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2022.11.14

雇用保険の簡単な仕訳方法を個人事業主向けに解説!勘定科目や支払時期も紹介

※本ページはプロモーションが含まれています

 

 

現金をベースに処理することで、雇用保険料の仕訳を簡略化させることができます。

しかし、「簿記の知識が全くないから実際に上手く仕訳できるか不安」「どんなことに気を付けて雇用保険料を計上すべきか分からない」という個人事業主もいるのではないでしょうか?

 

難しそうな印象を抱きやすい雇用保険の仕訳ですが、コツやポイントを把握することで簡単に処理方法を身につけることができます。

この記事では、雇用保険料の仕訳の方法、雇用保険の基本情報、勘定科目、仕訳例について解説していきます。

シチュエーション別に3つの例における仕訳のやり方をご紹介していくので、雇用保険の処理方法について深く学びたい方はぜひ参考にしてください。

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    雇用保険の仕訳のしかた

    雇用保険の仕訳のしかた

    雇用保険料の経理処理について把握する場合、仕訳の基本的なやり方を知る必要があります。

    「借方や貸方を上手く使い分けられない」「勘定科目の数が多くて振り分けが難しそう」といった悩みを抱えている個人事業主もいるかもしれませんが、雇用保険料の仕訳は決まった形式に沿って行う仕組みになっています。

     

    そのため、一度理解すれば数字を変えるだけで応用できるという特徴があり、経理管理に苦手意識がある方でもスムーズかつ効率的に仕訳作業を進められます。

    ここでは、雇用保険の仕訳方法3種類についてお話ししていきます。

    金額を設定した上で借方・貸方に勘定科目を振り分けていくので、事業の経理をしているつもりで一緒に仕訳を行っていきましょう。

     

    雇用保険の仕訳方法は3種類

    雇用保険の仕訳方法は、大きく分けて以下の3つとなっています。

     

    • はじめから「法定福利費」として仕訳するケース
    • 精算時に振替を行うケース
    • 毎月「法定福利費」として雇用者の負担分を精算するケース

     

    「法定福利費」は勘定科目のひとつで、法律で定められている福利厚生費に対する出費が該当します。

    雇用保険は「法定福利費」として扱われる仕組みになっており、全額を「法定福利費」として最初から仕訳しておける点がポイントです。

    決算期処理がないという理由から、3つの中で最も簡単な仕訳方法となっています。

     

    精算時に振替を行うケースは、途中のプロセスまでは「法定福利費」として仕訳するケースと類似しています。

    最後の精算プロセスがやや複雑ではあるものの、決められたやり方通りに行えば問題ありません。

    なお、雇用者の負担分を精算するケースは、難易度が最も高い仕訳方法です。

    細かく処理していく必要があるので、論理的にやり方を理解していくことが大切です。

     

    仕訳方法1

    最もポピュラーなのが、全額を「法定福利費」として処理する方法です。

    以下では、具体的な仕訳方法を借方と貸方に分けながら説明していきます。

    表にある借方や貸方の下の欄は、左が勘定科目、右には実際の金額を入れるようにしてください。

    概算保険料の全額を「法定福利費」とするため、借方と貸方にはそれぞれ「法定福利費」と「現金」、さらに概算保険料の具体的な金額を記載します。

    借方

    貸方

    法定福利費/概算保険料の金額

    現金/概算保険料の金額

     

    以下は、従業員の雇用保険料の負担分を給与から控除する際の仕訳です。

    貸方には、「法定福利費」として従業員が支払う負担分を12ヶ月分で割った数字を入れます。

    借方

    貸方

    給料/給料の金額

    現金/現金の金額

    法定福利費/従業員の月々の負担額

     

    確定保険料が出たら、概算保険料との差額を精算します。

    もし概算保険料の方が多いときは貸借を逆にしましょう。

    借方

    貸方

    法定福利費/確定保険料-概算保険料

    現金/確定保険料-概算保険料

     

    仕訳方法2

    国税庁では、従業員の概算保険料の負担分を雇用者が「立替金」として処理する方法を推奨しています。

    税務上における正しい仕訳方法となるため、「立替金」を使ったやり方も把握しておくのがおすすめです。

    借方に「立替金」を記載するため、その分の金額を「法定福利費」から引く必要があります。

    借方

    貸方

    法定福利費/概算保険料の金額-従業員の雇用保険の負担金額

    立替金/従業員の雇用保険の負担金額

    現金/概算保険料の金額

     

    雇用者が負担した従業員の負担分を給与の支払い時に毎月相殺します。

    借方

    貸方

    給料/給料の金額

    現金/現金の金額

    立替金/従業員の雇用保険の負担金額

     

