MONEY
2023.01.13
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フリーランスの人が仕事をする上で非常に重要な業務委託契約書。必要なのだろうとは思いつつも、具体的に何をどう記載してどのように締結すればよいのかなど、専門的なことが多くわからないことばかりという人も少なくないはずです。そもそも自分から作成すべきなのかなど、初歩的なことも難しい話が多いですよね。
本記事では、フリーランスの人が業務委託契約書を結ぶ上で重要なポイントや、各項目の書き方などについて徹底解説します。業務委託契約書を締結する上での注意点も解説するので、最後までチェックしてスムーズな契約締結に役立ててください。
目次
業務委託契約書をフリーランスの人が締結することは、非常に重要なことです。フリーランスは立場上不利になることが多いため、きちんと業務委託契約書で業務に関する取り決めを行っておかないと、トラブルが起きたときに一方的に損失を被ることになりかねません。
フリーランスはどこの会社にも属さず1人で仕事をしている立場なので、何か起きたら自分で自分の身を守るしか方法はないのが現実です。日頃抱える不安も大きく、そこにつけこまれることも残念ながら少なくありません。きちんと契約で業務に関する事柄を取り決めておかないと、立場を利用して法外な言動を取られることもあります。
民法上、契約は口約束でも成立はしますが、口約束だと「言った」「言っていない」の争いに発展しがちです。収集がつかないと、フリーランスの立場上仕事を失うことになりかねません。
自分の身を自分でしっかりと守るためにも、業務委託契約書をきちんと結んでおくことは非常に重要だといえます。
まずは、フリーランスの業務委託契約書に関する基本な知識から解説します。契約を結ぶ上で欠かせない知識なので、必ずチェックしておいてください。
基本的に、業務委託契約書の内容は柔軟に・自由に決めて問題ありません。入れる項目や取り決めの基準などは、双方で合意が取れれば公序良俗に反しない限り何でもOKです。あらかじめ決めておかないとトラブルのもとになりそうな内容や、決めておくと仕事がスムーズに進む内容などは、積極的に盛り込みましょう。
契約書で取り決めなかった内容に関してトラブルなどが発生した場合は、法律に則って判断されます。契約で取り決めていなかったからといって、クライアント側の主張を必ず聞き入れなければいけないわけではないため、安心してください。万が一契約で取り決めていないことでトラブルが発生したら、立場を利用して言いくるめられたり損失を被ったりする前に、弁護士などに相談することをおすすめします。
前項でも触れたとおり、口頭やメールでも契約は成り立つと法律で定められています。しかし、口頭での契約は証拠が残らないことが多く、「言った」「言っていない」の争いに発展しがちです。証拠が残っていない以上、どちらの主張も証明することができないため、さらなるトラブルに発展するおそれがあります。
また、メールやメッセージなどでも書面のように証拠に残すことができますが、カジュアルなやり取りになることが多いため、主語や内容が曖昧になりがちです。あとになって「解釈が違った」とトラブルに発展する可能性があります。
契約書として書面できちんと契約を結んでおけば、明確な証拠として残せるため何かトラブルが起きても冷静に対処することが可能です。
業務委託契約には、主に2つの種類があります。業務委託契約書を結ぶ際に、どちらの契約なのかを判断しなければいけないため、以下で詳細をチェックしておきましょう。
請負型業務委託とは、一方がある仕事を完成させることを約束した上で、相手がその仕事の成果に対して報酬を支払うものです。成果物の定義をあらかじめ定め、その基準を満たしていない場合には修正をしなければいけません。
上記の条件がそろっていれば、請負型の業務委託を選びます。
委任(準委任)型の業務委託とは、一方が業務を相手に依頼し、相手がそれを承諾することを約束するものです。
上記のようなケースでは、委任型の業務委託を選びます。
業務委託契約書は、1つの業務に対して1つの契約書をその都度交わすか、基本的な契約を結んだうえで別途個別契約を随時結ぶかの2つがあります。より安全性を求めるなら、前者がおすすめです。
