MONEY
2023.11.13
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2023.11.13
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個人事業主や副業を行っている人に課せられることがある個人事業税。なるべく支払う税金は抑えたいと思うなかで、個人事業税は自分にも課せられるのかどうか気になっている人もいるのではないでしょうか。そもそも個人事業税の概要をよく理解していないと、自分で判断できませんよね。
本記事では、個人事業税とはどんな税金か、かからない人もいるのかなどについて網羅的に解説します。納付書が届く時期にも触れているので、個人事業税の概要を知りたい人は確認してみてください。
目次
個人事業税とは、対象の業種を個人で営んでいる人に対して課せられる税金です。個人で仕事をしているすべての人に課されるわけではなく、国が法令で定めている業種にしか課されません。会社員以外での収入を得ていない人や、法人にはかからない税金です。
詳しくは後述しますが、個人事業税は業種に応じて3~5%の税率が設定されています。各種経費と控除を差し引いたあとの所得額に、所定の税率をかけて算出されます。
個人事業税は事業を行ううえで利用する公共のサービス等に対してかかるものであるため、支払った金額はすべて経費に計上することが可能です。
個人事業税は、全員が支払う税金ではありません。かかる人とかからない人がそれぞれ業種によって分かれるので、以下で詳細を確認しましょう。
個人事業税がかかる対象の業種とそれぞれの税率は、以下のとおりです。
区分
税率
業種
第1種事業(37業種)
5%
物品販売業・運送取扱業・料理店業・遊覧所業・保険業・船舶定係場業・飲食店業・商品取引業・金銭貸付業・倉庫業・周旋業・不動産売買業・物品貸付業・駐車場業・代理業・広告業・不動産貸付業・請負業・仲立業・興信所業・製造業・印刷業・問屋業・案内業・電気供給業・出版業・両替業・冠婚葬祭業・土石採取業・写真業・公衆浴場業(むし風呂等)・電気通信事業・席貸業・演劇興行業・運送業・旅館業・遊技場業
第2種事業(3業種)
4%
畜産業・水産業・新炭製造業
第3種事業(30業種)
5%/3%
【5%】
医業・公証人業・設計監督者業・公衆浴場業(銭湯)・歯科医業・弁理士業・不動産鑑定業・歯科衛生士業・薬剤師業・税理士業・デザイン業・歯科技工士業・獣医業・公認会計士業・諸芸師匠業・測量士業・弁護士業・計理士業・理容業・土地家屋調査士業・司法書士業・社会保険労務士業・美容業・海事代理士業・行政書士業・コンサルタント業・クリーニング業・印刷製版業
【3%】
あんま/マッサージ又は指圧/はり/きゅう/柔道整復/その他医業に類する事業・装蹄師業
引用:東京都主税局
上記の業種に当てはまる人は、毎年個人事業税を収めなければいけません。
個人事業税がかからない業種は、上記の表に該当しないものすべてです。主に以下の職業が挙げられます。
上記のように、対象業種でない場合は原則個人事業税がかかりません。ただし、あくまでも対象業種にあてはまるかどうかの判断は税務局や自治体が行います。具体的にどんな業務を行っているかによって、個人事業税の対象業種に含まれると判断される場合もある点に注意が必要です。
また、申告の仕方によっても対象か対象外か変わることもあるので要注意。例えば、画家なのにデザイナーとして申告してしまうと、課税対象になる場合があります。明確なルールが分からず不安な人は、税理士や自治体に確認するのもひとつの手です。
対象外の業種以外にも、個人事業税がかからない人もいます。個人事業税には290万円の事業主控除が適用できるため、所得が290万円以下であれば課されません。あわせて、災害によって損害を受けた人や、生活保護を受けている人、障害を患っている人など、各種減免が受けられる人も個人事業税の対象外です。
個人事業税は、その名から個人事業主として開業届を出して事業を営んでいる人にのみ課せられると思われがちですが、副業をしている人も該当する点に注意が必要です。開業届を出さず、単に会社員と平行して副業をしているだけでも、業種や所得が条件にあてはまれば個人事業税を支払わなければいけません。
副業による所得が年間290万円以上あり、対象の業種を営んでいれば個人事業主の対象です。副業だからといってかからないと安心していると慌てることになりかねないので、あらかじめ理解しておきましょう。
個人事業税の納付時期は、8月末と11月末を締め切りとして課せられるのが一般的です。8月末や11月末が近づいたタイミングで自宅や事業所に納付書が届くため、案内に従ってクレジットカードや現金振込、口座振替やスマホ決済などで支払います。自治体によっては期限が異なる場合もあるので、あらかじめ確認しておくと安心です。
