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2023.08.29

法人保険の経理処理を解説!法人保険経理処理のポイントも紹介

※本ページはプロモーションが含まれています

 

 

法人保険を上手く活用することで、事業保障の確保や節税効果を高められます。

しかし、加入している保険の種類や保険料支払期間の経過によって、経理処理の方法は大きく異なります。

誤った経理処理を行うとペナルティなどのトラブルに発展する恐れもあるため、条件やシチュエーションごとの決まりを正しく理解しておくことが大切です。

この記事では、法人保険経理処理の方法について詳しく解説していきます。

2019年の税制改正の詳細、法人保険経理処理のポイント、経理処理の具体例も併せて説明していくので、「保険ごとの経理処理方法の違いが分からない」「税制改正後の新しいルールがイマイチ理解できない」といった悩みや疑問を解決しましょう。

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    法人保険経理処理とは

    法人保険経理処理とは

    保険に加入している法人は、規定のルールに則って経理上の処理を行う必要があります。

    2019年の税制改正によって細かいルールや条件などが変更されているため、正しく手続きを行うためにも最新の法人保険経理処理の方法について知識をアップデートすることが大切です。

    しかし、「そもそも法人保険経理処理って何なの?」「税制改正で具体的に何が変わったのかよく分からない」という方も多いのが実情です。

    ここでは、法人保険経理処理の基本情報に加えて、税制改正のポイントや税制改正による保険経理処理後のルール背景などもご紹介していきます。

    税制改正の影響を受けた保険の種類にも着目し、保険の手続きや経理業務のやり方を押さえましょう。

     

    法人保険経理処理とは

    法人保険経理処理とは、企業などが保険に加入している場合に行う経理上の作業のことです。

    保険に加入することで、保険料の支払い、解約返戻金の受け取り、保険金や満期保険金の受給をはじめとするお金の収支が発生します。

    契約形態、保険の種類、保険料の支払い方を基に資産計上するか損金算入するかが変わるため、法人保険経理処理の正しいやり方について把握しておくことは非常に重要です。

    また、加入している保険によっては、保険料支払期間の経過も法人保険経理処理に影響を及ぼします。

    最高解約返戻率が細かく分けられている保険の種類もあるので、条件やシチュエーションごとの仕訳の方法や勘定科目の分類を理解するように心掛けましょう。

     

    2019年に税制改正

    2019年の税制改正では、法人向けの定期保険と医療保険やがん保険を含む第三分野の保険における新ルールが加えられました。

    以前は被保険者の年齢や契約時の年齢と保険期間などを基準に損金算入額が決められていたものの、税制改正後は最高解約返戻率を基にしています。

    保険料の損金算入に関する細かい規定が設定されており、最高解約返戻率や保険期間の経過によって損金算入と資産計上の割合が異なる点に注意が必要です。

    尚、2019年に税制改正の影響を受けるのは、2019年7月8日以降に契約された法人保険です。

    2019年7月8日以前から加入している場合は対象外となるので、正しく経理処理するためにも契約時期を明確にしておきましょう。

     

    税制改正による保険計理処理後のルール背景

    2019年の税制改正は、法人保険を使った節税対策の制限を目的に実施されました。

    税制改正が行われる以前は、保険料の全額を損金算入できる法人向け保険が数々販売されていました。

    支払う保険料の全額が損金算入可能ということは、節税効果が非常に高いということを意味します。

    過剰な節税に繋がる保険商品も多かったことから、2019年の税制改正によって該当する保険の販売が停止されました。

    同時に節税効果の低い新ルールが設定されており、税制改正前のように全額損金算入を行うには既定の条件を満たす必要が出ています。

    状況によっては高い節税効果を期待しにくいため、法人保険=節税対策を強化できると考えている方は注意しましょう。

     

