MONEY
2021.12.28
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「フリーランスになりたいけど、退職後に失業保険はもらえるのだろうか?」「失業保険?失業手当?受給要件ってどうなっているの?」
フリーランスになることを目指している方で、上記のような疑問を持たれている方も多いのではないでしょうか?
フリーランスになると、仕事の安定性に不安を覚え失業保険などの給付金をなるべく受け取りたいと思いますよね。会社を退職しフリーランスとして開業する場合には、条件を満たせば開業まで失業保険、または再就職手当をもらえます。しかし、手続きを間違えてしまうと失業保険の受給資格を失い給付金を受け取れなくなってしまいます。
そこで、今回は失業保険を受け取るための条件や、開業届を提出するタイミングについて解説します。最後までお読みいただくことで、失業保険を受給するための準備ができ、安心してフリーランスとしての活動をスタートできるようになるでしょう。
目次
失業保険とは公的保険制度の一つで、会社を退職する際に一定の条件を満たせば受け取れる失業手当のことです。失業保険は、正式名称としては「雇用保険」と呼ばれます。雇用保険の加入者は、失業した場合や自己都合で退職をした際に、給付金を受け取れます。
失業手当の制度趣旨として、失業した人が安定した生活を送りながら、一日でも早く再就職するための支援というものがあります。そのため、離職した人が新しい仕事を見つけるまで経済的な支えになる制度ですが、離職したすべての人が失業手当を受けられるわけではありません。
失業保険は雇用保険の一部であり、失業手当のことを指します。そのため、会社員として勤めていた間に納めていた雇用保険の期間を元に算出され、失業手当を受け取れます。以下で詳しく解説していきます。
失業手当は、失業期間中に一定の条件を満たすことで受給できる雇用保険の基本手当のことを言います。基本手当は、労働する意思と能力があるにもかかわらず、求職活動をしても職業に就けない状態にある人に支給されます。失業手当においては、大きく分けると自己都合により退職したのか、会社都合で退職したのかで受給日数など取り扱いが異なります。
また、フリーランスになる場合は、一般的に失業後に開業届を出すことになります。この開業届を税務署に提出するタイミングによっては、失業手当の受給要件を失ってしまいますので注意が必要です。
再就職手当は、雇用保険の受給資格を満たしている人が、早期に再就職が決まった場合にもらえる手当です。再就職手当は、失業手当を受け取れる予定だった日数を一定以上残して再就職した場合にもらえる手当で、フリーランスを目指している方にとって特に確認しておきたい制度です。
失業保険(失業手当)を受け取るには条件があり、大前提として離職してから就職しようとする意思が必要です。その意思を客観的に証明するために、定められている求職活動を行う必要があります。
また、退職する理由によって対応方法や受給するための条件が異なるので、ご自身の状況に合わせて検討する必要があります。
以下で、それぞれの退職理由に応じた、失業保険を受け取るために押さえおくべき条件を紹介します。
一般離職とは、いわゆる自己都合退職のことです。具体的には、自分が望む仕事内容や待遇を求めて転職や独立する場合に、自己の都合で退職する場合を言います。一般離職の場合に、失業手当を受け取るための条件は下記です。
・離職日以前の2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して12カ月以上あること
・所轄のハローワークで求職の申込を行い、就職する努力を行うこと
自身の意思に反する正当な理由(病気や家族の介護、会社の業績などの特別な都合)がある場合を除き、フリーランスを目指す多くの方は、この一般離職に該当するでしょう。
より良い待遇や環境を求めた転職も一般離職に当てはまりますが、退職するにあたって自分の意思に反する正当な理由(病気や家族の介護など)がある場合には、次に紹介する「特定理由離職者」として認められることがあります。
特定理由離職は、自己都合の退職でも特別な理由がある場合に該当します。その特別な理由は、下記のように規定されています。
「特定受給資格者以外の者で、期間の定めのある労働契約が更新されなかったことその他やむを得ない理由により離職した者」
倒産やリストラなどの事情を除いて、労働者個人の都合ではなく、会社側の都合により退職せざるを得なかった場合、やむを得ない事情があった場合に該当します。やむを得ない事情について、具体的に示すと下記のものがあります。
「体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者」
つまり、健康状態に関する理由などで離職することになってしまった場合です。ただし、この場合には、下記2つの条件を満たす必要があります。
