フリーランスイラストレーターになるには？失敗しないためのコツも解説

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イラストレーターとして働いている人のなかには、フリーランスとして独立したいと考えている人も多いはず。しかし、フリーランスイラストレーターになったらどのくらい年収が稼げるのか気になったり、失敗したらどうしようと不安になったりする人も少なくありません。

本記事では、フリーランスイラストレーターになるための方法や、失敗を防ぐ方法などについて解説します。仕事の取り方にも触れるので、フリーランスイラストレーターになることを検討している人はぜひチェックしてみてください。

フリーランスイラストレーターとは？仕事内容を紹介

フリーランスイラストレーターとは、会社に属さず個人でイラストレーターの仕事を請け負うことを指します。仕事内容自体は会社員のイラストレーターと同じです。クライアントからの依頼に沿って、さまざまな媒体のイラストを描きます。

最近ではデジタルでイラストを描くことがほとんどなので、IllustratorやPhotoshopを用いて仕事をするのが基本です。過去には雑誌や本、ポスター、広告など紙媒体のイラストが多かったものの、今ではソーシャルゲームやネット広告などデジタルイラストの依頼が大多数を占めると考えられます。

会社員とフリーランスイラストレーターの違い

会社員とフリーランスイラストレーターには、収入の安定性や働く場所などに違いがあります。それぞれメリットとデメリットがあるので、以下で確認しておきましょう。

収入が不規則

フリーランスイラストレーターは、会社員と違って収入が不規則です。会社員は一般的に固定給が設けられているため、毎月安定した収入を得られますが、フリーランスの場合は毎月受けた仕事の量によって変動します。

仕事がたくさんもらえたときには収入も増えますが、うまく仕事を得られなかったときには収入が減るほか、最悪の場合は0円の月もあるでしょう。必ずしも毎月安定して仕事が受けられるわけではないため、収入が得られない月が続く場合もあります。

企業側は、会社員だと法律上すぐ簡単に解雇することは難しいものの、フリーランスの場合は比較的簡単に仕事の依頼をストップすることが可能です。仕事を失うリスクはフリーランスのほうが高く、収入の安定性も悪い点は理解しておきましょう。

働く時間や場所が自由

フリーランスイラストレーターは、会社員とは違い働く時間や場所に制限がありません。会社に属していないため、自分の好きな場所で好きな時間に働けます。始業時間や就業時間に決まりもなく、クライアントから要求されない限り出社の必要もありません。

出社を依頼したり、稼働時間を指定したりするクライアントや案件も一定数存在しますが、嫌ならその仕事は受けなければよいため、自分の働きたい場所や時間に合った仕事が選べます。

都会での暮らしに疲れた人は地方に住むこともできるほか、海外にいても仕事はできます。家族との時間を確保しながら、少ない稼働時間のみで働くことも可能です。フリーランスは、自分の過ごしたいライフスタイルに合わせて自由に働く時間や場所を設計できるのが最大の魅力ともいえます。

好きに仕事を選べるが自分で探す必要がある

フリーランスは会社員と違い好きな仕事を選べますが、自分で探す必要があります。会社員であれば、会社から依頼されたことは基本的にすべて対応する必要がありますが、フリーランスは自分がやりたくない仕事は受ける必要がありません。

ただし、仕事はすべて自分で探す必要があり、常に選り好みできるわけではない点に注意が必要です。とくにフリーランスになりたての初期には、なかなか仕事がもらえないことが多いため、嫌な仕事でも生活のために受けなければいけないケースもあります。

ある程度選択肢があるときには好きな仕事だけ選べますが、必ずしも選べるほどに仕事があるとは限らない点に注意しましょう。

事務処理や経理処理、タスク管理などすべて自分で行う

フリーランスイラストレーターは、仕事に関する事務処理や経理処理、スケジュール管理やタスク管理などをすべて自分で行う必要があります。会社にもよりますが、会社員であれば事務処理は事務員、経理処理は経理担当者がやってくることがほとんどです。

フリーランスになりたての人が最もつまずきやすいのが、確定申告です。ずっと会社員として働いてきた人だと、副業や投資などをしていない限り確定申告はやったことがなく知識がないケースが多いでしょう。

最近では会計ソフトを使って簡単に行なえますが、きちんと理解するためにはある程度の勉強が必要であるほか、やったことがない人だとはじめは難しく感じます。

また、タスク管理やスケジュール管理など、あらゆる自己管理も自分で徹底することが必要です。会社員であれば、状況に応じて上司や先輩が適宜状況を確認して管理してくれたり、できていないことがあれば発破をかけてくれたりすることもあります。

