保険の負担がありませんが、法人では従業員の数にかかわらず保険料の支払いが発生する点に注意しましょう。

    法人化するメリット

    法人化するメリット

    法人化するにあたって、気になるのがメリットです。

    「個人事業主として事業を続けていく場合と何が違うの?」「どうしてわざわざ法人化する必要があるの?」と考えている方も多いものの、実は法人化はよりスムーズな事業運営を実現してくれます。

    法人化するメリットについて、社会的信用、節税効果、有限責任の3つの観点から以下で詳しくレクチャーしていくので、法人化を検討している個人事業主の方はぜひチェックしていきましょう。

     

    社会的な信用度が高まる

    個人事業を法人化する大きなメリットに、社会的な信用度が高まる点が挙げられます。

    法人化することで組織として扱われるため、個人事業よりも継続性の高いビジネスと判断されやすいところが特徴です。

    また、開業届を提出するだけで登録が完了する個人事業主と違い、法人では登記を行わなければなりません。

    登記をすると、謄本に企業の社名、住所、資本金、事業目的、役員名、代表取締役の住所といった詳細が記載されます。

    登記の記載事項は法務局にて誰でも閲覧できる仕組みになっており、公的機関で情報が公開されているという点で個人事業主よりも社会的な信用に繋がります。

    個人事業主の情報は、公的機関では確認不可というのが一般的です。

    法人と比べて社会的信用が劣ることから、個人事業主に仕事を依頼しないという企業も多い傾向にあります。

    社会的な信用度を重視する企業との取引数や収益の増加を目指すのであれば、個人事業の法人化を検討してみましょう。

     

    節税効果がある

    法人化することで、所得金額によっては個人事業主よりも節税効果が高まります。

    法人と個人事業主では異なる税率が設定されており、以下は個人事業主の所得金額に応じた税率をまとめた表です。

    課税対象となる所得金額

    税率

    ~195万円

    5%

    195~330万円

    10%

    330~695万円

    20%

    695~900万円

    23%

    900~1,800万円

    33%

    1,800~4,000万円

    40%

    4,000万円~

    45%

    次に、法人の所得金額に応じた税率を見てみましょう。

    課税対象となる所得金額

    税率

    ~800万円

    15%

    800万円~

    23.20%

    個人事業主の場合、所得金額が増えるに従って税率も上昇していきます。

    最も高い税率は、所得金額4,000万円以上の45%です。

    一方、法人においては、800万円以下と800万円以上の2種類の税率のみとなっています。

    800万円以上の所得金額は一律23.20%なので、所得金額によっては法人を設立する方が納める税金額が低くなるというメリットがあります。

     

    有限責任で済む

    「有限責任」や「無限責任」という言葉を聞いたことはありますか?

    名称からもイメージできるように、有限責任とは事業における責任を負う範囲に限界があることを指します。

    一方の無限責任には上限がなく、事業に関する全ての責任を負担しなければなりません。

    法人化している場合、事業主には有限責任が課せられます。

    出資金額が責任の上限となっており、資本金500万円の法人では経済的責任を負うのも500万円までです。

    対照的に、個人事業主は無限責任で事業を営むシステムになっています。

    責任の範囲はなく、経営不振などに陥っても負債は100%個人のものと見なされます。

    例え事業を運営する上で発生した未払い金や借入金であっても、事業主が個人的に責任を負わなければならない点に注意が必要です。

    個人事業を法人化することにより、経済的なリスクを最小限に抑えられます。

    自身の資産を守りながら経営したい場合、有限責任で済む法人は大きなメリットです。

    法人化するデメリット

    法人化するデメリット

    多くのメリットを兼ね備えた法人化ですが、デメリットがあるということも忘れてはいけません。

    経済的なデメリットが、設立・閉鎖費用と社会保険料の支払い負担です。

    法人の設立にはさまざまな手続きが含まれており、認証や登録に伴って出費がかさみます。

    月々の社会保険料もかかるため、長期的な経済的負担を把握しておきましょう。

    また、個人事業主と法人では異なる書類の作成などが必要となり、事務作業の増加に伴う手間や時間の消費にも注意が必要です。

    ここでは、法人化によってもたらされる3つのデメリットを深堀していきます。

    設立や閉鎖にかかる出費、社会保険への加入、事務作業の負担について理解を深め、納得した上で法人化を進めてくださいね。

     

