MONEY
2023.11.21
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消費税額を正しく算出する目的を持つインボイス制度は、消費税の仕入税額控除に大きな影響を及ぼします。
しかし、インボイス制度の詳細や仕組みをイマイチ理解できていない事業者も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、「インボイス制度をもっと分かりやすく簡単に説明してほしい」「税金に詳しくなくても詳細を把握できるようにかみ砕いて教えてほしい」という方のために、インボイス制度の概要について詳しく解説していきます。
インボイス制度の基礎知識、インボイスの発行と受取のコツ、インボイス制度による影響、インボイス制度対応への経過措置をテーマに取り上げていくので、自身の立場に合わせて適切な対応を行っていきましょう。
目次
インボイス制度への対応方法を模索している事業者の中には、「そもそもインボイス制度ってどういう内容の制度なの?」「どうしてインボイス制度が導入されることになったの?」といった疑問を抱える層も多いのが実情です。
インボイス制度とは、消費税に関する制度のことを指します。
売り手である仕入れ先と買い手の事業者の間で交わされる書類で、消費税の仕入税額控除を受けるために必要不可欠な存在です。
どちらの立場であってもインボイス制度の影響を受ける可能性が高いため、概要を把握しておくよう心掛けましょう。
以下では、インボイス制度の詳細、導入された目的、インボイス自体に関する基本情報について簡単かつ分かりやすく説明していきます。
適格請求書等保存方式、通称インボイス制度は、2023年10月1日に導入された消費税上の制度のことです。
消費税の仕入税額控除を受けるために、インボイス(適格請求書)が使用されます。
消費税の仕入税額控除とは、事業者が仕入れの際に支払った消費税に対して受けられる控除です。
インボイスは仕入れ先である売り手が発行する仕組みになっており、事業者は消費税の仕入税額控除を受けるにあたってインボイスを保存しておくことが必須となります。
ただし、インボイスの発行ができるのは、発行事業者の登録を済ませている事業者のみです。
仕入れ先が発行事業者でない場合は、買い手側は消費税を控除できなくなる点に注意しなければなりません。
インボイス制度が導入された目的に、消費税額の把握が挙げられます。
2023年10月時点において、消費税率は8%と10%の2つが混在している状態です。
2019年に消費税法や地方税法の改正が行われたことを受けて、消費税は10%が原則となりました。
一方で、飲食料品や定期新聞にかかる消費税は8%のままで固定されたため、2種類の消費税率が適用されています。
インボイス制度の導入前は、売り手が発行する書類に税率の記載は義務付けられていませんでした。
買い手側が自由に税率を追記できたため、消費税の仕入税額控除を受けるにあたって税率の虚偽申告を行っている買い手の存在が指摘されていました。
インボイス制度は、不正を撲滅するために導入された制度です。
導入後は、税率を必ず売り手によって記載される決まりになっています。
売り手による税率の記載がない場合は控除の対象外となるため、消費税率を国が正しく把握・処理できるというメリットがあります。
インボイスは、売り手である仕入れ先が買い手にあたる事業者に対して発行する書類です。
適用税率や消費税の金額を明確にするための書類ですが、インボイスという聞き慣れない言葉のせいで難しいイメージを持つ方も多くなっています。
インボイスは、レシートや領収書と役割が似ています。
レシートや領収書は適格簡易請求書と呼ばれており、適格請求書であるインボイスよりも記載内容が簡略化されている点が特徴です。
尚、仕組み自体はインボイスによく似ているレシートや領収書ですが、消費税の仕入税額控除を受けるにはインボイスの保存が必須となります。
インボイスの発行・受け取りの際には、以下の項目が網羅されていることを確認しましょう。
・インボイス発行者の氏名もしくは名称及び登録番号
・書類交付の受け取り側の氏名もしくは名称
・税率ごとに対価した金額と適用税率
・消費税の金額
・取引が行われた年月日
・取引内容(軽減税率対象品目の詳細)
インボイス制度では、自身の立場によって「発行」か「受取」なのかが変わります。
自身が売り手の場合はインボイスを発行する側になる一方、買い手では受け取る必要がある点を覚えておきましょう。
発行と受け取りではルールやポイントが違うので、自身の立場における対応方法を把握することが重要です。
それぞれの立場からのインボイス対応をマスターするためにも、インボイスの発行と受け取りのコツについて以下でチェックしてくださいね。