    確定保険料の精算時には、本来従業員が負担するはずだった分も雇用者が支払っていることになります。

    立替金と相殺し、処理を完了させてください。

    借方

    貸方

    法定福利費/確定保険料と概算保険料の差額-立替金

    立替金/従業員の確定保険料の負担分から概算保険料の負担分を引いた金額

    現金/確定保険料-概算保険料

     

    仕訳方法3

    従業員数が多い大きな会社の場合は、「前払費用」を使って仕訳します。

    難易度は上がるものの、毎月の経理を管理しやすい、支出による影響を受けにくいというメリットがあります。

    以下は、概算保険料を納付したときの仕訳です。

    借方

    貸方

    法定福利費/概算保険料の金額-従業員の雇用保険の負担金額

    立替金/従業員の雇用保険の負担金額

    現金/概算保険料の金額

     

    雇用保険料の発生分を「法定福利費」として借り方に仕訳し、同額を貸方に「前払費用」として処理します。

    借方

    貸方

    法定福利費/実際に発生した雇用保険料の金額

    前払費用/実際に発生した雇用保険料の金額

     

    従業員の負担分は、以下のように給与と相殺してください。

    借方

    貸方

    給料/給料の金額

    現金/現金の金額

    立替金/従業員の雇用保険の負担金額

     

    確定保険料を支払うにあたって、確定保険料と概算保険料の差額を「立替金」と相殺することで精算完了となります。

    借方

    貸方

    未払費用/確定保険料と概算保険料の差額-立替金

    立替金/従業員の確定保険料の負担分から概算保険料の負担分を引いた金額

    現金/確定保険料-概算保険料

     

    雇用保険の基礎

    雇用保険の基礎

    雇用保険料に対して、「そもそも雇用保険料ってどういうものなのか分かっていない」「支払時期っていつごろになるんだろう?」といった疑問を持つ個人事業主も多く存在します。

    雇用保険の仕訳は、応用力が必要な知識です。

     

    そのため、雇用保険の基本的な仕組みが曖昧な場合、保険料の仕訳方法に関する理解度が低くなってしまう恐れがあります。

    ここでは、雇用保険の基礎知識や雇用保険の具体的な支払時期についてご紹介します。

    雇用保険の意義、加入しなかった場合の罰則、「年度更新」の概要、期限を過ぎて雇用保険料を納付する際に発生するデメリットも交えてお話ししていくので、従業員を雇う予定の個人事業主は正しい知識を身につけてください。

     

    雇用保険とは?

    雇用保険とは、労働者の失業などに備えるための保険です。

    仕事を失った後、すぐに次の雇用先が決まるとは限りません。

    最低限度の生活を維持することが難しくなる可能性もあるため、失業中の保障として機能しています。

     

    また、失業以外にも、教育訓練を受けている人、高齢で賃金が下がった人、育児・介護で休職せざるを得ない人にも雇用保険料が支払われます。

    労働者の生活が保障されるのはもちろん、雇用者側も助成金を受給できる仕組みになっており、双方にとってメリットが大きい保険です。

    尚、雇用保険の加入義務があるのは、従業員がいる雇用者です。

     

    2022年時点での雇用保険料率は13.5/1000となっており、雇用者が8.5/1000、従業員は5/1000の割合で負担します。

    雇用保険の加入を怠った、事実と異なる記載や申告を行った雇用者には「懲役6ヶ月以下もしくは罰金30万円」が科せられるので、従業員を雇う予定の個人事業主は正しく雇用保険に加入することを意識しなければなりません。

     

    雇用保険料の支払い時期

    雇用保険は、「年度更新」の際に支払います。

    雇用保険における「年度更新」とは、概算保険料と確定保険料の差額分と今年度分の概算保険料を加算した額の納付を指します。

    雇用者は、その年の分の概算保険料を毎年先払いする決まりになっています。

     

    しかし、見込み額である概算保険料は、実際の賃金を基に計算する確定保険料と異なる金額になることが一般的です。

    過不足額を精算しなければならないことから、「年度更新」のときに差額分及び次回の概算保険料を計算するという流れになっています。

    「年度更新」を行う時期は、毎年6月1日から7月10日です。

     

    ただし、概算保険料の計算については、今年度分である4月1日から3月31日までの賃金が対象となります。

    もし「年度更新」の期限である7月10日までに納付が完了していない場合は、雇用保険料が強制的に決定される、10%分が追徴金として徴収されるといったペナルティを科せられるので注意してください。

     