フリーランスとして働くうえで面倒を見てくれる上司や先輩はいないので、各種管理はすべて自分ひとりの責任のもとで行う必要があります。

オリジナリティのあるイラストがより重要

会社員のイラストレーターよりも、フリーランスイラストレーターのほうがオリジナリティを求められる傾向にあります。会社員であれば会社が受けた仕事の内容に沿ってイラストを描くのが基本ですが、フリーランスはオリジナリティをより一層発揮し、人には描けないようなイラストでアピールすることの重要性が増します。

自分にしか描けないイラストを描くことで、この人に描いてほしいと依頼を集めることが可能です。会社員だとあくまでも会社が受けた仕事に対して、クライアントの要望に沿って描くことが基本なので、さほどオリジナリティを発揮することは求められていないといえます。

人の印象に残るイラストや、ほかの人には真似できないイラストを描く力がより重要になるため、会社員のときよりもスキルや感性を磨く必要があると理解しておきましょう。

フリーランスイラストレーターになる前に必要なことは？

フリーランスイラストレーターになりたい場合は、無計画ではなくきちんと必要な準備をしておくことが重要です。失敗しないように、以下で必要な準備を確認しておきましょう。

実務経験を最低3年は積んでスキルを身につける

フリーランスになりたいなら、最低でも3年はイラストレーターとして実務経験を積んでおくことをおすすめします。フリーランスとして案件を受ける場合には、実務経験があることを必須条件とされることがほとんどです。

なかには1年など短い実務経験でもよいとするケースや、年数ではなく特定の仕事に携わった経験があればよいとするケースもありますが、あまり高単価な仕事はない可能性があります。

フリーランスイラストレーターとして長く活躍し、しっかり稼いでいきたいと考えるなら、最低でも3年の実務経験は積んでおくべきでしょう。3年の経験があれば、あらゆる案件の必須条件に対応できると考えられます。

あらゆる人脈を作っておく

フリーランスとして独立する前に、幅広く人脈を作っておくことも重要です。フリーランスにとって人脈は非常に重要であり、人脈があればあるほど仕事に役立ちます。

フリーランスが仕事を受けるうえでは、人脈をたどって仕事を紹介してもらえると最も効率的です。例えば前職の同僚や同業界の知人など、とくに同じ業界で人脈を広げておくと、フリーランスになってから仕事をもらえるチャンスにつながります。フリーランスになったことを周囲に伝えておけば、思いがけないところから声がかかることもあるでしょう。

万が一仕事が受けられなくなって収入が途絶えそうになっても、人脈が広ければ誰かが助けてくれる可能性もあります。いろいろな場所へ出かけたりイベントへ出席したりして、なるべくたくさんの人脈を形成しておきましょう。

充実したポートフォリオを作る

会社員のときや副業中になるべくたくさんの経験を積み、充実したポートフォリオを作っておくことも欠かせない準備のひとつです。ポートフォリオとは、案件に応募する際に判断材料として使われるもので、今まで自分が制作した作品を集めたものを指します。

ポートフォリオは充実していればしているほど魅力的になるため、なるべくたくさんの実績を積んでポートフォリオを作り上げるのがおすすめです。

クライアントは、ポートフォリオを見てその人がどんなイラストを描く人なのか、自社の求めるイラストに近いものが描けそうか、センスはどうかなどを判断します。ポートフォリオに掲載されている作品が少ないと、仕事を依頼するかどうかの判断ができません。

実績をすべて載せる必要はありませんが、たくさん実績があればあるほど載せる作品を取捨選択できる範囲が広がります。充実したポートフォリオを作るためにしっかりと実績を積んでおきましょう。

未経験からフリーランスイラストレーターになるには？

未経験からフリーランスイラストレーターになるには、主に3つのステップをふむのが基本です。未経験でフリーランスイラストレーターになろうと志している人は、以下のステップを確認しておきましょう。

①まずはイラストレーターとしてのスキルを身につける

未経験の場合は、まずイラストレーターとしてのスキルを身につける必要があります。単に絵が描けるだけではイラストレーターになれないので、まずはイラストレーターに必要なスキルからしっかりと身につけましょう。

イラストレーターには、単に絵を描くだけでなく、イラストそのものに関する知識や、各種必要なツールを使いこなすスキルが必要です。ほかにも、デッサン力や配色スキルなども身につける必要があります。

未経験の人がイラストレーターの経験を積む方法には、未経験イラストレーターを採用している会社に入ることや、独学で学ぶこと、スクールに通うことが主に挙げられます。

20代の若い人なら、今から未経験でイラストレーターとして採用してくれる会社に入る手も有効ですが、30代以上になると難しい可能性が高いでしょう。独学する場合は、モチベーションを高く維持して勉強できる人なら問題ありませんが、わからないところが出てきたときに解決しきれない可能性があります。