インボイスを発行する際は、記載事項の漏れがないように確認しましょう。
漏れがあると、正式なインボイスとしての効果を発揮できません。
買い手が消費税の仕入税額控除を受けられなくなってしまうので、インボイスに必要な詳細をきちんと記載することが大切です。
従来の方法である区分記載請求書を発行していた場合は、記載項目が似ているので注意しなければなりません。
以下のような共通点と違いがあるので、しっかりと詳細を把握した上で発行してくださいね。
|
区分記載請求書の項目 |
インボイスの項目 |
インボイス発行者の氏名もしくは名称 |
有 |
有 |
登録番号 |
無 |
有 |
書類交付の受け取り側の氏名もしくは名称 |
有 |
有 |
取引が行われた年月日 |
有 |
有 |
取引内容(軽減税率対象品目の詳細) |
有 |
有 |
税率ごとの税抜・税込金額の合計 |
有 |
有 |
税率ごとの適用税率 |
無 |
有 |
税率ごとの消費税の金額 |
無 |
有 |
また、書面ではなく電子版のインボイスを発行する場合は、専用システムの導入が必須となる点にも気を付けましょう。
消費税の仕入税額控除を受けたい場合、仕入れ先からインボイスの発行を行ってもらう必要があります。
発行事業者への登録が完了している事業者しかインボイスは発行できないので、仕入れ先が登録済みかどうかをあらかじめ確認しておくことが大切です。
もし仕入れ先が法人ではなく個人の場合は、直接相手に問い合わせるようにしましょう。
登録が完了している仕入れ先とその他の仕入れ先を伝票の色などで分けておくと、処理の際に判別しやすくなるのでおすすめです。
また、消費税の仕入税額控除を受けるにあたって、買い手から受け取ったインボイスを保存しなければなりません。
インボイス制度の導入に伴い、売上税額と仕入税額の算出方法が変わっています。
従来の会計ソフトでは計算できないので、インボイス制度と互換性のあるものを見つけておきましょう。
尚、インボイスを書面ではなく電子版で受け取った場合は、電子帳簿保存法に準じた保存方法を行う必要があります。
インボイス制度は、さまざまな立場の事業者に影響を与えています。
特に大きな影響を受けるのが、課税事業者です。
課税事業者はインボイスが発行可能なので、登録、インボイスの作成、新システムの導入といった多方面における対応を行われなければなりません。
また、一見インボイス制度の影響が少ないイメージの免税事業者にも、取引先を失うリスクがあります。
ここでは、インボイス制度によって課税事業者と免税事業者が受ける影響をお話ししていきます。
課税事業者とは、消費税の納税義務が発生する事業者のことです。
課税期間と基準期間の課税売上が1,000万円以上になると課税事業者として扱われる仕組みで、法人はもちろん、個人事業主も課税対象となります。
課税事業者の場合、自社がインボイス制度に対応するかどうかを決める必要があります。
インボイスを発行しないのであれば、従来の請求書をそのまま使用可能です。
ただし、買い手となる取引先が消費税の仕入税額控除を受けられなくなるため、自社の取引先の課税事業者と免税事業者の割合を踏まえて導入を検討しましょう。
導入する場合は、登録事業者番号を得るためにインボイス発行事業者への登録を済ませなければなりません。
また、インボイスには他の書類とは違う独自の記載項目などが多く、漏れがないように注意することが大切です。
税率ごとの消費税額の計算と端数処理なども必要になるため、インボイス制度に対応している新たなシステムの導入も行いましょう。
課税期間と特定期間の課税売上及び給与の支払額が1,000万円以下の事業者は、納税義務が発生しない免税事業者に分類されます。
また、事業を開始して2年以内の個人事業主も免税事業者とされており、消費税の納付は免除されている点が特徴です。
元から消費税を納める必要がない免税事業者は、インボイスの発行はできません。
インボイス発行事業者への登録は課税事業者のみを対象としており、免税事業者はインボイス制度がはじまっても従来の請求書を発行可能です。
ただし、取引先が消費税の仕入税額控除を希望している場合、インボイスを発行できない免税事業者は不利になる可能性があります。
「控除を受けたいから仕入れ先を課税事業者に変更しよう」「免税事業者を仕入れ先にするのはやめよう」といった理由から、契約などを打ち切られるパターンもある点に注意しましょう。
取引先が課税事業者の場合は、自社も課税事業者になってインボイス発行を検討する必要があります。
2023年10月からスタートしたインボイス制度ですが、実は経過措置が設けられていることはご存知でしょうか?