    設立や閉鎖に費用がかかる

    個人事業を法人化する場合、設立や閉鎖に関する出費がデメリットとなります。

    法人の設立にかかる主な費用は、法定費用、資本金、雑費の3つです。

    法定費用には、定款の認証手数料と謄本手数料が含まれます。

    法人登記の申請を法務局で行うにあたって登録免許税も必要となり、株式会社と合同会社で異なる金額が設定されている点に注意しなければなりません。

    また、資本金の具体的な金額は特に決まっていませんが、一般的には初期費用と運転資金3か月分が目安とされています。

    事業所の設置や備品購入費などもかかる可能性が高いので、ある程度まとまった金額の資本金を準備しておくことが大切です。

    雑費に関しては、実印の作成代、印鑑証明書代、登記事項証明書の発行費などがかかります。

    個人事業を廃止する手続きにおいては、手数料などは支払う必要はありません。

    ただし、法人化に伴って事業所や設備を新しくする場合は、処分費用や清掃費などを負担することになります。

     

    社会保険に加入する必要がある

    法人化するデメリットのひとつに、社会保険にかかる費用が挙げられます。

    個人事業主の場合、従業員が5名を超える事業において社会保険の加入義務が課せられます。

    一方、法人に関しては、従業員の数にかかわらず必ず社会保険に入らなければなりません。

    そのため、社長のみや従業員が1名という法人でも社会保険の加入義務が発生する点に注意が必要です。

    法人が支払う社会保険には、健康保険、厚生年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険の5種類が含まれます。

    健康保険、厚生年金保険、介護保険は50%、雇用保険は雇用者の負担割合が多い、労災保険は雇用者側が100%を負担することになるので、個人事業主としてビジネス運営するよりも出費が多くなるということを覚えておきましょう。

    ただし、社会保険の費用はかさみますが、企業の福利厚生の充実度はアップします。

    企業全体の評判向上や質の良い従業員の確保にも繋がるため、投資という観念で考えるとメリットです。

     

    事務作業の量が増加する

    個人事業主と法人では、会計に関する提出書類が異なります。

    提出書類の準備や作成に伴って事務作業の量が増えてしまうため、「法人化して業務の負担が大きくなった」「個人事業主のときよりも事務作業に時間を取られている」と感じる方も多くなっています。

    法人化することで最も負担が大きくなる事務作業が、法人税申告書の作成です。

    法人は法人税を支払う義務があり、納税にあたって法人税申告書を税務署に提出します。

    法人税申告書の作成には、決算報告書、勘定科目内訳書、法人事業概況説明書、適用額明細書などが必要なので、準備段階から事務作業が多いということを覚えておきましょう。

    もし法人化による事務作業の量を最小限に抑えたいなら、税理士に依頼するのがおすすめです。

    事務作業を自身で行わずに済むため、事業に専念できるところがメリットです。

    税理士に依頼するコストはかかりますが、事務作業の負担が大きい場合は選択肢として考えてみましょう。

    法人化の流れ

    法人化の流れ

    いざ個人事業を法人化しようとしても、具体的な手順や流れが分からないという方もたくさんいます。

    法人化の手続きを行う場合、個人事業の開業よりも多くのプロセスを踏むことになります。

    法人の設立、個人事業主の廃業、資産や負債の引き継ぎ、行政関連の手続きなどが含まれており、大まかな手順はもちろん、各プロセスで行うべきことを明確に把握しておくことが重要です。

    ここでは、法人化する上で必須となる4つのプロセスについて詳しくお話ししていきます。

    「法人化って具体的にはどんなことをするの?」「やることが色々ありそうでどんな順番で手続きすべきか分からない」といった疑問を解決して、個人事業をスムーズに法人化してくださいね。

     

    法人を設立する

    法人を設立するにあたって、大きく5つのステップに分けられます。

    1つ目のステップが、社名、所在地、資本金、設立日、事業目的、株主の構成、会計年度といった会社の概要の設定です。

    次に、登記申請の際に必要な法人の実印を作ります。

    社名を決めた段階で実印の作成を行い、法務局に印鑑届書を提出して登録しておきましょう。

    3つ目の作業に、定款の作成と認証が挙げられます。

    定款とは、通称・会社の憲法とも言われており、法人の規則などが記載された書類のことです。

    1つ目のステップで設定した事項が含まれるほか、トラブルを回避するためのルールを加えることも可能です。

    作成した定款は、公証役場で認定を受ける必要があります。

    定款の認証が完了したら、出資金を銀行、信用金庫、労働金庫、信託銀行、ネット銀行などの払込取扱機関に支払います。

    最後のステップは登記申請書の提出で、作成した登記申請書を法務局に届け出れば法人の設立手続き完了です。

     