なお、個人事業税は確定申告を行っていれば自治体側で計算して金額を算出し、納付依頼を送付してくれるため、自分で別途算出したり申告したりする必要はありません。万が一確定申告をしていない場合は、翌年度の3月15日までに個人事業税申告書を提出する必要があります。
個人事業税は、経費を差し引いた所得からさらに控除を差し引き、業種ごとに定められた税率をかけるだけで算出できます。計算式は以下のとおりです。
収入が600万円、必要経費が200万円、適用できる控除が290万円、税率が5%と仮定すると、以下の計算ができます。
なお、個人事業税に適用できる控除には、事業主控除や損失の繰越控除などがあります。全員が適用できるのは事業主控除で、一律290万円です。
個人事業税は、支払った全額を必要経費として計上できます。事業を行うなかで利用した公共サービスなどに対して支払うものと定義づけられているほか、事業を営むために必要な支出と判断されるため、すべて必要経費にすることが可能です。
個人事業税を支払ったときは、借方は租税公課、貸方は現金として仕訳をします。会計ソフトを利用していれば簡単に登録できますが、念のため理解しておくといいでしょう。
個人事業税が対象の人は、いくつか注意しておくべきポイントがあります。あとから慌てることのないよう、あらかじめ確認しておきましょう。
個人事業税の対象者は年間290万円の事業主控除が適用できますが、事業を行った期間が1年未満だと290万円の満額を適用することはできません。事業主控除の額は、事業を行った月数に応じて以下のように設定されます。
事業を行った月数 |
適用できる事業主控除の金額 |
1ヶ月 |
242,000円 |
2ヶ月 |
484,000円 |
3ヶ月 |
725,000円 |
4ヶ月 |
967,000円 |
5ヶ月 |
1,209,000円 |
6ヶ月 |
1,450,000円 |
7ヶ月 |
1,692,000円 |
8ヶ月 |
1,934,000円 |
9ヶ月 |
2,175,000円 |
10ヶ月 |
2,417,000円 |
11ヶ月 |
2,659,000円 |
12ヶ月 |
2,900,000円 |
事業の継続期間が1年間に満たない場合は、月数に基づいて上記のように金額が変動するため、あらかじめ認識しておきましょう。
個人事業税はクレジットカードでも納付できて便利ですが、別途手数料が発生する点に注意しましょう。手数料は自治体によって異なる可能性がありますが、一般的には1万円までの場合に37円(税抜)、以降1万円ごとに75円(税抜)が加算されます。
個人事業税の納税額が5万円だった場合は、税込みで370円かかります。個人事業税の額が高くなればなるほど手数料はかさむので、念のため理解しておきましょう。
最後に、個人事業税に関してよくある質問を紹介します。納付書の届く時期や不動産貸付業を営んでいる人のケースについて解説するので、気になる人は確認しておきましょう。
個人事業税の通知や納付書が届く時期は、だいたい8月と11月と考えられます。個人事業税の納付期限は毎年8月末と11月末の2回に分かれており、期日の少し前に送られると考えられるでしょう。
ただし、自治体によって納付期限や通知時期は異なる可能性があるほか、個々の事情によって変動する場合もあります。所得税の申告修正があり金額が変わった場合や、年の途中で事業を廃止した場合などは、改めて違う時期に納付書が届くこともあります。
うっかりしていて納付書を確認し忘れ、納付期日に間に合わないことのないよう、年間を通して税金の支払い期日や通知などはきちんと確認するようにしましょう。
不動産貸付業は、個人事業税の対象である第一種事業と定められているため、基本的には個人事業税の対象です。税率は5%に定められています。ただし、不動産貸付業と認定されるには条件があり、それを満たした場合にのみ個人事業税が発生します。不動産貸付業として認定される基準は、以下のとおりです。
基本的には上記に当てはまらない限り、不動産貸付業には認定されないため個人事業税の対象にはなりませんが、状況によっては規模の基準を補完される場合もあります。不明な場合は、税理士や自治体に問い合わせるといいでしょう。
本記事では、個人事業税とは何か、かかる人はどんな人かなどを網羅的に解説しました。個人事業税は、対象の業種を営んでいる人にのみかかる税金です。ライターやエンジニアなど個人事業税が対象外の人もいますが、あくまでも自治体が判断するため、個人事業税の対象業種だと判断される可能性がある点には注意しましょう。
個人事業税は、8月と11月の2回に分けて支払うのが一般的です。期日の少し前に納付書が届くと考えられるため、確認し忘れないよう気をつけましょう。個人事業税は全額経費に計上できるので、節税のためにも忘れず計上することが大切です。