    法人保険経理処理のポイント

    法人保険経理処理のポイント

    法人が保険に加入する目的に、従業員の福利厚生の向上が挙げられます。

    また、支払う保険料を損金算入することで所得額が減るため、法人税の支払い金額を削減できる点も魅力です。

    福利厚生と節税効果の両方を実現できる法人保険ですが、経理処理を行うにあたって着目すべきポイントが3つあります。

    1つ目が契約形態で、契約者、被保険者、指定されている保険金・給付金の受取人によって経理処理上の仕訳や勘定科目などが変わります。

    さらに、定期保険、医療保険、がん保険、養老保険、終身保障といった保険の種類にも着目しなければなりません。

    加入している法人保険の貯蓄性の有無によって、資産計上するか損金算入するかが決まります。

    尚、第三分野保険を契約している法人は、保険料の支払い方法別に経理処理を理解しておくよう心掛けましょう。

    以下では、法人保険経理処理のポイントとして、契約形態、保険の種類、保険料の支払い方法の3点について深堀していきます。

     

    契約形態は?

    経理処理のやり方は、契約者、被保険者、保険金・給付金の受取人が誰であるかによって変わります。

     

    定期保険

    契約者:法人

    被保険者:役員や従業員

    保険金受取人:被保険者や遺族

     

    上記では、支払う保険料は「給与」として損金扱いになります。

    一方で保険金受取人が法人の場合は、「支払保険料」となる点に気を付けましょう。

     

    第三分野保険

    契約者:法人

    被保険者:役員や従業員

    保険金受取人:被保険者

     

    上記では保険料は「福利厚生費」になりますが、保険金受取人が法人の場合は定期保険と同様に「支払保険料」として損金計上します。

     

    養老保険

    契約者:法人

    被保険者:役員や従業員

    死亡保険金受取人:遺族

    生存保険金受取人:被保険者

     

    終身保険

    契約者:法人

    被保険者:役員や従業員

    保険金受取人:被保険者や遺族

     

    上記では、支払う保険料は「給与」として損金扱いになります。

    ただし、養老保険と終身保険の両方において、保険金受取人が法人の場合は「保険積立金」として資産計上することを覚えておきましょう。

     

    保険の種類は?

    法人保険経理処理を行うにあたって、加入している保険の種類を把握しておきましょう。

    一口に法人保険と言っても、経理処理の観点から貯蓄性のない保険と貯蓄性のある保険の2種類に分けられます。

    種類によって経理処理が違うため、どちらの保険に該当するかを知っておく必要があります。

    貯蓄性のない保険とは、掛け捨て型の保険のことです。

    掛け捨て型の定期保険、医療保険、がん保険などが含まれており、支払う保険料は損金算入として仕訳されるのが特徴です。

    一方で貯蓄性のある保険には、養老保険や終身保険などがあります。

    いざという時に保険金が支払われるのはもちろん、解約返戻金や満期返戻金なども受け取れる保険です。

    貯蓄部分は資産になると考えられているため、保険料を「保険積立金」といった資産で計上します。

    ただし、役員、従業員、遺族などが保険金の受取人となっている場合は、給与課税の対象になると同時に損金算入しなければならない点に注意してくださいね。

     

    保険料の支払い方法は?

    法人保険の経理処理を行う際は、保険料の支払い方法にも気を付けましょう。

    特に医療保険やがん保険を含む第三分野保険は、支払い方法によって経理処理の方法が異なります。

    終身保障タイプで保険料が全期払いのケースでは、定期保険と同様の経理処理を行います。

    「50%以下」「50%〜70%」「70%〜85%」「85%~」の4つの最高解約返戻率に沿って、資産計上や損金算入の割合を変更しましょう。

     

    終身保障タイプで保険料が短期払いでは、保険料払込期間中とその後で経理処理が違います。

    もし1人あたりの年間保険料が30万円を下回る場合、全額が損金算入可能です。

    対照的に1人あたりの年間保険料が30万円以上なら、保険料を払い終わるまでは保険料の一部を損金算入し、払込期間終了後は116歳に達するまで1年分のみの金額を損金算入します。

    第三分野保険=保険料の支払い方法によって経理処理が異なるということを理解し、状況に応じて正しく仕訳しましょう。

     

    法人保険経理処理の例

    法人保険経理処理の例

    法人保険の経理処理は、加入している保険の種類や状況によって異なります。

    シチュエーション別に経理処理の方法を理解しておく必要があるため、「色々な経理処理の方法があって自分には難しすぎる」「保険の種類ごとの経理処理例をまとめてチェックしておきたい」という方も多いのではないでしょうか?