スクールならお金はかかりますが、しっかりとサポートしてもらえるうえ、スクールで作成した作品はポートフォリオにも使用が可能です。

②副業からはじめて実績を積み上げる

イラストレーターとして最低限のスキルを身につけたら、まずは副業として仕事をスタートさせてみましょう。スキルや経験が浅い状態でいきなり専業になると、うまく収入が得られず生活に困る可能性があります。

また、はじめたばかりのときは、低単価であってもとにかくたくさん仕事を受けて実績につなげることが重要です。副業なら低単価でも生活に支障をきたさないため、まずはコツコツと小さな仕事から実績を積みましょう。

③十分な経験とスキルを習得したら独立する

副業で十分な経験と実績を積み上げ、ひとりでイラストレーターの仕事を全うできるくらいのスキルを習得したら、フリーランスとしての独立を検討しましょう。

勤めている会社を辞め、開業届を出せばフリーランスとしての生活がスタートします。国民年金保険や国民健康保険の手続きなども忘れず行いましょう。

フリーランスとして独立したら、続けていた副業をやりながら新しい仕事を探すのが無難です。フリーランスイラストレーターの仕事の取り方は、次項を確認してみてください。

フリーランスイラストレーターの仕事の取り方

フリーランスイラストレーターが仕事を獲得するには、人脈をたどる方法やフリーランスエージェントを利用する方法などがあります。それぞれ特徴は異なるので、以下で自分に合った方法を探してみましょう。

人脈をたどって仕事をもらう

フリーランスにとって最も仕事を効率的に受けられる方法が、人脈をたどって仕事をもらうことです。友人や知人、前職の同僚などであれば、コミュニケーションもスムーズで、粗悪な案件をつかむリスクも低く安心できます。

同僚や先輩、後輩など仕事関係の知り合いであれば、ある程度自分のスキルも理解してくれているため、自分に合った仕事かどうかを判断したうえで紹介してくれる可能性も高いでしょう。事前の条件交渉などもやりやすく、スムーズに仕事が始められます。

ただし、知り合いや友人だからこそ起きうるトラブルもあるため注意が必要です。せっかく仕事を紹介してもらったのに、クライアントの信頼を損ねるような仕事をすると、友人関係にも悪影響を及ぼします。しつこく報酬アップを迫って嫌がられるなどのトラブルもありうるので、十分に注意しましょう。

フリーランスエージェントに登録する

なかなか人脈だけでは仕事がなさそうな場合は、フリーランスエージェントの利用も検討してみてください。フリーランスエージェントとは、フリーランスと企業のあいだに入って仕事を紹介するサービスです。

フリーランスエージェントは、多くのフリーランス向け案件を抱えています。案件にマッチしそうなフリーランスを探し、条件交渉などを経て双方合意が取れればマッチングさせるのが基本の流れです。

エージェントに登録すると、自分のスキルレベルや希望条件を事前にヒヤリングしてくれるので、自分に合った案件を紹介してもらうことが可能です。比較的単価が高い仕事や継続案件が多い傾向にあり、合う案件があれば安定的に仕事ができるでしょう。

報酬アップの相談や条件の緩和交渉など、少し言いづらい話も間に入って行ってもらえます。利用自体は無料であるものの、報酬から一定の手数料が引かれる点は覚えておきましょう。

クラウドソーシングを利用する

まだ独立して間もない人や、副業から始めるべきステップにいる人には、クラウドソーシングの利用がおすすめです。クラウドソーシングとは、企業や個人事業主などが不特定多数の人に対して業務を発注するスタイルを指します。

クラウドソーシングサービスにはさまざまなものがあり、登録をすれば案件を探して応募することが可能です。条件が合うと思ってもらえれば、受注に進みます。クラウドソーシングは近年日本で利用者が増加しており、フリーランスの仕事探しの場として定番化しています。

クラウドソーシングは掲載されている仕事が豊富で、比較的スキルが低い人でも受けられる仕事が多くある一方、単価は低いのが特徴です。単発でコツコツ実績を積みたいときに向いています。

ストックイラストサイトに登録する

ストックイラストサイトに登録して、お金を稼ぐのもおすすめな方法の1つです。ストックイラストサイトとは、自分が描いたイラストをサービス上に登録することで、継続的にイラストを販売できるサービスを指します。

有名なストックイラストサイトには、PIXTAやイラストACなどが挙げられます。1回利用されただけではわずかな金額しかもらえませんが、半永久的に掲載しておけるため、イラストが利用されるたびに報酬を得ることが可能です。

