MONEY
2023.11.27
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これからフリーランスになろうとしている人や、フリーランスになったばかりの人のなかには、開業届を出すべきなのかわからず困っている人も多いのではないでしょうか。できれば出す手間をかけたくないものの、出さないことによってデメリットが生じては困りますよね。
本記事では、フリーランスが開業届を出さないとどうなるのか、出すメリットとデメリットを紹介します。開業届は出したほうがメリットは大きいので、本記事を参考にぜひ提出することを検討してみてください。
目次
フリーランスの人が開業届を出さなかったとしても、特に罰則などはありません。原則所得税法により、事業の開始から1か月以内に提出することが義務づけられていますが、出さなかったからといって罰則は与えられません。提出を催促する案内がくることもないため、開業届を出さずに事業を継続することは可能です。
とはいえ、法律上義務として定められていることであるほか、出したほうがメリットは大きいため、開業届は出しておくことをおすすめします。
開業届の提出は決して難しい手続きではなく、所定の用紙に必要事項を記載して税務署に提出するだけです。基本的には出さないメリットはあまりないので、フリーランスとして事業を開始したら提出するようにしましょう。
先述のとおり、フリーランスとして事業を開始したら、原則開業届は出しておくべきです。以下でフリーランスの人が開業届を出したほうがいい理由とメリットを紹介するので、提出を迷っている人は確認してみましょう。
開業届を提出しておけば、確定申告で青色申告ができます。青色申告ができれば、大幅に節税することが可能です。確定申告には白色申告と青色申告があり、白色申告だと特に税制優遇はない一方で、青色申告では65万円もの控除が受けられます。青色申告をするだけで課税所得から65万円もの金額を差し引けるため、メリットは大きいといえます。
青色申告をする場合は、白色申告をする場合と比べて必要な書類が増えるデメリットがありますが、近年では会計ソフトを使えば手間をかけずにほぼ自動で作成することが可能です。日々の帳簿付けさえしておけば、確定申告に必要な書類は勝手に会計ソフトが作成してくれます。
会計ソフトを使っていれば、青色申告をするデメリットはとくにないでしょう。65万円の控除が受けられるかどうかは支払う税金に大きく影響するので、できる限り開業届を出しておき、青色申告ができる状態にしておきましょう。
開業届を提出しておけば、屋号で銀行口座が作れるのもメリットです。屋号で銀行口座が作れると、個人事業主としての信頼性が増します。
例えば、取引先に自分の口座へお金を振り込んでもらう際に、単なる個人の名前だと不安に思われることがあります。きちんと屋号がついた銀行口座を用意できれば、真面目に事業をやっている人だと安心感を与えられ、今後も取引先として仕事をもらえることにつながるでしょう。
個人名の銀行口座だと使えないわけではありませんが、少しでも信頼性を上げて事業を行いたいなら開業届を出しておくことをおすすめします。
法人用のクレジットカードを作れるのも、開業届を出しておくメリットの1つです。法人カードとはビジネスカードとも呼ばれるクレジットカードで、法人や個人事業主向けに作られています。法人カードを持っておけば、法人しか受けられない便利なサービスや特典を受けることが可能です。
例えば、事業に必要なビジネスツールが安くで利用できたり、出張用の航空券がお得に予約できたりと、クレジットカードによってさまざまな特典が用意されています。また、すべての経費を法人カードにまとめることで、会計管理が楽になるのもメリットです。
法人カードでは個人カードにはないさまざまな恩恵が受けられるので、開業届を出して1枚作成しておくといいでしょう。
開業届を出して青色申告ができるようにしていれば、条件に応じて同一生計の家族に対する給与を経費計上できます。青色申告を行う事業主と生計を共にしている配偶者や親族で、その年の12月31日現在で15歳以上であり、1年を通じて半年以上その事業に専従している家族なら給与を経費にすることが可能です。