1つの業務に対してその都度契約を結べば、取引ごとに詳細に取り決めができるため、トラブルにも対処しやすいのが魅力。依頼内容によって起こりうるトラブルや納期、かかる労力などは異なるため、個別でその都度結んでおくとより安心です。
短期間で完結する仕事を継続的に行うような業務の場合には、基本契約を結んでおくのが望ましいでしょう。細かい業務ごとの取り決めは除き、基本的な取り決めのみを記載して結ぶ方法です。各業務に関しては、契約書を取り交わさず単純な受発注に関するやり取りですませます。
仕事の形態や依頼の受け方などによって判断は異なるので、より業務が進めやすく、かつ安全性に問題がない範囲でどちらか選択をしましょう。
契約書のひな形には、とくに決まりはありません。明確にルールはないので、取り交わす契約内容や項目の数などに応じて、使いやすいものを選びましょう。インターネット上に無料でテンプレートが配布されているので、調べて自分に合ったものを利用すればOKです。
基本的な知識が身についたら、次は業務委託契約書を実際に締結する手順を確認しておきましょう。
まずは、契約書のたたきを用意します。使いやすいテンプレートを用意し、契約書のなかに入れたい項目やそれぞれの内容を自分でざっくりと決めておきましょう。自分の希望を洗い出し、クライアントと協議がしやすい状態にしておくとスムーズです。
たたきを作ったら、それをもとにクライアントと契約内容について話し合い、精査や交渉を行いましょう。業務内容や責任範囲、契約期間、報酬、納期、著作権などを確認し、双方で合意が取れるまで話し合いを行います。
合意した内容をもとに契約書を作成するので、少しでも疑問や不満があれば徹底的に協議するようにしてください。締結してしまったらそれにそって契約が実行されるため、あとになって困らないよう必ず細部までお互いに納得がいくようにしておきましょう。
双方で契約書の内容に合意できたら、契約書を作成しましょう。自分で作っても、クライアント側が作ってもどちらでも問題ありません。契約書が完成したら、印刷して双方ともに捺印および署名をしてください。ここまで完了すれば、契約書が無事締結されます。
業務委託契約書に入れる項目や内容は自由ですが、入れておいたほうがいい項目はある程度決まっています。以下で紹介する項目は入れておいたほうがいいので、詳しくチェックしておきましょう。
請け負う業務の内容は、必ず定めておきましょう。かつ、きちんと具体的に業務範囲も含めて定めておくことが重要です。対応する業務内容が不明確・抽象的だと、想定外の仕事まで押し付けられることになりかねません。取り決める報酬に対してどこまでが自分の業務範囲であるかを、具体的に決めておきましょう。
業務内容や職種によっては、具体的に明記することが難しい場合もありますが、可能な限り具体的にすることを心がけてください。その上で、業務内容の追加や変更などは別途契約を結ぶ必要があることを明記しておくと安心です。
前項で解説した契約の形態も、いずれかを明記しておきましょう。契約形態によって報酬が支払われる条件が異なるため、必ず記載しておいてください。
請負契約は、働く時間に関係なく成果物が規準を満たしていた場合に報酬が発生します。委任契約は、業務を行うことそのものに報酬が発生する形態で、成果物は発生しないことがほとんどです。契約形態を間違うと報酬に関わるので、必ず正しく取り決めて記載してください。
契約期間はいつからいつまでか、そして更新の有無や解除の条件なども取り決めておきましょう。どちらかが申し出をしなければ自動で延長されるのか、解除の場合は何日or何ヶ月前に予告しなければいけないか、どんなことが発生したら解除できるのかなどを定めておくと安心です。
長期契約する予定の場合は、自動更新されることを定めておくと手続きが省けて双方ともにスムーズでしょう。
報酬の額や支払日、受け取りの条件なども詳しく定めておきましょう。報酬に関することは最もトラブルに発展しやすく、きちんと決めておかないと報酬がもらえなかったり、受け取りが遅れたりするリスクがあります。
