MONEY
2022.08.01
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フリーランスとして働いている場合でも、配偶者の扶養に入ることはできます。扶養内で働くことを検討しているフリーランスの人のなかには、どんなルールが適用されるのか、損をしないためには収入をどのくらいに抑えるべきなのかなど、難しい話が多くイマイチ正しく理解ができていないという人も多いのではないでしょうか。
本記事では、配偶者の扶養内で働きたいと考えているフリーランスの人に向けて、扶養の基本ルールや確定申告の必要有無、損をしない収入のラインなどについて解説します。これからフリーランスになろうと考えている人や、すでにフリーランスとして働いていて扶養に入ることを検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
フリーランスが扶養に入って働くために、まずは扶養の基本ルールを確認しておきましょう。扶養のルールには、税法上の扶養と社会保険制度における扶養の2種類があります。以下でそれぞれ解説するので、チェックしてみてください。
税法上の扶養とは、納税者の家族である配偶者や子どもの年間合計所得金額が基準を満たしていれば、納税者の所得から一定の額を控除することができ、税負担が抑えられる制度のことです。税法上の扶養に適用される控除には、配偶者控除と配偶者特別控除の2種類が存在します。
配偶者控除とは、納税者の年間合計所得が1,000万円以下でありつつ、配偶者の年間合計所得が48万円以下のときに適用されるものです。配偶者特別控除は、納税者の年間合計所得が1,000万円以下、配偶者の年間合計所得が48万円超133万円以下の場合に適用されます。
いずれも、収入ではなく所得によって適用される点には注意が必要です。収入は、簡単にいうと1年間で稼いだ額であり、所得は収入から必要経費や控除を差し引いた額のことをいいます。
配偶者がパートやアルバイトなどの給与所得者である場合には、年収から給与所得控除55万円を差し引いた金額が所得です。仮に配偶者の年収が103万円だとすると、給与所得控除の55万円を差し引くと所得が先述した48万円になることがわかります。
よく「103万円の壁」といわれるのは、このボーダーラインのことを指しています。パートやアルバイトの人が扶養に入りたい場合に、配偶者控除適用の基準である所得48万円以内にするために年収を103万円に抑える人が多いことから、103万円の壁と呼ばれているのが背景です。
一方フリーランスの場合は、パートやアルバイトとして給与を得ている人とは異なり、1年間で稼いだ年収から各種控除および必要経費を差し引いた額を所得とみなします。年収が200万円の人を例に出すと、青色申告を行っている場合は誰でも青色申告特別控除65万円を収入から差し引けるため、経費が87万円以上あれば所得を48万円以下に納めることが可能です。
年収200万円 – 青色申告特別控除65万円 – 必要経費87万円 = 所得48万円
上記の例は配偶者控除の48万円を基準にしていますが、配偶者特別控除を適用したい場合は所得が最大133万円まで認められるため、もう少し稼いでも適用できます。いずれの控除を受ける場合でも、収入から控除と経費が差し引けるため、フリーランスとしての年収が103万円以上あるからといって必ずしも扶養から外れるというわけではありません。
社会保険制度における扶養とは、自分で厚生年金や健康保険、介護保険などの社会保険料を納めるかどうかを指しています。社会保険料を自分で支払わず、配偶者の扶養に入りたい場合には、収入を130万円以内に納めることが必要です。
ただし、収入なのか所得なのか、金額はいくらまでなのかなど、細かいルールは加入している保険の規定によって異なることがあります。収入130万円をラインにしている場合もあれば、所得130万円をラインにしている場合もあるほか、年収に加えて月収にも制限を設けている場合も。
とくにフリーランスの場合は収入か所得かで大きく額が異なるため、必ず事前に配偶者が加入している健康保険に問い合わせをしておきましょう。
扶養内でフリーランスとして働いているからといって、確定申告が不要になるわけではありません。ほかに給与所得がなく、フリーランスとしての事業所得しかない場合は、原則確定申告が必要です。確定申告の必要対象者であるにも関わらず行わなかった場合は、罰則が与えられる可能性があるため注意してください。
ただし、一部確定申告が不要になるケースも存在します。以下の記事でフリーランスの確定申告について詳しく解説しているので、別途確認してみてください。
参考記事:フリーランスの確定申告はいくらから?主婦など働き方別に必要有無を解説!