本来であれば、生計を同一にしている家族への給与は経費にできません。開業届と青色事業専従者給与に関する届出書を提出したうえで、上記にあてはまる家族がいれば経費にできます。半年以上継続的に給与を支払っているなら、それなりの額にのぼるため、経費計上できれば大幅な節税につながるでしょう。
個人事業主自身の退職金を用意できる小規模企業共済は、開業届を出していないと入れない制度です。小規模企業共済は、毎月共済金を積み立てることで個人事業主自身の退職金を準備しておける制度を指します。
個人事業主は会社員とは違い、事業をやめるときに退職金は受け取れません。小規模企業共済で毎月コツコツとお金を積み立てておけば、廃業した際にまとまったお金を退職金のように受け取ることが可能です。廃業後にある程度まとまったお金がないと生活が心配な人や、老後に備えておきたい人におすすめの制度といえます。
また、小規模企業共済の掛け金は全額を所得控除の対象にできるため、節税効果があるのもメリットです。掛け金の全額が対象なので、仮に毎月2万円積み立てるとすれば、毎年24万円もの額を課税所得から差し引けます。廃業後に備えたお金を準備しつつ、節税もできる魅力的な制度なので、必要なときに加入できるよう開業届は提出しておくといいでしょう。
開業届を出して青色申告をできるようにしておけば、赤字が出た場合でも最大3年間繰り越しができます。赤字の繰り越しとは、赤字が出た翌年以降に黒字化したとしても、赤字の年に出た損失を所得から差し引いて節税できる仕組みです。
例えば、去年赤字を出してしまい、損失が200万円出たとします。今年は事業がうまくいって黒字化に成功し、所得が300万円になったとしましょう。本来なら今年は所得の300万円に対して課税されますが、去年赤字を出して損失が200万円出たので、今年の所得300万円から200万円を差し引き、今年の所得は100万円として申告することが可能です。
この繰り越しを、金額に応じて最大3年まで行えます。赤字の繰り越しは白色申告だとできないため、開業届を出して青色申告をできるようにしておかなければなりません。損失の額によっては翌年の税金額に大きく影響するため、赤字を出しても損をしないよう開業届は出しておくことをおすすめします。
開業届は、こどもの保育園に就労証明書として提出できる場合があります。フリーランスや個人事業主の場合は、所属する会社がないため企業から就労証明書を出してもらうことができません。自分で作成するケースもありますが、信ぴょう性が低いと判断される可能性もあることから、開業届を提出するよう求められることがあります。
開業届を出していないと、自分で作成する就労証明書が認められない場合に、こどもを保育園に預けられなくなる可能性も否めません。こどもを保育園に預けられないと仕事ができず、生活に支障をきたす場合もあります。決して多大な手間がかかる手続きではないので、先のこともみすえた上で開業届を準備しておくといいでしょう。
開業届を出して事業を行っている人のほうが、社会的信用は得やすい傾向にあります。開業届を出していれば、真剣に個人で事業を行っている人、行おうという意志のある人とみなされやすいでしょう。特に、信頼性が重要な事業を行う予定の人や、多くの取引先とやり取りする必要がある人は、なるべく開業届を出しておくのが無難です。
開業届を出しておけば、事業融資を受ける場合などにも、屋号を記載することができます。屋号を記載したほうが真剣に事業に取り組んでいると印象付けやすいので、融資も受けやすくなるでしょう。
フリーランスが開業届を出すデメリットは基本的にありませんが、一部の人は気をつけたいポイントがあります。扶養に入っている人や失業保険を受け取っている人は注意が必要なので、以下で詳細を確認しましょう。
配偶者の扶養に入っている人は、開業届を出すと扶養から外れる可能性があるため注意が必要です。配偶者が加入している健康保険組合によってルールは異なるので、開業届を出す前には必ず確認しておいてください。
扶養に入る条件は、「年収130万円まで」「所得130万円まで」など健康保険組合によってさまざまです。年収や所得に関わらず、開業届を出して個人事業を開始したらその時点で自営業者として認定され、扶養には入れないと定めているケースもあります。年収や所得が少ないからといって安心せず、必ず事前にルールを問い合わせておきましょう。