これらの要件を満たすことで、自己都合退職であっても特定理由離職に該当することになります。複雑かつ厳しい条件に思われますが、健康状態が悪化し通常通り仕事をすることができなくなってしまった場合に該当する、と覚えておくと良いでしょう。
特定受給資格とは、「倒産・解雇等の理由により再就職の準備をする時間的余裕がなく離職を余儀なくされた者」です。つまり、会社の都合や責任で退職することになった場合を言います。
具体的には、雇用されていた企業の倒産、解雇(リストラ)等により離職した場合などがあり、一般的には会社都合退職と言われます。
紹介してきた退職理由により、失業保険の受給開始になるタイミングや給付日数が異なります。基本的には、自己都合で退職する一般離職でなく、特定理由離職や特定受給資格に該当するほうが給付日数が増えます。ご自身の状況と照らし合わせ、どの条件に該当するか確認しておきましょう。
「実際に、失業保険はどれくらいの期間受け取ることができるの?」
そのような疑問もありますよね。失業保険(失業手当)を受け取れる給付日数は、前項で紹介した退職する理由によって異なります。ここでは、それぞれの退職理由に応じた、失業保険を受け取れる給付日数について解説します。
自己都合退職の場合には、そもそも失業してすぐに失業手当を受け取ることができません。7日間の待機期間を経てから給付制限期間があるため、ハローワークに離職票をすぐに提出したとしても、2ヶ月少々かかることになります。給付制限期間を終えた後には、下記の給付日数で失業手当を受給できます。
給付日数について(自己都合退職の場合) |
|||
被保険者期間 |
10年未満 |
10年以上20年未満 |
20年以上 |
給付日数 |
90日 |
120日 |
150日 |
※特定理由離職者で、病気・ケガ・妊娠・看病など正当な理由がある場合も上記の給付日数になります。
特定理由離職や特定受給資格に該当する会社都合退職では、必要書類を準備し手続きが済めば、7日間の待機期間満了後すぐに失業手当を受けられます。受け取れる給付日数については下記になります。
給付日数について(会社都合退職の場合等) |
||||||
被保険者期間 |
1年未満 |
1年以上5年未満 |
5年以上10年未満 |
10年以上20年未満 |
20年以上 |
|
給付日数 |
30歳未満 |
90日 |
90日 |
120日 |
180日 |
– |
30歳以上 35歳未満 |
90日 |
120日 |
180日 |
210日 |
240日 |
|
35歳以上 45歳未満 |
90日 |
150日 |
180日 |
240日 |
270日 |
|
45歳以上 60歳未満 |
90日 |
180日 |
240日 |
270日 |
330日 |
|
60歳以上 65歳未満 |
90日 |
150日 |
180日 |
210日 |
240日 |
会社都合などで退職せざるを得ない状況では、手当が手厚いと言えますね。
失業保険で受け取れる基本手当日額は、年齢と会社員時代の月収により異なります。詳しく見ていきましょう。
失業保険の支給額は、年齢と会社員時代の月収から算出した賃金日額に応じて異なります。失業手当の計算は下記の式に基づき行います。
上記の計算式から毎月の基本手当額が決まり、指定の口座に振込まれます。基本手当日額を計算する際の給付率については、賃金日額が低い方ほど高い率となっています。参考として、下記に給付率の下限と上限を紹介します。
賃金日額、基本手当日額の上限額 |
||
離職時の年齢 |
賃金日額の上限額 |
基本手当日額の上限額 |
29歳以下 |
13,520円 |
6,760円 |
30~44歳 |
15,020円 |
7,510円 |
45~59歳 |
16,530円 |
8,265円 |
60~64歳 |
15,770円 |
7,096円 |
賃金日額、基本手当日額の下限額 |
||
離職時の年齢 |
賃金日額の上限額 |
基本手当日額の上限額 |
全年齢共通 |
2,577円 |
2,061円 |
※2021年8月1日~のもの
上記のように上限と下限が定められており、それぞれの賃金日額から給付率を掛けて、基本手当日額が決まります。ただし、賃金日額についてはボーナスなどの賞与は考慮されないので注意しましょう。詳しい基本手当日額を計算するための給付率については、下記を参照してみてください。
https://www.mhlw.go.jp/content/000731644.pdf
※2021年8月からのもので定期的に見直しがあります。
最終的に失業手当として受け取れる金額の総額は、
「給付日数×基本手当日額」
で決まります。より多く失業手当を受け取りたいと考えている方は、フリーランスとして独立するタイミングを見直すなど、それぞれの項目を確認しながら対応を検討してみましょう。