金額は税込みか、振込手数料はどちらが負担するか、締め日はいつかなど、細かいこともきちんと定めておくことが重要です。認識に違いが生じることがあれば、フリーランス側が損をすることも少なくないため、必ず漏れのないよう明記しておきましょう。
業務に発生する経費の負担をどうするかも、決めておきたい重要なポイントです。例えば、備品の購入代や通信費、交通費などが考えられます。
業務内容や職種によっては、経費が高額になる場合もあります。経費を見越して報酬が高めに設定されており、それが妥当な金額で合意が取れるなら問題ありません。報酬が経費を考慮されていない場合で、かつ経費がたくさん発生しうる場合には、きちんと経費の負担をどちらが行うか取り決めておくことが重要です。
再委託の可否も、契約書に含めておくと安心です。再委託とは、依頼された業務を別の第三者に委託することをいいます。自分が仕事を受けた場合に、その仕事の一部または全部を第三者に委託してもよいかどうかを定めます。
再委託が可能であれば、よりたくさんの業務が受けられたり、より効率的に業務が進められたりするのがメリットです。しかし、クライアントからすると、依頼の詳細がきちんと伝達されないことで成果物の品質が落ちる懸念があるため、認められないことが多いと理解しておきましょう。
再委託が認められていないのに行ってしまうと、トラブルに発展するためきちんと確認しておいてください。
災害などの影響で業務ができなかった場合について定めるものが、不可抗力発生時の責任です。病気や事故、地震や台風などの不可抗力により、業務を遂行できなかった場合に責任が発生するかどうかを定めます。
不可抗力はいつどんなことが起こるか予測できず、未然に防ぐことが難しいケースがほとんどです。契約書内できちんと定めておかないと、万が一のことが発生して業務ができなかった場合に、責任を負わされることになりかねません。損害賠償請求をされてしまう可能性もあるため、不可抗力時には責任を負わない旨を記しておくのが安心です。
フリーランス側が納品した成果物に対し、著作権がどちらにあるのかも定めておくようにしましょう。基本的には、成果物を制作した時点での著作権はフリーランス側に帰属します。納品後は著作権をクライアント側に譲渡するよう定めるケースが多いものの、フリーランス側がそれでよいかどうかはきちんと検討するようにしてください。
完全に著作権を譲渡するのか、利用用途を限定した上である程度の範囲のみ権利を譲るのかなど、細かくお互いに話し合って決めることが重要です。事前に決めておかないと、勝手に自分の納品物を利用されてしまう可能性もあるため、トラブルにならないようきっちり定めておきましょう。
業務を遂行する上で、情報漏洩が起きないよう秘密保持契約も定めておく必要があります。技術や情報の流出を防ぐため、業務上知り得た情報を第三者に不正に口外しないことを定める項目です。どんな情報が秘密情報に該当するのか、どこまでなら公開してもよいのかなどを、きちんと細かく定めておくことをおすすめします。
主に仕事を依頼するクライアント側にとって重要な項目ですが、フリーランスを守る役割を果たすこともあります。フリーランス側から重要な情報を提供する場合もあるので、必ず定めておきましょう。
なお、秘密保持契約は別途NDAと呼ばれるものを結ぶケースがほとんどです。NDAとはNon-Disclosure Agreementの略称で、秘密保持に特化した契約のことをいいます。より安全性を高く、細かくしっかりと定めておくべき場合には、NDAを別途結ぶのが無難です。
「契約期間」の項目でも少し触れましたが、契約を解除する場合の条件や方法も別途定めておくと安心です。契約を解除できる条件には、主に契約違反行為が是正されない場合や、業務継続に支障が出るような法的なトラブルが発生した場合などが挙げられます。
ある程度のことであれば、双方の話し合いのもと解決する旨も記載しておくと安心です。クライアント側の対応が悪く契約を続けるのが難しい場合や、クライアント側から一方的に契約を解除されそうになった場合などに、フリーランスの人を守ってくれる項目なので、きちんと定めておきましょう。
