MONEY
2022.03.24
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金銭の授受があったことを証明する大切な領収書。フリーランスになったばかりだと、クライアントへ領収書を発行しないといけないのか、経費を支払う際に受け取った領収書をどう保管すればいいのかなど、領収書に関して分からないことが多いという人も少なくないはずです。 本記事では、領収書を発行する必要性や管理方法、宛名の書き方や注意点などについて徹底解説します。領収書に関して疑問を抱いている人は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
フリーランスの人が取引先やクライアントから領収書の発行を依頼された場合は、必ず発行しなければいけない義務があります。基本的にいかなる場合であっても、代金を支払う側が領収書の発行を希望した場合には、受領側に領収書を発行する義務が生じるためです。
民法上で定められているとは言え任意規定なので、お互いに領収書の発行はしないとあらかじめ取り決めていれば、発行の必要はありません。あくまでも支払側が求めた場合に義務が発生するものだと認識しておいてください。
同様に、自分が誰かに仕事を依頼して代金を支払った場合も、もちろん領収書の発行を依頼することが可能です。万が一領収書の発行を拒否された場合は、支払いも拒否することができます。自分が支払う側になったときは、二重請求を防ぐために必ず領収書を発行してもらいましょう。
取引先やクライアントから領収書の発行を依頼されたものの、何をどうやって書けばいいか分からないという人もいるはず。以下では、各項目ごとに記載が必要な内容を解説します。
日付は一見軽視されがちでもありますが、非常に重要な項目です。月日が少しズレるだけで、その月や年の経費として計上できない場合もあります。金銭が動いた日付は財務管理において非常に重要なものなので、間違えずに正しく記載しましょう。
また、取引先やクライアントによっては、決算や締日の都合上あらかじめ領収書の日付をいつにするか調整したいというケースもあります。領収書を発行する際は、念のためいつのタイミングにするか事前に打ち合わせておくのがおすすめです。
領収書を受け取る人や会社の名前も必ず記載が必要です。まれに宛名を空欄で出すケースもありますが、基本的に空欄は推奨できません。また、宛名の記載方法にはいくつか注意点があるので、以下で詳しく解説します。
領収書の宛名は、「上様」と記載したり、未記入のままにしたりすることは避けましょう。
お店などで領収書を受け取る際に、上様と記載されたものを受け取ったことがある人もいるはず。領収書に記載する上様とは、顧客に対して敬意を込めて使う言葉です。昔から会社名等の代わりに上様と書く文化があり、人や会社によっては上様と記載することを希望してくるケースもあります。
しかし、具体的に誰に対して金銭を支払ったのかが明確でないうえに、税務調査が入った場合に正しい領収書として認めてもらえないことがあるため、上様という記載は控えるべきです。発行する側になった場合は正しく相手の名前や会社名を明記するようにし、受け取る側になった場合も必ず名前を記載してもらうようにしましょう。
また、宛名を未記入にした状態の領収書も、上様と同様に正式な領収書として扱ってもらうことができません。財務調査の際に経費として認められないため、未記入も避けてください。
領収書を発行する相手が企業である場合に併記する「株式会社」は、マナーを意識するなら「(株)」と略さず「株式会社」と記載しましょう。
「(株)」と略して書いても、経理上問題ないうえ、税務調査の際にも指摘されることはありません。ただ、ビジネスパートナーや顧客に対して略語を使用するのは、ビジネスマナー上あまりよい対応とは言えず、相手によっては失礼だと感じられることもあります。
会社名も名前であることを意識し、失礼のないよう「株式会社」と正しく表記しましょう。
受け取った金額も、必ず正確に記載してください。金額は最も重要な項目であり、改ざん等をされてしまう可能性も否めないものです。前後に数字を付け足して桁数を増やし、水増しするなど不正をされてしまわないよう注意する必要があります。対策として、以下のポイントを徹底しましょう。
【例】
NG:50000円
OK:¥50,000-
上記のポイントを徹底することで、前後や中間に数字を付け足すと不正していることがすぐに分かる状態にできます。