インボイス制度の導入に伴う対応の変化が大きいことから、課税事業者への業務負担が懸念されていました。
そこで、課税事業者がよりスムーズかつ負担を軽減しながらインボイス制度に対応できるように、長期的な経過措置期間を設けています。
以下では、経過措置の基礎情報、経過措置期間、経過措置期間に検討すべきことの3点について解説していきます。
「課税事業者で既にインボイスの登録を済ませている」という方はもちろん、「現時点では免税事業者だけど課税事業者の届け出を検討している」という方もチェックしていきましょう。
インボイス制度には、計10年間の経過措置が設定されています。
インボイス制度がはじまったのは2023年10月ですが、実は経過措置はインボイス制度の導入前にあたる2019年10月からスタートしています。
しかし、経過措置の存在自体を認識していない事業者も多く、「インボイス制度に経過措置があるなんて初めて聞いた」「経過措置中はどんなメリットを得られるの?」といった疑問が浮かびがちです。
本来、消費税の仕入税額控除を受けたい買い手は、売り手側からインボイスを発行してもらうことが必須です。
もし売り手がインボイス発行事業者への登録を済ませていない場合、買い手は仕入税額控除を受けられません。
しかし、例え売り手が免税事業者やインボイス発行事業者への登録していない課税事業者であっても、経過措置の間であれば買い手は納税免除が適用されます。
時期に応じて控除の割合は異なるものの、買い手と売り手の両方にとって大きなメリットです。
インボイス制度の具体的な経過措置期間は、大きく3段階に分かれています。
1段階目は、2019年10月からインボイス制度が実施される2023年10月までの4年間です。
区分記載請求書等保存方式を使うことで、仕入れ先が免税事業者であっても全額を仕入税額控除として処理できる仕組みになっていました。
そして、2段階目の開始は、インボイス制度が導入された2023年10月です。
2023年10月から2026年10月までの3年間にわたって、80%が控除の対象となっています。
2023年9月までは全額が仕入税額控除として処理されていたものの、導入後の3年間は20%分の税金を納める必要があります。
経過措置期間の3段階目は、2029年10月までの3年間で設定されています。
免税事業者からの仕入れに対して、50%が控除可能です。
インボイス制度の開始後は計6年間の経過措置期間ですが、控除の割合が3年目から減少する点に注意しましょう。
インボイスの経過措置期間は、2029年10月をもって終了します。
経過措置期間が終了すると、免税事業者からの仕入れに対する消費税の仕入税額控除が受けられなくなります。
事業の経済的負担が大きくなってしまうので、自身が買い手側の立場にあたる場合は2029年10月以降に免税事業者とどのように対応していくのかを考えておきましょう。
税負担を受け入れながら免税事業者からの仕入れを続けるのか、インボイス発行に対応している課税事業者のみと取引を行うのかを決めなければなりません。
また、もし自身が売り手側の立場である場合は、インボイス制度を導入するかどうかを決定する必要があります。
課税事業者はインボイス発行事業者への登録を行えばOKですが、免税事業者は課税事業者への転身が必須ということを覚えておきましょう。
インボイスの発行方法についてもマスターし、2029年10月までに問題なく対応できるように準備することが大切です。
インボイス制度の開始に伴い、売り手である課税事業者と免税事業者はもちろん、買い手への影響も考えられます。
課税事業者はインボイスに対応するか否かを選ぶ必要があり、導入するにあたって発行事業者への登録、インボイスの記載方法の確認、新しい会計システムの利用を行うことが必須です。
一方の免税事業者は、原則としてインボイスの対応に追われることはありません。
しかし、取引先が課税事業者の場合は、消費税の仕入税額控除ができないことを理由に契約数減少といったトラブルに直面する恐れがあります。
2029年10月まで継続する経過措置を上手く活用して、将来設計も交えた準備を行うように意識しましょう。
また、自身が買い手の立場にあたる場合は、インボイスの受け取りのコツをしっかりと押さえておくことが大切です。
スムーズに消費税の仕入税額控除を受けるためにも、処理しやすい保管の仕方、電子版の保存方法、対応システムの導入を検討してくださいね。