    雇用保険料の勘定科目

    勘定科目について知識を深めることは、雇用保険料の仕訳方法を学ぶ上で必要不可欠です。

    関連する勘定科目の特徴、使う際のシチュエーション、注意点などを把握して、スムーズかつ正確に雇用保険料の仕訳を行いましょう。

     

    雇用保険料に関する主な勘定科目は、「預り金」「前払い費用」「法定福利費」の3つです。

    一般的な勘定科目は「預り金」と「法定福利費」で、従業員の雇用保険料を支払う場合に広く使われます。

     

    一方の「前払い費用」は、「年度更新」の際に概算保険料を一括で納付する際の勘定科目です。

    以下では「勘定科目それぞれの意味が分からない」という方のために、「預り金」「前払い費用」「法定福利費」について詳しく説明していきます。

     

    預かり金

    雇用保険料の勘定科目のひとつが、「預り金」です。

    「預り金」とは、その名の通り従業員から預かっているお金のことを指します。

    雇用保険料は、雇用者と従業員で負担する仕組みです。

     

    そのため、従業員が負担する分の雇用保険料は、給料から天引きされる決まりになっています。

    一時的に雇用者側に保険料が保持されるものの、雇用保険料は最終的に政府に支払うお金です。

    雇用者の収益となるお金ではないため、納付時期まで預かっているという意味で「預り金」の勘定科目が使われます。

     

    「預り金」は、給料から控除した雇用保険料のほかにも、源泉徴収した所得税や社会保険料などが該当します。

    所得税も社会保険料も時期が来れば出て行ってしまうお金という扱いなので、雇用保険料と同様に「預り金」として仕訳されることを覚えておきましょう。

    従業員のお金を預かる状態を「預り金」とする一方で、雇用者が先に支払う場合は「立替金」という勘定科目が使われます。

     

    前払い費用

    「前払い費用」は、雇用保険料の仕訳を行う上で重要な勘定科目です。

    勘定科目の名称からも想像できるように、「前払い費用」は年をまたいで先払いしたときに使われます。

    前払いした事務所の家賃、1年契約の保険料、高額な備品のローンなどが該当しますが、雇用保険料も「前払い費用」に含まれます。

     

    雇用保険料を支払う場合、4月1日から3月31日を対象とした概算保険料を「年度更新」である6月1日から7月10日の間に納めなければなりません。

    年をまたぐ支払いとして扱われるため、概算保険料を納付するのと同じタイミングで「前払い費用」として仕訳することを覚えておきましょう。

     

    雇用保険料の仕訳は、資産として計上する仕組みになっています。

    事業運営のための保証に対する出費は資産として見なされるという決まりがあり、「前払い費用」も資産として扱われます。

    混乱しやすい箇所となっているため、処理する際はミスのないように気を付けてください。

     

    法定福利費

    「法定福利費」は、福利厚生として支払った費用に関する勘定科目です。

    社会保険と労働保険の2種類の支払いを対象としており、細かく分類すると健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、子ども・子育て拠出金、雇用保険料、労災保険料の6種類になります。

     

    福利厚生によって雇用者と従業員の負担割合が異なるのが特徴で、雇用保険料の場合は0.85%が一般的な雇用者の負担額です。

    「法定福利費」と混合しがちな勘定科目に「福利厚生費」が挙げられます。

    「法定福利費」は法律で定められている費用のことで、「福利厚生費」は法律で決められていないものの雇用者が従業員に対して用意している福利厚生のことを指します。

     

    雇用保険料は、法律によって企業の支払いが義務付けられている費用です。

    支払いを怠ったり虚偽の申告や納付をしたりすることで罰則の対象となっていることから、雇用保険料は「法定福利費」として仕訳されるという点に注意してください。

     

    雇用保険の仕訳例

    雇用保険の仕訳例

    仕訳方法の概要や勘定科目を理解したら、雇用保険の仕訳を実践してみましょう。

    ここでは、以下の3つの例における仕訳のやり方を説明していきます。

     

    例1:すべて法定福利費で仕訳する

    例2:精算時に法定福利費で調整して仕訳する

    例3:毎月法定福利費で事業の負担分を仕訳する

     

    尚、いずれの例においても、設定は以下のものとします。

    概算保険料

    3,600円(3分割)

    確定保険料

    5,000円

    不足分

    1,400円

    概算保険料の従業員負担

    年間1,200円

     

    例1と例2はシンプルかつ簡単な仕訳方法で、簿記の知識がない個人事業主でも安心です。

    例3は勘定科目や仕訳のプロセスが増えるものの、ポイントを押さえることでスムーズに理解することができます。

     

