MONEY
2022.06.03
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自宅を事務所としても使用しているフリーランスの人にとって、家賃を経費として計上してもよいかどうかは非常に重要なポイント。そもそも経費にしてよいのかや、何割程度が目安になるのかなど、悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
本記事では、フリーランスの人の家賃を経費として計上してよいのかや、計上する際の割合目安などについて解説します。家賃以外の経費についても解説するので、参考にしてみてください。
目次
自宅を事務所として使用しているフリーランスの人は、家賃を経費として計上することができます。自宅兼事務所の家賃は、事業を行う上で必要な経費だと考えられるからです。
ただし、家賃の全額を経費として扱ってよいわけではありません。経費として計上できるのは、自宅全体のうち事業に使用している割合のみです。プライベート用と事業用とで割合を算出することを、家事按分といいます。以下で詳しく解説します。
先述のとおり、自宅を事務所として使っているフリーランスの人は、家事按分を用いて家賃の一部を経費として扱うことができます。家事按分とは、プライベート用のものと事業用のものとを、合理的な基準のもと割合を計算することです。
フリーランスという働き方の特徴上、生活費と事業費が入り混じってしまうことが多くあります。生活費の中に混ざり込んでしまった事業費を正しく経費として算出するのが、家事按分です。後項で詳しく解説しますが、家事按分を活用できるのは、家賃以外にも光熱費や通信費、車関連費などがあります。
以下では、家事按分の考え方に基づいて家賃を経費にする際の計算方法を紹介します。主に面積を目安にする方法と時間を目安にする方法があるので、それぞれチェックしてみてください。
ひとつめの方法は、自宅の面積を目安にして計算する方法です。自宅の総面積のうち、事業に使用している面積はどのくらいなのかで計算を行います。
以下の条件で具体的な計算方法を見てみましょう。
①10平米(6畳部屋のおおよその面積)÷ 40平米(自宅総面積)× 100 = 25%(事業用としての使用割合)
②150,000円(家賃) × 25% = 37,500円(経費にできる金額) |
上記の例だと、経費として計上できる家賃の額は37,500円であることがわかります。上記のように、まずは使用している面積がどのくらいになるのかを割合で算出し、その割合を家賃にかけて計算します。
次に、事務所として使用している時間を目安にして計算する方法を紹介します。1日=24時間の中でどのくらい事業用として自宅を使用しているかを算出し、計算を行う方法です。
以下の条件で具体的な計算方法を見てみましょう。
①7時間(1日の業務時間)÷ 21時間(自宅での総滞在時間)× 100 = 約33%
②150,000円(家賃) × 33% = 49,500円(経費にできる金額) |
上記の例だと、経費として計上できる家賃の額は49,500円であることがわかります。面積のときと同様に、自宅に滞在している時間の合計と仕事をしている時間をもとに、割合を出して計算します。
フリーランスの人が家賃を経費として計上する場合の相場は、家賃全体の3〜4割程度が目安です。あまりに割合が高いと、怪しまれてしまう可能性があります。場合によっては税務調査が入り、指摘されることにもつながるため、極力3〜4割にとどめるようにしましょう。
もちろん、仮に5〜6割など割合が高くなる場合でも、明確に証明できれば問題ありません。万が一税務調査が入った場合に証明できるよう、プライベート用のスペースと事業用のスペースが明記された間取り図や、計算が正しく行われていることを示す資料などを保管しておいてください。家賃の支払明細書や通帳記録なども残しておくと安心です。
前項でも少し触れたとおり、家賃以外にも家事按分の考え方が適用できる費用があります。以下で一例を紹介するので、参考にしてみてください。
自宅を事務所として兼用している場合、光熱費も家事按分して経費にすることができます。とくに電気代は、仕事部屋の照明やエアコン、パソコンやプリンターの電源など、ほとんどの人が使うものです。電気代の場合は、作業時間や日数、業務に使用する電子機器類のコンセント数などに応じて計算してください。
ガスや水道は、業務に使用していると明確に証明できれば家事按分して計上が可能です。ガスや水道は、自宅で料理教室を行っている、宅配弁当を作っている、飲食関連の店舗を経営しているなどの場合でないと認めてもらえません。ガス・水道の使用が業務内容とどう関連しているのかを明確に証明できるようにしておきましょう。
ただしガスについては、冬場にガス式の床暖房やガスストーブを使用する場合であれば、冬場に限り経費として考えて問題ありません。
事業にスマートフォンやパソコンを使用する場合は、通信費も経費として家事按分することができます。それぞれ業務に使用している日数や時間をもとに計算しましょう。
プライベート用と事業用とで明確にわけて算出するのが面倒、わかりづらいという場合には、使用する機器を別にするのがおすすめです。事業用として契約している機器の通信費や本体購入費をそのまま100%経費にすることができるので、複雑な計算をしなくてすみます。
ただし、同じ回線を使用する場合は、デバイスが違っても通信費を按分しなければいけないので注意しましょう。