但し書きとは、何のためにお金を受け取ったのかを記載するもので、「○○代として」と表記するのが一般的です。但し書きの欄は基本的に小さく設けられているので、簡潔に書く必要があります。一例は以下のとおりです。
誰が金銭を受け取り、領収書を発行したのかも記載します。どこで仕事をしたのかや、どこで取引をしたのかではなく、発行する側の名前や会社名、及び住所を記載しましょう。正しく書かれていれば特に注意点はありません。
自分が発行した領収書、受け取った領収書ともに、管理方法を決めておかないとどんどん煩雑になってしまいます。どうやって管理しておくべきなのか、そもそもいつまで保管しておかなければいけないのかなどについて、以下で解説します。
発行した領収書は、控えをきちんと保存しておきましょう。領収書は取引の証拠になるため、二重請求や二重発行等のトラブルを防ぐことができます。
パソコンで作成したものであれば、そのままオンライン上に保存しておくのが便利です。手書きの領収書を取り入れている場合は、複写式のものがおすすめ。一度書いたら複写されたものを保存しておくだけなので、スキャンやコピーをして控えを作る手間が省けます。
経費として計上する領収書は、7年間保管する義務が課せられています。万が一税務調査が入った際に7年分の領収書が保管されていないと、その間に経費として申告したものが認めてもらえず、追徴課税や重加算税等のペナルティを課せられてしまうことがあるため、注意が必要です。
ちなみに、7年というのは青色申告者に課せられたもので、白色申告者であれば5年と定められています。
確定申告の際に領収書を提出する必要はないため、つい処分してしまう人も少なくありません。保管義務を必ず把握しておき、領収書はしっかりと保管しておきましょう。
税務署から経費について尋ねられた場合は、該当の領収書を見返して確認するほか、場合によっては提出する必要があります。必要に応じて見返しやすいよう、ある程度分類して保管しておくのがおすすめです。
最低限、事業年ごとにファイリングするなどして保管しておいてください。月ごとに分類されているとさらに見返しやすい状態にできます。もっと細かく保管しておきたい場合は、科目ごとにも分類しておくといいでしょう。
ちなみに、2022年1月から電子帳簿保存法が施行されたため、領収書をスキャンして電子データとして保管しておくことが認められるようになりました。ただし、電子帳簿保存法には細かい要件等があるため、詳しくは国税庁の公式ホームページをチェックしてから実施してください。
原則として、領収書に印鑑を押す必要はなく、義務もありません。印鑑のない領収書だからといって税務署から指摘されたり、経費として認めてもらえなかったりすることはないため、印鑑のない領収書はたくさん存在しています。
ただし、取引先やクライアントによっては、押印を求めてくるケースも少なくありません。まだまだ印鑑文化が根強い企業はたくさんあります。印鑑がなくても法的に問題があるわけではありませんが、押印した方が丁寧な対応をしていると捉えられることもあるため、求められた場合や丁寧さを意識したい場合は押印しておきましょう。
領収書に使用する印鑑の種類には、特に決まりはありません。シャチハタでも問題はありませんが、より丁寧さを表したい場合や、印鑑文化の強い会社宛に出す場合には避けたほうが無難です。
フリーランスの人が領収書を発行する場合や、受領する場合にはいくつか注意しておきたいポイントがあります。いざというときに困らないよう、以下で解説する内容をチェックしておきましょう。
5万円以上の領収書を発行する場合には、収入印紙の貼りつけが必要です。5万円以上100万円未満の領収書には、200円の印紙を貼りつけます。金額に応じて必要な印紙代は変わるため、注意しましょう。
収入印紙が必要な領収書に貼りつけがされていないと、脱税にあたってしまいます。もともとの印紙代に加え、過怠税というものが加算されてしまうため注意が必要です。
ただし、収入印紙が必要なのは紙で5万円以上の領収書を発行した場合のみで、電子領収書であれば必要ありません。メール等で領収書データを受け取った場合は、5万円以上であっても収入印紙は不要です。
近年では電子化する企業が増えていますが、まだまだ紙の領収書を採用している企業も多くあります。紙でなくてよいかどうかは、念のため取引先やクライアントと合意をとっておくことが重要です。
原則として、領収書の再発行には応じなくて構いません。二重計上になることを防がなければいけないため、再発行は拒否しましょう。どうしても必要な場合は、領収書に「再発行」と記載してくことで、不正等を防ぐことができます。