何らかのトラブルが発生した際の、損害賠償の範囲を明確にする項目です。納期遅延や情報漏洩、著作権侵害などが発生した場合に、どこまでの損害賠償を負うのかを定めておきます。
納期遅延や情報漏洩などは悪気がなくても起こりうるトラブルなので、あまりに高額な賠償金額が設定されてしまうと困ったことになりかねません。フリーランスの人でも対応しきれる範囲に定めておくようにし、クライアント側にも納得してもらえるように話し合いをして決めましょう。
損害賠償の範囲を定めておかないと、万が一のときにクライアントから無制限に賠償請求されてしまう可能性もあります。クライアントの言いなりになるのではなく、現実的な範囲で設定できるようあらかじめ十分に話し合いを行って下さい。
トラブルが発生したときに、どこの裁判所に訴えを起こすのかも念のため記載しておきましょう。きちんと契約書を結んでいたとしても、裁判沙汰に発展してしまうケースは決してゼロではありません。話し合いで解決できるのがベストですが、そうはいかない場合もあります。
管轄裁判所をある程度近くの場所に定めておくことで、万が一裁判に発展した場合でもさほど時間や費用をかけずに通うことが可能です。クライアント側の希望に合わせてしまうと、遠方へ行く時間や費用がかさんでしまう可能性があります。トラブルが起こる可能性を軽視せず、なるべく近い場所に設定してもらえるよう交渉することが重要です。
最後に、フリーランスが業務委託契約書を締結する際に、気をつけたい重要なポイントもチェックしておきましょう。
業務委託契約書内に記載する内容は、すべてきっちり明確にするようにしてください。曖昧な内容があると、万が一のときに認識が一致せず、せっかく定めた契約書が意味のないものになってしまいます。
業務委託契約書はトラブルが発生した際の対応を明確化し、さらなるトラブルに発展しないようにするためのものです。曖昧で不明確、認識に違いが出るような記載の仕方は避け、誰が見ても明確であることがわかる状態にしましょう。
業務委託契約書を作成する際には、業務上起こりうるトラブルをすべて想定して中身を練りましょう。しっかりと考えを重ねてトラブルを想定しておかないと、せっかく業務委託契約書を作成してもトラブルに対応できなくなることがあります。
起こりうるトラブルは職種や業務内容によっても異なるため、同業者に話を聞いてみたり、インターネットで調べたりしながら、想定できるトラブルをなるべくすべて網羅できるようにしましょう。
業務委託契約書の作成は決して簡単ではないため、自分で作成するのが難しい場合は専門家へ相談するのもひとつの手です。業務委託契約書は法的な効力を持つ重要な書類なので、中途半端なものを作成してしまうと意味をなさない場合があります。
専門家へ依頼すると費用は発生しますが、安全性は格段に高まります。とくに、高額な業務を請け負う場合や、長期的な契約を結ぶ場合には、専門家へ依頼して正確な業務委託契約書を結んでおくと安心です。トラブルに発展した場合にリスクが大きいことが想定できる場合は、専門家への依頼を検討してみてください。
なお、業務委託契約書の作成を専門家へ依頼する場合は、法務に関する経歴が豊富な人を選ぶことが重要です。単に弁護士や行政書士、司法書士なら誰でもいいわけではありません。企業の法務部で長年経験をつんでいた法律家などが好ましいといえます。依頼する際には、業務委託契約に関して知識が長けている人や、それらを専門として扱っている人を選ぶようにしましょう。
本記事では、フリーランスの人が業務委託契約書を結ぶことの重要性や、具体的な作成方法について解説しました。業務委託契約書はフリーランスを守るために重要な書類なので、業務を請け負う際には必ず締結するようにしましょう。想定できるすべてのトラブルを網羅し、万が一のことが起きても冷静に対処できるように内容を詰めておくことが重要です。
業務委託契約書を作成する際には、あらかじめたたき台を作成し、細部までクライアントと話し合いを重ねてお互いに納得がいく状態に仕上げてください。業務委託契約書は法的効力を持つ重要な書類なので、自分で作成するのが難しい場合は専門家の手を借りることもひとつの方法です。
万が一のときに困ったことにならないよう、本記事を参考にしっかりとした業務委託契約書を作るようにしましょう。