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2023.07.06

法人化しない理由9選|個人事業主は法人化を本当にすべきでない?

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売上が順調に伸びてきたときや、事業規模を拡大したいときなどに個人事業主が検討する法人化。所得税率が下げられる、経費にできるものが増えるなどメリットをよく耳にするものの、法人化はしないという声も一部あります。法人化を検討している人のなかには、法人化しないと決めた理由を知りたい人も多いのではないでしょうか。

 

本記事では、法人化しないと決めた人がどんな理由で決定に至ったかを紹介します。法人化のメリットも紹介するので、あわせて確認したうえでどうするか決める材料にしてください。

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    法人化しない理由とは?

    法人化しない理由とは?

    早速、法人化しないと決めた人がどんな理由で決断したか、よくあるパターンを9選紹介します。自分にも当てはまりそうか確認しながら読み進めてみてください。

    そもそも法人化することにお金と手間がかかる

    法人化しない理由には、そもそも法人化することにお金や手間がかかることが挙げられます。株式会社を設立する場合には、手続きに約22〜25万円ほどの費用が必要です。合同会社なら10万円ほどで設立できますが、決して安い金額ではありません。

     

    また、法人を設立するまでには、さまざまな手続きをふむ必要があります。会社の基本情報を決定する、印鑑を購入する、定款を作成して認証を受ける、資本金の払い込みを行う、法務局で登記申請をするなど、あらゆる高度な手続きをふまなければいけません。

     

    とくに登記にはさまざまな書類を用意する必要があるほか、少しでも不備があるとやり直しになるため、司法書士に依頼する人もいます。司法書士に依頼するとなると、また追加で費用が必要です。

     

    お金もかかるうえに手間までかかるとなれば気軽には行えないため、個人事業主として続けることのほうがメリットが大きいと感じる人が一定数いると予測できます。

    赤字が出ても住民税の支払いが必要

    法人になると、仮に業績が悪く赤字を出してしまっても、住民税は免除されません。個人事業主だと、赤字を出せば税金を支払う必要がありませんが、法人住民税は赤字であっても最低7万円ほどかかります。

     

    業績が悪い状態だと、たとえ7万円でも捻出するのが厳しい場合もあるでしょう。法人化すると、個人事業主のときには不要だった費用がほかにも発生するため、法人住民税も同時に財務を圧迫させます。

     

    常に好業績を上げ続けられるとは限らないため、必ず支払わなければいけない法人住民税の存在は懸念材料になるといえるでしょう。

    個人事業主よりも税務調査が入る確率が高い

    法人化すると、個人事業主のときよりも税務調査が入る可能性が上がるといわれています。あくまでも一般的な見解ですが、個人事業主なら0.5%程度、法人なら1.3%程度が目安です。いずれも大きな数字ではないものの、法人になると確率が2倍以上に上がります。

     

    日々きちんと経理処理を行っていたとしても、税務調査はできれば避けたい人がほとんどでしょう。税務調査では、経費や売上が確認されることはもちろん、預金や貸金庫などを調べられたり、建物の実測面積などを調べられたりもします。日頃自分ではきちんと行っているつもりでも、何かしらの間違いや意図しない虚偽申告がある可能性もあるでしょう。

     

    できる限り税務調査は避けたい人が多いことから、税務調査の確率を上げないために個人事業主のままでいる選択をする人も多いと考えられます。

    社会保険料の負担が重い

    社会保険料の負担が重いことも、法人化しない決断をする理由のひとつです。個人事業主が支払う国民年金や国民健康保険も十分高額だと感じる人が多いものの、法人の健康保険のほうが上限は高く設定されています。加えて、厚生年金も負担する必要があります。

     

    個人事業主は5人以上雇わない限り社会保険に加入する義務はありませんが、法人の場合は社長1人であっても社会保険に加入しなければいけません。従業員が増えれば、その分負担はどんどん増します。

     

    国民健康保険の最高額は約100万円程度ですが、法人の健康保険は約160万円が最高額です。従業員をどのくらい雇うか、売上はどのくらいかなどで負担額は前後しますが、法人のほうが重くなりやすい点を懸念に感じる人が多いといえます。

    法人の維持費用が高い

    法人を設立したあとに、高い維持費がかかることを懸念する人もいます。法人化によって削減できる費用もありますが、税理士費用や法人住民税、社会保険料など個人事業主よりも日々必要な費用が増える傾向にあります。

     

    法人化すると事務処理や経理処理が複雑化するため、なかなか自分ですべて対応することはできません。税理士への依頼は避けられないため、コンスタントに税理士費用が発生します。依頼する税理士や依頼内容などによりますが、最低でも数十万円程度の費用は必要です。

     