    すべて法定福利費で仕訳する

    概算保険料の全額を「法定福利費」として仕訳する場合、3つの流れに沿って行います。

     

    ①概算保険料を納付する

    概算保険料を納めるにあたって、借方に「法定福利費」、貸方に「現金」を記載します。

    概算保険料は3,600円ですが、3分割となるのでそれぞれ金額は1,200円です。

    借方

    貸方

    法定福利費/1,200円

    現金/1,200円

     

    ②従業員の負担分を天引きする

    概算保険料の従業員負担は、年間1,200円です。

    従業員負担の保険料分は月々100円となるため、借方と貸方の両方に100円と記載して毎月の仕訳を行います。

    借方

    貸方

    給料/100円

    現金/100円

     

    ③確定保険料を精算する

    概算保険料は3,600円ですが、実際には5,000円の確定保険料が発生しています。

    1,400円分が不足していることになるため、借方は「法定福利費」、貸方は「現金」で仕訳しましょう。

    借方

    貸方

    法定福利費/1,400円

    現金/1,400円

     

    精算時に法定福利費で調整して仕訳する

    ここでは、不足分を確定保険料の清算と共に調整する仕訳方法について説明します。

    ①と②の流れは、概算保険料を全て「法定福利費」として仕訳するパターンと似ていますが、③のやり方が大きく異なる点に注意しましょう。

     

    ①概算保険料を納付する

    借方に「法定福利費」、貸方に「現金」の勘定科目を使います。

    3分割である点を忘れずに計算し、それぞれに同じ金額を記載してください。

    借方

    貸方

    前払費用/1,200円

    現金/1,200円

     

    ②従業員の負担分を天引きする

    月々の負担額を記載します。

    借方

    貸方

    給与/100円

    預り金/100円

     

    ③従業員が増えた場合における確定保険料の精算する

    従業員が増えたことで、預り金の年間総額が変動します。

    300円増加して合計が1,500円となるため、借方に「預り金」と「法定福利費」、貸方に「前払費用」と「現金」の勘定科目及び金額を記載してください。

    借方

    貸方

    預り金/1,500円

    法定福利費/3,500円

    前払費用/3,600円

    現金/1,400円

     

    毎月法定福利費で事業の負担分を仕訳する

    雇用者の負担分を「法定福利費」として仕訳する場合は、不足分を最終的に「未払費用」とする点に着目してください。

     

    ①概算保険料を納付する

    借方

    貸方

    前払費用/1,200円

    現金/1,200円

     

    ②従業員の負担分を天引きする

    借方

    貸方

    給与/100円

    預り金/100円

     

    ③雇用者の負担分を仕訳する

    概算保険料が年間3,600円、従業員負担が年間1,200円であることを踏まえると、雇用者側の負担額は年間2,400円という計算になります。

    ここでは月々の仕訳を行う必要があるため、2,400円を12で割った上で「法定福利費」と「未払費用」に振り分けます。

    借方

    貸方

    法定福利費/200円

    未払費用/200円

     

    ④確定保険料を精算する

    概算保険料で不足している1,400円分は、確定保険料を納付するタイミングで納めます。

    よって、貸方「未払費用」で仕訳しましょう。

    借方

    貸方

    未払費用/2,400円

    預り金/1,500円

    法定福利費/3,500円

    法定福利費/2,400円

    前払費用/3,600円

    未払費用/1,400円

     

    まとめ

    まとめ

    雇用保険料の処理には、勘定科目や仕訳方法の知識が必須となります。

    しかし、基礎を押さえることで誰でも簡単に仕訳できるため、数字や簿記に苦手意識がある個人事業主でもスムーズに経理管理を行えます。

    雇用保険料の仕訳のやり方はもちろん、雇用保険の基本的な知識も身につけるよう心掛けましょう。

     

    「年度更新」、概算保険料、確定保険料、各勘定科目の概念や特徴が曖昧な場合、仕訳の流れや勘定科目の使い方に疑問が生じる恐れがあります。

    段階的に理解度を高めるためにも、雇用保険の大まかな仕組みを把握することが大切です。

    また、応用力や実践的なスキルを磨きたい方は、3つの仕訳例を活用してください。

     

    シチュエーションによって使用される勘定科目や仕訳の方法が異なることから、実際にシュミレーションしながら自分で仕訳してみるのがおすすめです。

    雇用保険料の処理は、同じことの繰り返しです。

    一度習得してしまえば後が楽なので、インプットとアウトプットを徹底して仕訳スキルをアップさせましょう。

     

     

     

     

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      フリマネ編集部
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