再発行は無条件に拒否して問題ありませんが、トラブルにもなりかねないため、事前に再発行は一切行っていない旨を伝えて了承してもらっておくとスムーズです。もしくは、領収書そのものに「再発行は受け付けていない」という旨を記載しておきましょう。
ちなみに先述した収入印紙は、再発行の場合でも貼りつけなければいけません。お金がかかってしまうため、再発行はしないと取り決めておくべきです。
クレジットカードで支払った取引に関しては、金銭を受け取った側に領収書の発行義務は生じません。クレジットカード経由の支払いは、取引先やクライアント、顧客から直接金銭を受けたわけではなく、クレジットカード会社から金銭を授受したことになるためです。
発行を依頼された場合でも義務はないため拒否することができますが、もちろん発行しても構いません。発行してはいけないわけではないため、発行を求められた際に応じるかどうかは自由に決められます。
ただし、先述したとおりクレジットカード経由での支払いは、取引先や顧客から金銭を受け取ったことにはならないため、厳密に言うと領収書の二重発行にあたる点には注意が必要です。
もしクレジットカード経由で支払いを受け、領収書の発行を求められた場合には、領収書にクレジットカードで支払いを受けたことが分かるよう記載しておきましょう。
前項でも触れましたが、自分が領収書を受け取る側になる場合は、必ず宛名を記載してもらってください。空欄でも発行してくれるケースが多いですが、宛名が空欄の領収書は正式なものとして認められないため、経費として計上する場合には必ず宛名を記載してもらいましょう。
先述のとおり、上様も正式ではないため控えるべきです。万が一税務調査が入った際にペナルティを受けないよう、正しく会社名や個人名を記載してもらってください。
自販機で飲み物を購入した場合や、香典・祝儀を渡した場合、ネットで取引をした場合など、領収書を発行してもらえないケースも多々あります。領収書がもらえない取引においては、出金伝票を利用することで経費として計上することが可能です。
出金伝票とは、現金が出ていく取引を記録するための書類で、領収書の代わりとして効力を持ちます。出金伝票には、以下の項目を明記してください。
作成した出金伝票は、領収書と同様にきちんと保管しておきましょう。
フリーランスの人にとって、領収書は課税所得を減らすための経費を証明する重要なものです。経費になりうる領収書はすべて片っ端から保管して計上しておくことで、節税につながります。
万が一領収書をなくしてしまうと、経費として証明することができなくなるため、計上ができません。計上しても、税務調査が入った場合に領収書が提出できないと、ペナルティを受けて追加で税金を支払わなければならなくなります。経費として計上する領収書は、すべてきちんと保管しておきましょう。
また、本来なら経費として計上できるにも関わらず、経費にできないと判断してしまうのはもったいないものです。仕事に少しでも関連する領収書は、一旦すべて保管しておき、経費として計上できるかどうかしっかり吟味して判断しましょう。
経費になるかどうかはあくまでも自己判断であり、「事業に関連性がある」と主張できるものは経費にすることができます。もちろん税務調査官によって判断は異なるため、場合によっては経費として認められない可能性もありますが、自信を持って経費だと言えるものは計上しておくのがおすすめです。
意外と知られていませんが、開業や独立前の領収書も経費として計上することができます。開業するために使ったお金は、「開業準備費」という科目で開業後に経費計上することができるのです。
開業の準備にかかった費用だと明確に言えるものなら何でも大丈夫ですが、一例として以下のようなものが挙げられます。
また、開業準備費として計上できる期間には明確に定めがありません。いつまでさかのぼってよいかに決まりがないということになりますが、1年〜半年程度が常識の範囲と言えます。節税につながるため、開業する前の領収書もきちんと保管しておきましょう。
フリーランスの人が領収書を発行・授受する際に気をつけたいポイントや、領収書の書き方などについて解説しました。領収書は、経費であることを証明するための重要な資料です。発行する際にも、受け取る際にも、正しく記載されているかどうかをきちんとチェックする必要があります。
また、経費として計上した領収書は必ず7年は保管しておかなければいけません。万が一のときにペナルティを受けないよう、最低限事業年ごとに整理して保管しておいてください。正しく領収書を発行・授受し、トラブルに発展しないよう気をつけましょう。