これからフリーランスを目指す方のために、上記の表を参照しながら、具体的な失業保険の受給額をシミュレーションします。今回は、下記プロフィールの方を参考に、自己都合退職と会社都合退職の2パターンで行います。
(例1)
プロフィール
・自己都合退職
・大卒会社員31歳
・賃金総額28万円(残業、通勤費、住宅手当含む)
・ボーナス100万円
<賃金日額>
28万円×6ヶ月÷180日=9333円
<給付日数>
90日
<基本手当日額>
5,786円
参照:https://www.hwiroha.com/sitsugyou_kyuufu_keisan.html
<毎月の基本手当額>
5,786円×28日分=162,008円
※基本手当は、初回給付後は原則として28日分の金額が28日ごとに支給されます
<受給総額>
90日×5,786円=520,740円
(例2)
プロフィール
・会社都合退職
・大卒会社員31歳
・賃金総額28万円(残業、通勤費、住宅手当含む)
・ボーナス100万円
<賃金日額>
28万円×6ヶ月÷180日=9333円
<給付日数>
180日
<基本手当日額>
5,786円
参照:https://www.hwiroha.com/sitsugyou_kyuufu_keisan.html
<毎月の基本手当額>
5,786円×28日分=162,008円
※基本手当は、初回給付後は原則として28日分の金額が28日ごとに支給されます
<受給総額>
180日×5,786円=1,041,480円
上記のケースでは基本手当日額については差がありませんが、離職理由により給付日数が異なるため受給できる総額が異なります。
ここまで失業保険の概要についてお伝えしてきましたが、再就職の意思がないと考えられるフリーランスを目指す方も失業手当を受給できるのでしょうか?
結論としては、フリーランスになる予定であっても申請の方法次第で受給することが可能です。しかし、当然ながら離職してから再就職することを前提に置かれている制度であるため、条件に該当しない状況となれば失業手当を受給できません。
また、失業手当を受給し始めても、開業届を出した時点で失業手当は終了します。ただし、開業届を提出するタイミングによっては、再就職手当を受け取ることも可能です。さらに、開業届を出す前に開業の準備をしても大丈夫ですが、仕入れや契約などをしてしまうと開業とみなされる恐れがあるなど、守るべき注意点があります。
ここからは、フリーランスになる予定である方が失業保険を受け取るために、必ず押さえなければいけないポイントについて解説します。しっかりとチェックしていきましょう。
まず、離職した後の流れとしては住所地(住民票に記載されている住所)を管轄するハローワークに離職票を持参し、求職の手続きを行います。求職の申込みをしてから7日間の待機期間がありますが、待機期間中については仕事やアルバイトなどはせず、何もせず待機しましょう。このタイミングで開業届を提出してしまうと、受給要件を満たさなくなるので注意してください。
待機期間が終了したあとは、ハローワークが指定する日時の職業講習会に参加する必要があります。参加することで、再就職の意思があり求職活動を行っている証明になるため、必ず参加しましょう。
さらに、雇用保険受給説明会に参加することで、雇用保険受給資格証を受け取れます。雇用保険受給資格証は、今後の失業手当を受給するのに大切な書類になるので大切に保管してください。
この給付制限期間中に、フリーランスとして活動し始めたいと考える方も多いと思います。しかし、失業手当を受け取るためには、どの程度フリーランスとして働いても大丈夫なのか気になりますよね。下記で詳しく解説していきます。
どの程度働いてもいいのか、その目安としては下記になります。
上記に該当するような働き方をすると、失業者としてみなされなくなり失業手当の受給要件を満たさなくなる可能性があります。
つまり、給付制限期間中のタイミングでは、フリーランスとしての活動は細々と行う必要がある、ということになります。
無事に失業手当を受け取れるようになったら、働いても大丈夫な条件としては、給付制限期間中よりもさらに厳しくなります。詳細について、以下で解説します。
失業手当の受給期間中に、1日4時間以上働いた場合には、その日は就労扱いとなり手当が支給されなくなります。ただし、働いたからといって給付の日数がなくなってしまうわけではありません。働いた日の分は、支給が先送りされる形になります。
とは言っても失業手当の受給期間は離職してから1年間なので、毎日のように働いて、結果的に受給期間を過ぎてしまうと給付金を受け取れなくなるので注意しましょう。
また、1日4時間未満働いた場合には、その労働時間と収入額を申告する必要があり、その金額や労働時間に応じて手当が支給されます。
では、退職してからフリーランスになる場合には、どのタイミングで開業届を出せば良いのでしょうか?