車の購入費用をはじめ、駐車場代やガソリン代、車検料金や自動車税など、自動車に関連する費用も家事按分する項目として一般的に知られているものです。事業に車を使用している場合は、忘れずに計上しましょう。
自家用車と事業用車が同じ場合は、事業で使用する割合を算出して計上します。走行距離で計算する方法が一般的かつ簡単な方法です。車そのものの購入費用は、減価償却という方法で家事按分をして計上します。
ここからは、家事按分を行う上での注意点について解説します。
家賃や光熱費の家事按分は、比較的自由に数値を決めて経費にすることができる考え方です。最低限常識の範囲内で通用する計算方法であれば、ある程度柔軟に設定して問題ありません。そこまで細かく指摘されたりチェックされたりすることは基本的にありませんが、もちろんやりすぎには注意が必要です。
家事按分の割合が目安よりも大幅に超えている場合や、家事按分が認められないようなものを経費にしている場合など、疑わしいことをしていると税務調査の対象にされることがあります。
家事按分は先述した3〜4割にとどめることを意識すること、正しく合理的な計算を行っていることが証明できる資料を準備することなど、ルールを守って管理しましょう。家事按分のやり方に不安が残る場合は、税理士に相談してみるのもおすすめです。
前項でも少し触れたとおり、家事按分を行ったら、計算方法や根拠などが証明できる資料を用意しておくことが重要です。
プライベート用と事業用とでスペースを明記した間取り図、家賃の支払い明細や通帳記録、作業時間の記録などを残しておくようにしましょう。できる限り毎月の記録を持っておくと安心です。
家賃を経費として計上したら、必ず確定申告を行いましょう。確定申告を忘れてしまうと、せっかく家事按分して家賃を経費にしても、そのメリットを享受することができません。
経費として計上したものは、確定申告ですべて申告してはじめて節税効果が得られます。家事按分した毎月の家賃を会計システムなどで帳簿付けし、毎年2〜3月になったら確定申告を行って経費を申告しましょう。
最後に、フリーランスが家賃を家事按分して経費にする上でよくある疑問についてまとめました。
自宅ではなく別の場所に事務所を借りている場合は、もちろん家賃を経費として計上してOKです。100%事業用にしか使わない事務所であることがほとんどなので、家賃も100%経費にして問題ありません。
万が一別の用途でも使用している場合は、事業用のみを経費として計上してください。
人によっては、事業用に事務所を借りながら、自宅でも仕事を行うことがあります。その場合は、自宅の家賃も家事按分をして経費にすることが可能です。家賃や自宅での作業時間、使用面積などから細かく算出して経費計上します。
ただし、このケースは条件や算出方法がかなり複雑になるため、不安な場合は税理士へ相談するのがおすすめです。
自分ではなく家族名義で借りている賃貸を事務所にしている場合は、ケースによって経費にできるかどうかが異なります。
例えば、別生計である自分の親が所有している物件を賃貸として借り、自宅兼事務所として使用している場合は、経費にしてOKです。家賃を物件の所有者(別生計の親)に支払っていることになるため、通常通り家事按分して経費計上しましょう。
また、配偶者の名義で賃貸契約をしている場合も、経費として計上することが可能です。例えば、夫の名義で賃貸契約をしている場合、夫が他人に支払う夫名義の建物経費であることから、妻の必要経費としてよいと認められています。夫婦間は同一生計として取り扱うため、夫が支払った家賃は妻が支払った家賃として考えてよいということです。
一方で経費として認められないのは、同一生計の家族が所有している物件を借りる形で家賃を支払っているケースです。同一生計内でのやり取りは、家族間での利益調整が行われるリスクがあるため、経費として認められないとされています。例えば、同一生計としている親や夫が購入した物件に、家賃を支払って一部を事務所として使用していた場合でも、経費にすることはできません。
自分の持ち家を仕事場にしている場合は、そもそも家賃が発生しません。持ち家の場合に経費として計上できるのは、建物部分の減価償却費・固定資産税・住宅ローンの金利・マンション等の管理費・火災保険料などです。
毎月の住宅ローンの返済を経費にしたいと考える人もいますが、住宅ローンの返済そのものは経費にできないので注意しましょう。
また、これらの費用を家事按分して経費にする際には、住宅ローン控除に注意してください。仮に事業での使用割合が50%を超えてしまうと、住宅ローン控除を受けることができません。住宅ローン控除を受けている場合は、家事按分する際の割合を50%以下に設定してください。また、住宅ローン控除を全額受けたい場合は、事業割合を10%以下にする必要があります。
本記事では、フリーランスの人は家賃を経費として計上できるのかや、家事按分の計算方法、注意点などについて解説しました。自宅を事務所としても兼用している場合は、必ず適切な方法で家事按分し、きっちり経費計上することで節税効果が見込めます。
ただし、過剰に家事按分をしたり、本来家事按分が認められないものを偽って計算して経費にしたりするのはNGです。最悪の場合脱税とみなされ、多大なペナルティが課されることにつながるため、必ず適切かつ事実の範囲にとどめるようにしてください。
また、家事按分した家賃は、必ず毎年2〜3月に確定申告を行うことも忘れないようにしましょう。