もし扶養から外れてしまうと、自分で健康保険料などを支払わなければならず、負担が増える可能性があります。あとから慌てることのないよう注意してください。
失業保険を受け取っている人は、開業届を提出すると受け取れなくなるため注意しましょう。以前まで会社に勤めていたものの退職し、それ以降現在も失業保険を受け取っている場合は、開業届を出すと再就職する意志がないと判断され給付は終了します。
失業保険は、企業へ再就職する意志と能力があることを前提に、給付が受けられる制度です。フリーランスや個人事業主として開業届を出すことは、個人で事業を営んでいくことを意味するため、企業へ再就職する意志はないとして給付が止められます。
開業届を出すタイミングをしっかり検討し、給付が止まっても問題ないかどうかあらかじめよく考えましょう。
開業届を提出する際には、税務署やインターネットで開業届を取得して必要事項を記入し、税務署へ提出するだけで完了します。税務署へ赴いて紙面をもらうことも可能なほか、国税庁のホームページからダウンロードすることも可能です。
紙でもらった場合は、そのまま手書きしても問題ありません。オンラインで行う場合は、e-Taxを利用してパソコン上で記入できます。必要事項を記入したら、税務署に直接持参して提出するか、郵送するか、オンラインで提出するか、自分の都合に合った方法で提出しましょう。郵送する場合は、控えを返送してもらえるよう返信用封筒と切手を同封してください。
提出が完了したら、控えは大切に保管しておきましょう。開業届の控えは、事業用の銀行口座を開設するときや、小規模企業共済へ加入するときなどさまざまなシーンで必要なので、なくさないようにしておくことが重要です。
最後に、開業届に関してよくある質問を紹介します。開業届を出すのが遅れた人や、副業をやっている人などは確認しておいてください。
開業届を出すのが遅れても、さかのぼって提出できます。所得税法では原則事業の開始から1か月以内に提出するよう義務づけられていますが、遅れても特に罰則はありません。遅れたからといって提出するのを諦めず、気づいた時点で提出することをおすすめします。
開業届を提出しておけば、本記事で紹介したさまざまなメリットを享受することが可能です。開業届を提出していないと損をするケースもあるので、気づいた時点や出そうと思った時点で提出しておきましょう。
副業であっても、事業として認められるものであれば原則開業届の提出が必要です。フリーランスや個人事業主と同様に、提出しなくても罰則などはありませんが、原則提出が義務付けられています。
副業でも事業として認められるのは、投資用に賃貸物件を所有して不動産所得を得ている場合や、会社員とは別でほかの仕事を長く継続して行っている場合などが該当します。
一方で、フリマアプリで不要なものを売っただけの場合や、たまにハンドメイド商品をネットで販売している場合、趣味程度で少しだけ何らかの創作活動で収入を得ている場合などは、事業にはなりません。
開業届を出さなくても、確定申告は必須です。所得があるのに確定申告を行わなければペナルティが科せられるので、十分に注意してください。開業届は出さなくてもペナルティはありませんが、確定申告は税金を納めるためのものなので、所得がある人は必要です。
所得があるのに確定申告を行わなかった場合は、無申告加算税や延滞税などが重くのしかかります。無申告加算税や延滞税は決して軽くなく、無申告だった所得額に応じて15〜20%など重い割合で税金が科されます。場合によっては、所得隠しとして刑事事件に発展するケースもあり、重大な事態に発展しかねません。
開業届を出さないと決めた場合でも、必ず確定申告は毎年きちんと行ってください。
本記事では、フリーランスや個人事業主が開業届を出すべきかどうかや、出すメリット・デメリットなどを解説しました。開業届は出さなくても罰則などはありませんが、提出しておけば屋号で銀行口座が作れたり、赤字を繰り越せたりとさまざまなメリットがあるため、特別な理由がない限りは提出しておくのがおすすめです。
ただし、配偶者の扶養に入っている人や、現在失業保険の給付を受けている人は、開業届を出すと扶養から外れたり給付が終わったりするため必ず事前に確認してから検討しましょう。開業届を出さないとしても、確定申告は必要です。無申告だと重いペナルティが科されるので、忘れないようにしましょう。