MONEY
2023.02.28
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法人保険の税制改正が起きたことを受けて、従来の方法による節税対策は難しくなりました。
しかし、変更点や新しく敷かれたルールを理解することで、税制改正後もこれまでと同様に高い節税効果を狙えます。
この記事では、「法人保険への加入を考えているけれど納税負担を減らすための対策を知りたい」「税制改正でどんな点に気を付けて保険選びをすべきかを把握したい」という方のために、法人保険の税制改正と節税対策について解説していきます。
法人保険の税制改正の偏移、経理処理の変更点や具体例、法人が保険を選ぶポイントのほか、法人保険に加入するメリットについてもご紹介していくので、法人保険による節税対策の強化に力を入れましょう。
目次
2019年7月8日に、法人保険の税制改正が実施されました。
税制改正が行われたことにより、2019年7月8日以降に契約を締結した法人保険の経理処理には新たなルールが導入されています。
法人保険に加入している企業は、新ルールが加わったことで税制改正前とは異なる経理処理を行わなければなりません。
税制改正前では、企業側は節税対策を狙った経理処理が可能でした。
一方、税制改正が行われた後においては、以前よりも税負担を軽減しにくいルールが敷かれているのが特徴です。
「税制改正後も高い節税効果を得たい」「法人保険の新たなルールを把握しておきたい」という方は、税制改正後の節税の可否や税制改正の偏移について正しい理解を深めましょう。
税制改正が行われる背景に、法人で保険に入っている企業の節税防止があります。
2019年7月8日以前にも、税制改正は実施されてきました。
法人保険に加入する企業は、できるだけ節税効果の高い保険に入りたいと考えています。
そんな企業側のニーズに応えるべく、保険会社は企業にとって経済的メリットの大きな保険プランを用意してきました。
企業にとって経済的メリットを得られる保険プランとは、企業が支払う保険料を経費として計上できるものを指します。
しかし、企業側が法人保険による節税対策を進めると、歯止めをかけるために国は再び税制改正を行います。
2019年7月8日に実施された税制改正も、企業が従来通りの方法で節税することを防ぐための対策です。
ただし、賢く法人保険を活用すれば、税制改正後もしっかりと節税効果を高められます。
税制改正による新たなルールや経理処理など、ポイントを押さえた保険選びを行うことで、今後もこれまでと同様に納税額を軽減できます。
法人保険の税制改正では、特に第三分野と定期保険が大きな影響を受けています。
第三分野における資産と損金の算出に関しては、以下の計算方法が設けられています。
払込期間中の損金:保険料×払込期間÷(116歳–保険に加入したときの年齢)
払込期間中の資産:保険料-払込期間中の損金
払込期間後の損金:116歳に達するまで払込期間中と同じ損金
払込期間後の資産取り崩し額:払込期間中の資産×払込期間÷(116歳–被保険者の年齢)
また、定期保険の偏移についても、解約返戻率の上限によって計算式に当てはめる必要があります。
保険料が50%や30万円以下では全額を経費とできるものの、その他のケースでは以下の規定に沿って経費と資産の計上を行います。
解約返戻率の上限 |
資産計上期間 |
資産計上額 |
~50% |
全期間にわたって経費計上 |
保険料の全額を経費として計上する |
50~70% |
最初の4割の保険期間 |
60%経費、40%資産 |
70~85% |
最初の4割の保険期間 |
40%経費、60%資産 |
85%~ |
解約返戻率の上限を迎えるまで |
保険期間10年目までの資産計上額:納めた保険料×最高解約返戻率×90% 保険期間11年目以降の資産計上額:納めた保険料×最高解約返戻率×70% |
保険の税制改正を受けて、「経理上ではどんなことが変わったんだろう?」「変更された保険の具体的な経理処理がいまいち分からない」といった悩みを持つ方も少なくありません。
税制改正によって変わった部分は、第三分野の計算方法や解約返戻率の上限による定期保険の経理処理です。
解約返戻率の上限による経理方法では、「30万円特例」が加わったことによる新たな経費計上のルールが加わっています。
また、第三分野や定期保険の経理処理も以前とは違う箇所があり、保険に新規加入する際は気を付ける必要があります。
税制改正による保険の経理処理変更点を以下で詳しく説明していくので、正確なやり方をきちんとアップデートしていきましょう。
2019年の税制改正によって、さまざまな変更が起きています。
通称「30万円特例」と呼ばれるルールが加わり、30万円以下の法人保険における経理処理が以前の方法とは異なるようになりました。
「30万円特例」は1人における年間保険料が30万円以下の際に適用されるルールで、保険料の全額を経費にできる仕組みになっています。
ただし、「30万円特例」の対象となるには、解約返戻率の上限が70%以下であること、第三分野の終身保険であること、保険料の払い込みが短期であることなどの条件を満たす必要があります。
「30万円特例」に該当しない場合は、規定の方法に沿って資産額と損金額を算出しなければなりません。
経理処理の変更点は、どのような保険に加入しているのかによって異なります。
正確に資産額と損金額を割り出すためにも、「30万円特例」のルールはもちろん、第三分野や定期保険における経理処理の変更点をしっかりと把握しましょう。