失業手当を受けるための条件を満たし、給付制限期間に移行後、開業届を出せば失業手当を受け取れなくなります。しかし、失業手当を受け取れなくても、適切なタイミングで開業届を出すことで、再就職手当をもらうことが可能です。
以下では、失業手当を給付期間の満額をもらう場合と、給付制限期間中に開業届を提出して再就職手当をもらう方法について紹介します。そのことで、あなたが開業届を提出するべきタイミングはいつなのか、判断できるようになるでしょう。
失業手当を満額もらう場合には、失業手当の受給期間中にできるだけ開業するための準備を進めながら、受給期間の満了後に開業届を提出する流れになります。受給期間満了後にフリーランスになった際に、良いスタートダッシュを切るための準備が余裕を持って進められることにメリットがあります。一方で、元々フリーランスとして仕事の確保ができる予定であった場合は、失業手当の受給期間に縛られることになってしまうとも言えるでしょう。
離職後にフリーランスとして仕事を確保できる準備が整っており、すぐにでも開業したい場合におすすめなのが、給付制限期間の途中で開業届を提出して再就職手当をもらう方法です。給付制限期間中に起業・就職した場合でも、離職票の提出から待機期間を経て、1ヶ月が経過した後であれば、受給予定金額に応じて再就職手当として受け取れます。再就職手当として、受け取れる金額の算出方法は以下です。
失業手当を満額もらうことはできなくなりますが、フリーランスとして早く活動を開始したい方におすすめの方法です。ただし、再就職手当を受給するにも必要な条件があります。下記で詳しく解説していきます。
再就職手当は、失業保険の受給資格決定を受けた後に、再就職やフリーランス、起業した場合に所定の給付日数に応じてもらえる手当です。つまり、まずは失業保険の受給資格を得る必要があり、必要な手続きや条件は下記になります。
特に注意したい点が、開業届を提出するタイミングです。待機期間満了後の一ヶ月以内は、ハローワークなどの紹介で就職した場合のみ再就職手当の受給対象になります。つまり、この期間に開業届を出してしまうと、失業手当の受給資格を失ってしまいます。ですので、待機期間満了後に規定の求職活動を行いながら、1ヶ月を経過してから開業届を提出しましょう。
再就職手当が支給されるのは、再就職(入社日)が決まってハローワーク(公共職業安定所)に報告をしてから、約1ヵ月ほどかかります。 再就職手当を受給するには必ずハローワークへの報告が必要になりますので、忘れずに手続きをしましょう。
会社を退職してフリーランスを目指す方でも、失業保険を受け取ることは可能です。ただし、再就職を目指すことを前提に規定されている制度であるため、フリーランスになる場合には注意して進めなければ受給資格を失ってしまいます。特に、開業届を出すタイミングにより受給資格を失うケースが多いため、ご自身の状況に合わせて準備を進めるようにしましょう。ご不安な方は、ハローワークで状況を説明し、どのように手続きをすれば良いか相談するのがおすすめです。