    また、インターネット関連のサービスなど、普段利用するサービスが個人名義での契約よりも法人契約のほうが高い場合があります。

     

    法人は設立後も高い費用を払って維持していかなければならないため、個人事業主のままでいたほうがいいと判断する人が多いと考えられるでしょう。

    お金が自由に使えない

    法人化すると、個人事業主のときのように自由にお金が使えません。個人事業主なら売上はすべて自分のお金として自由に使えますが、法人の売上は社長個人のものではなくあくまでも会社のものです。

     

    仮に法人化してから社長が売上を自分のものにして自由に使ってしまうと、法人のお金を勝手に使い込んだことになり、横領扱いにされてしまいます。従業員がおらず社長1人で運営している会社でも、法人の売上は法人のものです。

     

    法人の売上を社長が使いたい場合は、役員報酬や賞与の名目で社長個人の収入にする必要があります。社長個人の収入扱いにする場合でも、好きなだけ受け取れるわけではありません。一定の金額を保たなければならないなど決まりがあるため、それに従う必要があります。

     

    売上を受け取るだけで手続きをふまないといけないうえに、全額自分で自由に使えるわけではない煩わしさに懸念を抱く人がいると考えられるでしょう。

    経営方針が自分で決められない

    法人を複数人で立ち上げたり、ほかに出資者がいたりする場合には、経営方針を社長一人で自由に決められない点も法人化したくない理由の1つです。法人は社長だけのものではなく、会社経営に関わる役員や出資者を含めた全員のものであるため、方針を決める際には全員の合意を取る必要があります。

     

    法人を立ち上げた当初は同じ志で事業を運営していくつもりだったとしても、経営を進めていくなかで意見が割れることは珍しくないでしょう。やりたいことがあって法人化したのに、役員や出資者と意見が合わず自分のやりたいことができなくなるなら、個人事業主のままのほうが気楽だと考える人もいます。

    責任が重くて精神的につらい

    法人化すると個人事業主よりも負担が大きく、さまざまな責任も重くのしかかるため、精神的に疲れそうだと考える人もいます。日々の資金繰りが厳しくなっても住民税は支払わなければいけなかったり、従業員がいれば従業員の生活を守らなければいけなかったりと、法人化するとあらゆる悩みが増えます。

     

    とくに、元々フリーランスとして自由に働きたいと思って個人事業主になった人が法人化するパターンでは、負担が重く精神的なプレッシャーに疲弊してしまう人が多いといえるでしょう。

     

    また、会社経営には性格や性質的に向き不向きがあるので、向いていない人だと精神的な負担を抱えやすい傾向にあります。法人化するとどんな負担が増えるのかをあらかじめ知ったうえで、自分がやっていけるかどうかを検討することが重要です。

    事業を大きくしていくつもりはない

    事業を大きくしていくつもりはないため、法人化はしないと決めている人もいます。売上をどんどんのばして事業を大きくするつもりがないなら、法人化するメリットはほぼありません。

     

    事業を大きくして所得税の負担を下げたり、資金調達もどんどん行ったりする必要がなければ、個人事業主のほうが税負担も少なく気持ちも楽です。毎年確定申告さえすれば、余計な手続きも発生しません。

     

    法人化はあらゆる手間や費用がかかるため、検討する際には長い目で見て今よりも事業規模を大きくしたいのかどうかも1つの判断材料にすべきでしょう。売上が継続的に高い水準で保てないと税負担も法人のほうが高いので、先をみすえて損をしない選択をすることが重要です。

    法人化のメリットも知って判断しよう

    法人化のメリットも知って判断しよう

    法人化しない理由にあわせて、メリットも知っておきましょう。両者を理解したうえで、自分の状況と照らし合わせて法人化がよい選択かどうか判断してみてください。

    社会的信頼性が上がる

    法人化すると、個人事業主よりも社会的信頼性が上がります。各種助成金や補助金が申請しやすくなったり、資金調達がしやすくなったりするのがメリットです。

     

    お金の問題だけでなく、仕事が受けやすくなるメリットもあります。法人化するほど本気で事業に取り組んでいると思われたり、何かトラブルがあったときにきちんと対処できると判断されたりするため、ビジネスパートナーから信頼を得やすくなるのが特徴です。

     

    個人事業主としての事業が軌道にのってきて、今後も拡大させていきたいと考える場合には、法人化して資金調達をしやすくするのも1つの方法といえます。

    赤字の繰り越し可能期間が伸びる

    個人事業主だと3年しか利用できない赤字の繰り越しが、法人なら10年まで適用できます。状況によっては、個人事業主として赤字を出したときに比べて大幅に税金の負担を軽減することが可能です。

     

    赤字の繰り越しとは、赤字が出た翌年に黒字化した場合でも、前年の赤字分を黒字から差し引ける制度をいいます。

     