第三分野では、保険料の全期払いと短期払いの2種類があります。
それぞれ経理処理が異なるものの、全期払いは法人定期保険と同じ方法で経理処理されるのが特徴です。
全期払いの具体的な経理処理については、次の項目「定期保険の経理諸費について」を参考にしましょう。
尚、第三分野の保険料短期払いでは、規定の方法に沿って損金と資産の計上額を算出する必要があります。
例として、以下の条件における損金と資産の計上額を見てみましょう。
加入保険:終身型医療保険
保険料の払込期間:5年間
年間に納める保険料:90万円
保険に加入したときの年齢:40歳
上記の条件で法人保険に加入している場合、保険料を払い込んでいる期間中の損金と資産の計上額は以下のように計算します。
損金計上額:90万円×5年÷(116歳–40歳) =5,921円
資産計上額:90万円−5,921円=894,079円
保険料の払い込みが終了すると、それぞれの計上額は以下のようになります。
損金計上額:5,921円
資産取り崩し額:894,079円×5年÷(116歳–45歳) =62,963円
ただし、「30万円特例」により、年間の保険料が30万円を下回る場合は全額が損金として計上可能です。
保険期間20年、1年間の保険料が300万円の定期保険に加入している場合、経理処理は以下のようになります。
解約返戻率の上限:~50%
解約返戻率の上限が50%を下回る場合、納めた保険料は全額を損金として経費計上できます。
解約返戻率の上限:50~70%
計上額 |
資産:120万円 損金:180万円 |
資産計上期間 |
1年~8年目まで(9年目以降は全額損金) |
取り崩し期間 |
15年目以降 |
解約返戻率の上限:70~85%
計上額 |
資産:180万円 損金:120万円 |
資産計上期間 |
1年~8年目まで(9年目以降は全額損金) |
取り崩し期間 |
15年目以降 |
解約返戻率の上限:85%~
解約返戻率の上限が85%を超える場合、最高解約返戻率に達するまで保険料を資産計上しなければなりません。
例として、最高解約返戻率87%を13年目で迎える場合、最初の10年目までは以下のような経理処理となります。
計上額 |
資産:234.9万円 損金:65.1万円 |
資産計上期間 |
1年~10年目まで |
さらに、11~13年目までの経理処理は、以下のように変更します。
計上額 |
資産:182.7万円 損金:117.3万円 |
資産計上期間 |
11年~13年目まで |
13年目以降からは、保険料の全額が経費として処理されます。
保険への加入を検討している場合、保険の選び方について考えることも多いのではないでしょうか?
保障内容、保険料、保険期間、保険金額、掛け捨てか否か、解約返戻率など、自分に合う保険を見極めるにあたってさまざまな着目点があります。
しかし、個人と法人では、保険を選ぶポイントが大きく異なります。
個人で保険に加入する場合は、自分自身のニーズに合う保険を見つけることが重要です。
一方、法人として保険に入るのであれば、経理処理におけるメリットについても考えなければなりません。
以下では、法人での保険加入を視野に入れている方のために、法人にとって有効な保険の詳細や保険料を全額経費にできる医療保険についてお話ししていきます。
法人が保険に入るにあたって、経営者にとってメリットの多い保険について考える必要があります。
法人や経営者にとって有効な保険とは、保険料を損金として経費計上できる保険のことです。
経営者が個人で保険に加入する場合、保険料を自ら捻出しなければなりません。
保険の種類やプランによって保険料は異なるものの、保険期間が長くなればなるほど保険料は高額になりやすい傾向にあります。
また、保障内容の充実度も、保険料の金額と比例していることが一般的です。
さまざまなシチュエーションに備えられる保険は保険料がかさみやすく、経営者が抱える保険料の負担が大きくなりがちです。
しかし、企業の経費として計上できる保険であれば、経営者個人が保険料を支払う必要がなくなります。
経費が増えることで企業の収益が減るため、納める税金額も低くなります。
結果として企業の節税効果を高めることに繋がり、保障プラスアルファのメリットを得られる点がポイントです。
法人で保険に加入する際は、保険料を全額経費にできる医療保険を選びましょう。
2019年の税制改正を受けて、新たに「30万円特例」がルールに加わりました。
「30万円特例」では、1人に対する保険料が30万円以下の場合、支払った保険料の全額を経費として計上可能です。
例として、経営者、役員、従業員10人がそれぞれ年間保険料25万円の医療保険に加入すると、合計250万円の保険料が全額経費になります。
一方、もし1人あたりの年間保険料が31万円だった場合は、合計310万円の医療保険がかかります。
30万円をオーバーすると全額を経費として計上できなくなるため、節税効果が低くなってしまう点に注意が必要です。
疾病リスクへの対策を強化できる医療保険ですが、年間保険料に着目することで税負担を軽減できます。
もしもの備えと税金対策の両方を徹底したい方は、保険料を全額損金として計上できる30万円以下の医療保険に加入するのがおすすめです。
法人保険について、「そもそも法人保険って入っておいた方がいいの?」「法人保険に加入しなかったら税制改正の影響も受けなくて済むのでは?」といった疑問を抱えている方もいるのではないでしょうか?