人によって細かく状況が異なるため一概にいえるものではありませんが、フリーランスが扶養内で働きたい場合には、税法上の扶養よりも社会保険制度における扶養を意識するのがおすすめです。先述したとおり、社会保険制度における扶養に則る場合は、収入を130万円以下に抑える必要があります。
社会保険制度の扶養から外れてしまうと、税法上の扶養から外れるよりも税金の負担が重くなるケースがほとんどです。年収が130万円前後の人で仮定すると、国民年金が年間20万円ほど、国民健康保険料が年間3万円程度かかります。決して少ない金額ではないため、できれば収入を社会保険制度の扶養内におさめたほうが得です。
最も損をしやすい金額といわれているのが年収130万円〜160万円の間で、税金負担が無駄に多くなり働き損になるといわれています。配偶者が加入している健康保険に確認をし、年間130万円のラインの詳細を聞いて扶養内に入っておくのがおすすめです。
フリーランスが扶養内で働くことの一番のメリットは、税金の負担が減ることです。配偶者の所得税や、自分の社会保険料負担が軽減されます。とくにフリーランスとして働き始めたばかりの人なら、はじめはうまく仕事を取れないこともあるため、まずは扶養内の範囲で収入を得ることを目標にするのもおすすめです。
扶養内で働く場合は、当然収入を一定ラインにおさえる必要があります。仮に大きなチャンスがやってきたり、やりたかった仕事に誘われたりした場合でも、希望のままに働くことができません。将来や自分のキャリアビジョンを見据え、事業を拡大したりスキルを伸ばしたりするほうを選ぶのか、扶養内でのみ働き続けるのかを決断する必要があります。
年収200万円以上などある程度の金額を見込める場合には、思い切って扶養から外れる道を選ぶことも検討してみてください。
扶養内で働くフリーランスであっても、青色申告特別控除は受けられます。青色申告をすれば、自動的に特別控除65万円を受けられるため、そのぶんたくさん稼ぐことが可能です。青色申告を申請しておかないとたった48万円しか稼げないことになるため、必ず申請しておきましょう。
青色申告特別控除を受けるためには、開業届と青色申告承認申請書を税務署へ提出する必要があります。開業届は原則開業後1ヵ月以内、青色申告承認申請書は2ヵ月以内もしくは申告年の3月15日までに提出しなければいけません。書類は国税庁のホームページから取得できるほか、最寄りの税務署でもらうこともできます。
配偶者の加入している保険などによって手続きは異なりますが、以下では全国健康保険協会の扶養に入ることを例にあげて紹介します。
まずは、配偶者の事業主にあたる人に「被扶養者(異動)届」と「国民年金第3号保険者関係届」を提出してください。それと共に、被保険者である配偶者の戸籍謄本または抄本、住民票が必要になるほか、扶養に入るフリーランスの収入を確認する書類も必要になることがあります。
例えば、退職証明書や雇用保険被保険者離職票の写し、雇用保険受給資格者証の写し、年金額の改定通知書の写し、直近の確定申告書の写しなど、状況に応じて書類が必要になる場合があるため、必ず事前に確認しておきましょう。
これらの書類を配偶者の事業主にあたる人が日本年金機構へ提出することで、扶養に入ることができます。必要書類や手続きの詳細は人によって異なる場合があるほか、加入している保険によっても異なるため、事前に詳細を確認しておいてください。
本記事では、フリーランスとして働きたい人が扶養に入る場合のルールやメリット・デメリット、必要な手続きなどについて解説しました。扶養のルールには税法上の扶養と社会保険制度における扶養がありますが、フリーランスの場合は社会保険制度の扶養を適用したほうがお得です。世帯における税金の負担を少しでも多く軽減したい場合は、社会保険制度の扶養におさまるよう収入を130万円以内におさえましょう。
ただし、今後スキルアップをはかりたい、事業を拡大したいという場合には、思い切って扶養から外れて年収を上げていくのもおすすめです。自分の将来やキャリアビジョンをよく考えたうえで、ベストなほうを選んでみてください。