    例えば昨年に200万の赤字を出し、翌年に200万の黒字を出したとしましょう。本来なら翌年200万円の黒字に対して課税されますが、前年の赤字分を黒字から差し引けるため、課税対象になる利益は0円です。その年は所得税を納める必要がありません。

     

    3年と10年では差が大きいので、状況によっては大幅に負担が抑えられるでしょう。

    無限責任から有限責任になる

    法人化すると、無限責任ではなく有限責任になるのもメリットです。個人事業主は無限責任なので、万が一経営が立ち行かず取引先に支払いができなくなっても、全額自分で責任を負わなければいけません。銀行などからの借金や、税金などもすべてしっかり無限責任として自分で支払いが必要です。

     

    一方法人の場合は、出資金額に応じた範囲でのみ有限で責任を負えば問題ありません。仮に会社が存続できなくなったとしても、会社の債権者に対して出資額を限度に責任を負うのみです。

     

    もちろんいずれの場合も負担は大きいですが、どこまでも無限に責任を負わなければいけない場合と、有限で決められている場合とではプレッシャーの度合いが大きく異なります。

     

    ただし、社長1人で経営している法人の場合は、必ずしも有限責任とは限りません。例えば社長が著作権侵害などをおかしてしまうと、社長個人に損害賠償請求を受ける可能性があります。必ずしも法人であれば有限とは限らない点も、念のため頭に入れておきましょう。

    所得によっては大きく節税できる

    課税所得の額によっては、個人事業主よりも法人にしたほうが大幅に節税できる場合があります。個人事業主は所得が695万円以上になると所得税率が23%に上がりますが、法人なら資本金1億円以下は一律15%です。

     

    個人事業主の所得がさらに900万円以上にまで増えると、所得税率は33%にまで上がります。所得がだいたい700万円以上にさしかかるようになると、法人税のほうが安くなるのが特徴です。所得700万円以上をコンスタントにキープできる状態になったら、法人化を検討するのも1つの方法といえます。

     

    ただし、ここまで紹介したように、法人化することで発生するデメリットは多数存在します。安易に所得税を抑えたいからといって法人化するのではなく、さまざまな要素を考慮したうえでどうするか決めることが重要です。

    経費にできるものが増える

    個人事業主よりも、法人のほうが経費にできる項目が多いのもメリットです。法人なら、出張手当や慶弔金、家族の給与や生命保険料など、個人事業主には認められないものも経費計上できます。

     

    家族の給与に加えて自分の給与も経費にできるため、状況によっては課税所得を大幅に減らすことが可能です。出張すると、個人事業主も交通費や宿泊費は経費にできますが、手当を経費にできるのは法人のみです。出張手当金として会社が社長に支給すれば、経費にできます。

     

    ほかにも法人のほうが経費にできる項目は多いため、人によっては大幅に課税所得を減らして税負担を抑えることが可能です。

    法人化の必要性は人による。状況や希望に応じて決めることが大切

    法人化の必要性は人による。状況や希望に応じて決めることが大切

    法人化の必要性は、人それぞれです。巷では「所得が700万円以上になったら法人化がいい」「資金調達がしたくなったら法人化がいい」などさまざまな情報がありますが、自分がどうしたいかや現在の状況によってどの選択肢がよいかは異なります。

     

    仮に個人事業主としての所得が1,000万円程度あって所得税の負担が重くても、法人化に伴う各種手続きなどの煩わしさや責任感の重さが嫌なら、法人化する必要はありません。無理に所得税軽減のために法人化しても、それ以上の負担を背負う可能性があります。

     

    反対に、所得が現状300万円程度など少なくても、今後の明確なビジョンを持って会社経営をし、事業を拡大していきたいと考えているなら法人化するといいでしょう。うまく資金調達などをしながら、事業を拡大させれば売上を増やしていけるかもしれません。

     

    法人化のタイミングやするかしないかは、あくまでも人それぞれです。自分が今後どうしたいかをよく考え、メリットとデメリットを比較したうえで決めるようにしましょう。

    法人化をしない理由まとめ

    法人化をしない理由まとめ

    本記事では、法人化しない理由を紹介しました。法人化しないと決めた人のなかには、事務的な負担や金銭的な負担が増えること、自分で自由に経営方針を決めたりお金を使ったりできなくなることなどを煩わしく感じ、法人化をやめた人が一定数います。

     

    法人化には、状況によって税負担が減らせたり社会的信頼性を上げられたりと、メリットもいくつか存在します。法人化すべきかどうかは、自分が今後どうしていきたいか、どんなふうに事業を継続していきたいかによって判断すべきです。法人化のメリットとデメリットを比較し、総合的に判断するようにしてください。

     

     

     

     

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