MONEY
2023.05.09
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損害保険金を受け取ったときに、気になるのが課税の有無。損害保険金は多額になるケースも少なくないため、できれば税金をかけずに受け取れるとうれしいですよね。とはいえ、損害保険の種類も多岐にわたる上に、状況によっても課税の有無は異なるため、判断するのが難しいと感じている人も多いはずです。
本記事では、損害保険金を受け取ったときに税金はかかるのかや、個人・個人事業主・法人ごとに状況がどう異なるのかについて解説します。損害保険金を受け取ったばかりの人や、近々受け取る予定のある人は、ぜひチェックしてみてください。
目次
保険料を負担している人が誰かや、支払い原因などによって異なりますが、基本的には損害保険金を受け取っても課税されない場合がほとんどです。保険をかけている人が所有する建物が消失したり、本人が病気や怪我を負ったりして受け取った損害保険金は、原則課税されません。
ただし、いかなる場合でも、被保険者が死亡したことで家族などが死亡保険金を受け取る場合は、相続税や贈与税が発生します。また、事業用の商品が火災などで損害を受けた場合の損害保険金は、事業収入扱いになるため課税される点にも注意が必要です。
次項で、状況別により詳しく損害保険金への課税有無を解説します。
以下では、損害保険金の課税有無について、各状況別に詳しく解説します。個人・個人事業主・法人に分けて紹介するので、自分に該当する項目を確認してみてください。
まずは、個人で損害保険に契約している場合について解説します。
個人で加入している火災保険により、資産の損害を補償してもらった場合、損害保険金は非課税です。課税されることはないので、全額がそのまま受け取れます。
個人で加入している傷害保険の場合は、支払いの理由によって課税の有無が異なります。傷害保険から死亡保険金を受け取った場合の取り扱いは、以下のとおりです。なお、以下でいう「被相続人」とは故人のことを指し、「相続人」とは故人の財産を相続する人をいいます。
死亡保険金ではなく、後遺障害保険金・入院保険金・通院保険金・所得補償保険金を受け取った場合は、すべて非課税です。
個人で契約している自動車保険の場合は、どんな保険金を受け取るかによって扱いは異なります。
賠償保険金の場合は契約者に保険金が支払われるわけではなく、あくまでも被害者に支払われるものであるため非課税です。車両保険金は資産の損害を補償するものであるため、課税されません。
搭乗者傷害保険金や自損事故保険金の場合は、前項の傷害保険と同様に取り扱われます。無保険者傷害保険金は、損害金の償金扱いであるため非課税です。償金とは、損害の賠償として支払うお金のことをいいます。
人身傷害補償保険金の場合は、傷害および後遺障害であれば非課税です。死亡した場合、被保険者の過失と判断される部分は傷害保険と同様に取り扱われます。それ以外の部分は、非課税です。
次に、個人事業主が損害保険を契約している場合について解説します。
個人事業主が火災保険に加入している場合は、何に対する保険金かによって取り扱いは異なります。
建物や什器などに対する保険金であれば、非課税です。事業で扱っている商品などに対する保険金であれば、事業所得として収入金額に計上します。利益保険金・店舗休業保険金も、同様に収入金額に計上することが必要です。
個人事業主が傷害保険に加入している場合、保険金の受取人が個人事業主本人か、その従業員もしくは家族かなどによって取り扱いが異なります。
保険金の受取人が個人事業主本人の場合は、事業所得の収入金額として計上することが必要です。ただし、受け取った保険金を従業員の退職金などにあてる場合は、必要経費として計上できます。
保険金の受取人が従業員や家族などの場合は、個人事業主本人にお金は入らないため、収入として計上する必要はありません。ただし、積立保険に加入していて保険金を受け取り、そのまま保険契約が失効する場合は、資産として計上していた積立保険料を取り崩して必要経費にすることができます。
受取人である従業員や家族側の課税は、傷害保険金に関する保険金は非課税ですが、死亡保険金は相続税の対象として課税されるルールです。
個人事業主が加入している自動車保険は、どんな保険金を受け取ったかによって扱いが異なります。
賠償保険金の場合は収入金額として計上しなければいけませんが、受け取った額と同じ額を被害者側に支払う場合は、経費として扱えるため非課税です。
車両保険金の場合は原則非課税ですが、修理費として保険金を受け取る場合は事業所得の収入金額として扱います。ただし、修理費として支払う金額そのものは経費として扱うことが可能です。
搭乗者傷害保険金・自損事故保険金・無保険車傷害保険金・人身傷害補償保険金は、上記の賠償保険金および傷害保険と同様に取り扱われます。
最後に、法人が損害保険に契約している場合の税金の取り扱いについて解説します。
法人が契約している火災保険から受け取った保険金は、益金として算入します。損失を受けた分の額とそれに関連して発生した費用は損金として算入し、益金との差額に課税される仕組みです。
法人が傷害保険に加入していて、受取人が会社の役員や従業員である場合は、法人側の経理処理は特にないため課税されることもありません。それまでに積み立てていた保険料がある場合は、切り崩して必要経費にできます。
受取人である役員や従業員側の課税に関しては、個人で傷害保険に加入している場合と同様の取り扱いが適用されます。後遺障害保険金・入院保険金・通院保険金・所得補償保険金を受け取った場合は、すべて非課税です。
ただし、死亡保険金の受け取りについては、受取人である役員や従業員の家族などの相続人に対して相続税が発生します。
受取人が役員や従業員ではなく法人である場合は、受け取る保険金を益金として算入することが必要です。ただし、受け取った保険金を役員や従業員の見舞金・退職金として支給した場合は、損金として計上できます。あまりに過大な額を見舞金として支給してしまうと、賞与として扱われるため注意が必要です。
法人が自動車保険に加入している場合は、受け取った保険金の種類によって取り扱いが異なります。
賠償保険金は、受け取った保険金を益金として算入し、損失に対して支払った金額は損金として算入します。車両保険は、受け取る保険金は益金として扱い、実際の修理にかかった費用は損金にすることが可能です。
搭乗者傷害保険、自損事故保険、無保険車傷害保険、人身傷害補償保険の場合は、前項の傷害保険および賠償保険金と同じ扱いが適用されます。
法人が労働災害総合保険に加入している場合、保険料は全額損金として算入することができます。受け取る保険金は、法人が補償保険金として受け取ったものを益金として算入し、従業員の遺族に死亡退職金として支給した場合はその分を損金に算入します。差額があれば、それに対して課税される仕組みです。
本記事では、損害保険金の課税有無について解説しました。状況によって異なりますが、基本的には損害保険金を受け取っても課税されない場合がほとんどです。自分が所有する建物が消失したり、自分が怪我をしたりして受け取る損害保険金には、原則課税されません。
ただし、受け取る保険金の種類によって税金が発生する場合もあります。個人事業主や法人の場合は取り扱いのルールが少しややこしいため、受け取る際には事前に確認しておくことが重要です。本記事を参考にして、間違いなく経理処理ができるよう備えておきましょう。