登録するイラストは自由に描けるので、利用されそうなイラストを考えながら複数登録するといいでしょう。

SNSを使って発信する

SNSを使って自分のイラストを投稿する方法も、近年増えているやり方です。SNSで発信することでファンが増えるほか、企業の目にとまって仕事の依頼につながることがあります。SNSを自分のポートフォリオとしても使えるので、一石二鳥です。

投稿することですぐにお金になるわけではありませんが、うまく運用できれば人気のクリエイターとして有名になれる可能性もあります。コツコツ継続が必要なので、あいた時間を使って運用してみるといいでしょう。

フリーランスイラストレーターとして成功するためのコツ

フリーランスイラストレーターとして成功するには、自己管理の徹底やスキルアップを怠らないことなどが重要です。せっかく独立したのに失敗する事態にならないよう、以下を確認しておきましょう。

自己管理を徹底する

フリーランスになると、何よりも自己管理を徹底することの重要性が高まります。会社員とは違い、フリーランスには有給休暇制度や傷病手当金制度がないため、病気や怪我で働けなくなったらその分の収入はゼロです。

働けば働いただけ収入が得られる反面、働けなくなればその分収入は得られないため、仮に入院をして長期的に働けなくなってしまうと、収入が途絶えて生活ができなくなります。また、案件を抱えている最中に体調を崩してしまうと、納期を守れずクライアントの信頼を損ねる可能性もあるでしょう。

毎日しっかり睡眠を取ることや、栄養バランスのとれた食事を摂取すること、適度に運動することなどを意識し、自己管理を怠らないようにしてください。

クライアントと信頼関係を築く

クライアントとの信頼関係を築くことも、フリーランスイラストレーターとして継続するうえで欠かせない要素です。クライアントと良好な信頼関係が築ければ、継続的に仕事を紹介してもらえる可能性が高まります。

仮に一度案件が終了しても、また次の機会に声をかけてもらえたり、関連会社や知り合いの案件を紹介してもらえる場合もあるでしょう。

クライアントと良好な信頼関係を築くためには、社会人として意識すべきマナーを守ることや、誠実に対応することが重要です。連絡はなるべく早く返す、きちんと敬意を払ってコミュニケーションを取る、納期は守る、礼儀正しくするなど、社会人として持つべき意識はきちんと徹底しましょう。

また、仕事を丁寧かつクオリティ高く行うことも、信頼関係を構築するうえで重要な要素です。どれだけ礼儀正しくても、アウトプットが伴わなければ仕事は依頼してもらえません。クライアントに満足してもらえる成果を上げられるよう、常に精度の高い仕事を行いましょう。

常にスキルアップを怠らない

常にスキルアップを怠らずに居続けることも、フリーランスとして活動する上で重要です。ずっと古い技術しか使えなかったり、新しい情報に疎かったりすると、ゆくゆく仕事がもらえなくなる可能性があります。

会社員であれば、多少受け身の姿勢であっても会社から研修の機会が与えられたり、同僚や上司から新しい情報が勝手に入ってきたりする環境にあります。会社そのものが時代に取り残されないよう努力するため、それについていけばある程度勝手に新しい技術や情報は手に入れることが可能です。

一方フリーランスの場合は、ひとりで仕事を受けてこなす毎日が続くため、自らスキルアップに励む動きを取らないとなかなか新しい技術や情報は手に入れられません。気づけば時代に取り残されてしまい、自分のスキルでは通用しなくなってしまう事態も考えられます。

会社員でも自己研鑽は必要ですが、それ以上に主体的にスキルアップに励む意思が必要だと理解しておきましょう。

フリーランスイラストレーターに関するFAQ

最後に、フリーランスイラストレーターについてよくある質問を紹介します。年収や失敗する原因について解説するので、気になる人はチェックしてみてください。

フリーランスイラストレーターの年収は？

フリーランスの場合は、イラストレーターに限らず収入は人によって大きくバラつきが出るため、一概にいくらとはいえません。例えば、意図的に稼働時間を減らして少ない収入で生活している人もいれば、毎日フルタイムで働いてしっかり稼いでいる人もいます。フリーランスは働き方を自由に決められるため、一概に年収に共通点は見いだせません。

ただし、イラストレーターは業界全体を見てもあまり収入が高い職業とはいえません。需要と供給のバランスが悪く、イラストレーターの数は非常に多いといわれているため、仕事の単価が低い傾向にあります。

フリーランスイラストレーターとして専業で余裕を持って食べていけるほど稼ぐには、よほどの売れっ子にならないと厳しいと考えられます。