    個人事業主を廃業する

    法人の設立に伴い、運営してきた個人事業を廃業する必要があります。

    個人事業の廃業手続きを行う際は、以下の書類を提出しましょう。

     

    ・廃業届

    ・給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書

    ・青色申告の取りやめ届出書

     

    廃業届は、税務署と都道府県税事務所の両方に対して提出しなければなりません。

    税務署に提出するのは事業廃止届出書ですが、都道府県税事務所宛ての書類の具体的な名称は都道府県ごとに違うので注意が必要です。

    また、従業員に対して給与を支払っていた個人事業主のみ、給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書の提出対象となります。

    確定申告の際に青色申告を利用していた個人事業主は、税務署に提出する青色申告の取りやめ届出書も忘れずに用意しましょう。

    尚、青色申告の取りやめ届出書は、個人事業を廃業する年の翌年3月15日が提出期限です。

    個人事業主の状況によって揃えるべき書類内容が異なるため、事前確認と準備を徹底してくださいね。

     

    資産や負債を引き継ぐ

    個人事業を法人化する場合、個人事業時代の資産や負債の引き継ぎが必須となります。

    具体的なものが、棚卸資産、固定資産、売掛金・貸付金・買掛金、借入金の4つです。

    資産に関しては、売買契約、現物出資、賃貸の3つの移行方法があります。

    売買契約

    個人事業の資産を法人がそのまま買い取るため、最もシンプルな手続き

    現物出資

    資産を法人に出資する形式で、現金ではなく株式などで支払いを行う

    無形の資産に対しても有効

    賃貸

    個人事業の資産を法人に貸す仕組みで、資金に余裕がない場合に最適

    一方で負債を引き継ぐ場合、重畳的債務引受けと免責的債務引受けの2種類があります。

    重畳的債務引受け

    法人と個人事業主が一緒に負債を引き受ける

    根抵当権の債務者に法人を加える

    免責的債務引受け

    法人が負債を引き継ぎ、個人事業主は連帯保証人という扱いになる

    根抵当権の債務者は法人に切り替える

    個人事業と法人の状態や資金状況などに合わせて、適切な引き継ぎ方法を選びましょう。

     

    行政関連の手続きをする

    法人化する際の最後のプロセスが、行政に対して行う手続きです。

    法人設立届出書、青色申告の承認申請書、法人設立届出書を提出する必要があり、従業員がいる場合は給与支払事務所等の開設届出書、源泉所得税の納期の特例に該当する際は承認申請書も準備しましょう。

    それぞれの書類には決められた届け出先と提出期限があり、具体的には以下のようになっています。

     

    届け出先

    提出期限

    法人設立届出書

    税務署

    法人設立日から2ヶ月以内

    青色申告の承認申請書

    税務署

    法人設立日から3ヶ月以内

    法人設立届出書

    都道府県税事務所と市区町村

    都道府県や市区町村ごとに異なる

    給与支払事務所等の開設届出書

    税務署

    最初の給与支払日まで

    源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書

    税務署

    納期特例が該当する月の前月まで

    法人化は、行政関連の手続きをもって完了となります。

    提出を怠ると法人として機能しなくなるので、忘れずに該当する全ての書類を提出するように心掛けてくださいね。

    まとめ

    まとめ

    個人事業をさらに拡大していきたいなら、法人化を視野に入れましょう。

    社会的な信用獲得による収益アップ、節税対策、経営不振に陥った場合に有限責任で済むといったメリットがあり、リスクマネジメントを強化したい場合にもおすすめです。

    特に節税効果に関しては、所得金額によっては大幅な出費削減に繋がります。

    税率は所得金額ごとに異なるため、個人事業から法人に切り替えるタイミングなどもしっかりと見極めましょう。

    ただし、法人の設立や個人事業の閉鎖にかかる出費、社会保険への加入義務、事務作業の増加も伴うことから、経済的・精神的な負担が大きくなりがちです。

    デメリットを把握しておくのはもちろん、税理士を利用するなど上手く対策を練る必要があります。

    法人化の手続きは、順を追って進めていかなければなりません。

    漏れがあるとトラブルに発展する恐れもあるため、プロセスをきちんと理解した上でビジネスを法人化していくことが大切です。

     

     

     

     

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      投稿者プロフィール

      フリマネ編集部
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