MONEY
2019.11.05
MONEY
2019.11.05
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こんにちは、弁護士の松本隆です!
「個人事業主」がテーマですが、弁護士の多くも同じ立場ですので、このテーマには思い入れがあります。
というわけで今回も頑張ってお届けしたいと思います!
簡単に申し上げると、会社を作らずに事業を行っている人たちです。
個人事業主は、税務署に開業届を出します。
個人事業主と会社員との違いは、何と言っても収入面でしょう。
会社員は、多くの場合、会社から決まった額の給与が支給されますが、
個人事業主は、給与はありません。
結果を出せば出すほど収入が上がるという点は魅力的です。
逆に、
顧客がいなければ収入がゼロになる可能性がある
という意味ではリスクもあります。
そのようなリスクもいとわず、
個人事業主として開業し、努力の末に顧客をゲットして
「やっと代金がもらえる!」
という段階になったときに
顧客から代金を支払ってもらえない
ということになると非常に大変ですね。
今回は、このような場合に個人事業主が相手に対して講じることができる法的な手段をご紹介します。
多くの場合「催告書」などという形で
「一定期間内に支払いがない場合には法的措置をとります」
と警告した内容の文書を送ることになります。
書面で出す場合は、横書きの場合
1行20字、1枚26行以内などの制限がありますので
ワードで作る際には文字数に気をつける必要があります。
(原稿用紙に手書きで作成することもできます)
※詳しくは郵便局の「内容証明」のHPをご覧ください。
https://www.post.japanpost.jp/service/fuka_service/syomei/use.html
最近は「電子内容証明サービス」の制度も使えますので
パソコンに強い方はこちらを利用する方が便利です。
※詳しくは郵便局の「e内容証明(電子内容証明サービス)」のHPをご覧ください。
https://e-naiyo.post.japanpost.jp/enaiyo_kaiin/enaiyo/enkn110/engm111.xhtml
内容証明郵便を送って相手からレスポンスがある場合には
交渉をすることになります。
(もちろん内容証明郵便を送らなくても交渉はできます)
代金を支払ってこないということは
「相手が破産をする=1円も回収できない」
という可能性もありうることも念頭に置く必要があります。
例えば、
・相手(取引先)からの支払いが毎月遅れていたり複数回遅れたりした実績がある、
・相手(取引先)からお金を貸して欲しいと言われたことがある
などの事実から破産の予兆を推測することができます。
ですので、破産しそうな予兆があるときには
分割で払ってもらっていても途中で払ってもらえなくなってしまう可能性がありますので
「多少代金を減額するから一括払いで払ってくれ」
と言うのも手です。
ただ、破産のおそれがなさそうな場合には
むやみに減額すると相手も味をしめてしまうので、
あくまで最終手段にしましょう。
裁判は、ご存知のとおり、
裁判所に対して判決を言い渡してもらい
紛争を強制的に解決するというものです。
「○○という仕事をした場合に代金○○円を○年○月○日までに支払う」
という内容の契約書があれば
ご自身のした仕事の内容に争いがある場合(十分な仕事ではないと言われる場合)を除いて
裁判所は「代金○○円を支払え」という判決を出してくれるでしょう。
訴状の書き方はインターネットで調べると出てきますので
それらを参考にして自分で作ってみるのもいいでしょう。
ただ、裁判では訴状だけでなく準備書面も複数作成することになるので
弁護士に依頼するのが無難かと思います。
「少額訴訟」であれば自分でやることも十分可能です。
少額訴訟とは、
①請求額が60万円以下であること
②金銭の支払請求であること
③年に10回までの利用であること
の条件を満たせばできる裁判です。
少額訴訟は1回の審理で終わるので(一期日審理の原則)、
準備書面を複数作成することはありません。
また、少額訴訟では「反訴」(相手が関連する請求を裁判ですること)もできないので争いが複雑になることもありません。
簡易な手続とはいえ、少額訴訟を起こす場合には弁護士に「相談」だけはした方がいいでしょう。
ご自身だけでは思いつかなった視点を提供してくれることも多いと思います。
なお、少額訴訟の相手(被告)が
「少額訴訟ではなく通常の訴訟にしてほしい」
と申出をした場合には少額訴訟ではなくなってしまいます。
(そうなると弁護士に依頼する必要が出てきていしまいます)
「支払督促」という少額訴訟よりもさらに迅速な手続もあります。
これは、書面審査だけで裁判所が支払の命令を出すものです。
裁判と大きく違うのは証拠を提出する必要がない点です。
納付する印紙の金額もとても安いです。
ただ、少額訴訟と同様で
相手に異議を出されてしまうと通常の裁判になってしまいます。
(しかもこの異議に理由はいりません)
そうなると弁護士に相談・依頼をする必要が出てきてしまいます。
「差押え」とは、相手に財産がある場合に
「相手の財産の権利を押さえてしまう」
という強力な手段です。
例えば、相手の不動産に対して差押えができた場合には
「その不動産を売ってその代金からお金を回収できる」
ということになります。
「仮差押え」は、
裁判が終わってから差し押さえるとなると
裁判が終わる前に財産を売ってしまうなどされるおそれがあるときに
裁判をする「前」に仮に押さえてしまう
というさらに強力な手段です。
担保金が必要になることがありますが
(ケースによってさまざまですが、
例えば不動産だと価値の10~30%くらいが相場です)
ただ、担保金は裁判が終われば返ってくるので
代金の回収のために資金があるのであればやってみる価値は大いにあります。
「差押え」「仮差押え」の手続は複雑で個人でやるのは難しいため
弁護士に依頼してやるのが無難な手続だと思います。
いかがでしたでしょうか。
後編ではそもそもトラブルにならないようにするためにはどうしたらよいかをお話したいと思います。
それではまた後編で!
取材協力:弁護士 松本 隆 先生
神奈川県弁護士会所属
所在地 神奈川県横浜市中区山下町70土居ビル4階
TEL 045-651-5115
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