税制改正による変更点も多い法人保険ですが、事業継承時の税負担を減らせる、いざというときのリスク対策ができる、従業員や役員の退職金が準備できるといったメリットがあります。
税金対策、リスクマネジメントの徹底、福利厚生の充実化を図りたいなら、自分自身や企業のニーズに合う法人保険を見極めることが非常に重要です。
以下では、法人保険を利用する3つのメリットについて、具体的な保険の種類のご紹介も交えながら掘り下げていきます。
事業を次世代や他者に継承する場合、法人保険に加入しておくことで税負担を軽減できます。
事業を継承するにあたって、継承した側は贈与税や相続税を支払わなければなりません。
企業の資産価値によっては高額になるケースも多く、納税負担が大きくなりがちです。
しかし、法人保険に入っておけば、保険金を元手に税金を支払う、納税額自体を減らすといった対策が取れます。
事業継承時の税金対策に最適な法人保険には、終身保険、養老保険、長期逓増定期保険、長期平準定期保険があります。
終身保険は納税額を減らすのではなく、保険金を使って税金を支払うための保険です。
一方の養老保険、長期逓増定期保険、長期平準定期保険には、納税額自体を抑える効果が期待できます。
支払う法人保険料を損金として計上する仕組みになっており、株式と企業の資産価値を下げたい場合に最適です。
贈与税や相続税は企業の資産価値と比例するため、納税額を減らせる点がポイントです。
事業保障対策を徹底したいのであれば、法人保険への加入を検討してみましょう。
小規模な企業では、経営者が死亡・高度障害状態になったときの影響が多大です。
事業運営が滞る可能性も高く、経済的なダメージによる経営不振に陥るリスクがあります。
しかし、法人保険に加入することで、経営者にもしものことがあっても保障を受け取ることが可能です。
経営者法人保険には、長期平準定期保険と逓増定期保険の2種類の定期保険があります。
それぞれの特徴については、以下を参考にしましょう。
長期平準定期保険 |
・保険期間が長期 ・プランやオプションの種類が多いので自分や企業に最適な保険を選びやすい |
逓増定期保険 |
・加入後は徐々に保険金が増加していく ・高額な解約返戻金を受け取れる |
経営者の死亡・高度障害状態に備えられる点は、法人保険の大きなメリットです。
保険金で事業の立て直しを行えることから、経済的・精神的な負担を最小限に抑えたい場合におすすめです。
法人保険に入るメリットに、退職金を準備しやすい点が挙げられます。
従業員の退職金を保障するなら養老保険、役員の退職金の場合は長期平準定期保険と逓増定期保険への加入を視野に入れましょう。
養老保険は、保険期間内に被保険者が死亡した場合は死亡保険金が受けられる一方で、生存の際には満期保険金が支給される仕組みになっています。
死亡・生存のどちらであってもまとまった金額を受け取れるため、従業員が退職するタイミングに合わせて退職金を用意できます。
また、役員の退職金については、法人保険の解約返戻金を退職金に充てるのがおすすめです。
退職まで期間があるなら長期平準定期保険、5~10年以内に退職の予定があるなら短期での解約返戻率が高い逓増定期保険など、シチュエーションに合わせて加入することが大切です。
従業員や役員の福利厚生を充実させるためにも、退職金に備えた各種法人保険への加入について考えてみてはいかがでしょう?
企業の節税を防ぐための税制改正は、国によって定期的に行われています。
2019年7月8日の税制改正では、一見これまで通りの節税対策が困難に見えるものの、仕組みや抜け道を把握することで高い節税効果を実感できます。
「30万円特例」や第三分野・定期保険など、細かいルールや具体的な経理処理のやり方について知識を深めましょう。
法人が保険に加入する際のポイントを把握することも、税制改正後の節税対策に欠かせない要因です。
ただし、法人保険を契約する本来の目的についても忘れてはいけません。
法人保険への加入には、事業継承への活用、リスクマネジメントの強化、福利厚生の改善実現といったメリットがあります。
税制面における利点だけに着目するのではなく、法人保険に加入することで得られる保障の充実度についても考えましょう。
節税効果の高さと保障内容のバランスを見極めて、企業や経営者にとって最適な法人保険を選ぶことが重要です。