    法人保険における経理処理は、やり方を押さえておけば誰でも簡単にマスターできます。

    ここでは、定期保険、第三分野、養老保険、終身保険、配当金の5種類の経理処理例をご紹介していきます。

    保険料、保険金や解約返戻金の受け取り時、退職時の名義変更といった細かいシチュエーションごとに説明するので、法人保険経理処理を正しく把握しておきましょう。

     

    定期保険

    定期保険の法人保険経理処理では、加入している保険の最高解約返戻率によって資産計上する割合が異なる点に注意が必要です。

    「50%以下」「50%〜70%」「70%〜85%」「85%~」の4種類に分かれており、それぞれの最高解約返戻率の資産計上期間ごとに以下のような資産計上割合や取り崩し期間が設けられています。

     

    最高解約返戻率

    資産計上期間

    資産計上の割合

    取り崩し期間

    50%以下

    なし(支払う保険料の全額を損金算入)

    なし

    なし

    50%〜70%

    保険期間の最初の40%

    支払う保険料の40%(60%は損金算入)

    保険期間の75%~保険期間の終了

    70%〜85%

    保険期間の最初の40%

    支払う保険料の60%(40%は損金算入)

    85%~

    保険期間開始~最高解約返戻率のピーク

    保険期間開始から10年目まで:最高解約返戻率×90%(10%は損金算入)

    保険期間開始から11年目以降:最高解約返戻率×70%(30%は損金算入)

    最高解約返戻率のピーク~保険期間の終了

     

    第三分野

    第三分野でも、前期払いに加入している場合は定期保険と同じ経理処理を行いましょう。

    終身保険の短期払いにしているのであれば、保険料払込期間中は以下のように処理します。

     

    借方

    貸方

    支払保険料

    前払保険料

    現金・預金

     

    支払保険料は、年間保険料×払込期間÷保険期間です。

    保険期間は116歳-契約年齢で算出し、現金・預金には、年間保険料を記載しましょう。

    保険料払込期間後から116歳に達するまでは、以下のように損金算入します。

     

    借方

    貸方

    支払保険料

    前払保険料

     

    また、実際に給付金を受け取った場合の経理処理は、以下のように行います。

     

    借方

    貸方

    現金・預金(給付金の額)

    雑収入

     

    退職時の名義変更の際は、資産計上済みの貸方の「預り金」は0円とします。

    借方では退職金と解約返戻金の合計を「退職金」とし、前払保険料累計から解約返戻金を引いたものを「雑損失」として計上しましょう。

     

    借方

    貸方

    退職金

    雑損失

    前払保険料

    現金・預金

    預り金

     

    一方で資産計上されていない場合は、以下のようにします。

     

    借方

    貸方

    退職金

     

    現金・預金

    預り金

    雑収入

     

    養老保険

    養老保険の経理処理のやり方については、被保険者が役員や従業員、死亡保険金の受取人が役員や従業員の遺族、生存した場合の保険金の受取人が法人という条件であることを前提に解説していきます。

    保険料の経理処理は、以下のように行いましょう。

     

    借方

    貸方

    保険料積立金

    福利厚生費

    現金・預金

     

     

    保険料を「保険料積立金」と「福利厚生費」で半分ずつ計上します。

    死亡保険金を受け取る場合の経理処理は、以下のように行っていきます。

     

    借方

    貸方

    雑損失

    保険料積立金

     

    もし満期を迎えた時点で被保険者である役員や従業員が生存していた場合は、以下に沿って記載します。

     

    借方

    貸方

    現金・預金

    保険料積立金

    雑収入

     

    「雑収入」の計算方法は、満期保険金-「保険料積立金」です。

    また、解約返戻金を受け取る際の経理処理は、満期を迎えた時点で被保険者が生存していた場合の経理処理と全く同じになります。

    「雑収入」の勘定科目については、解約返戻金-「保険料積立金」で計算しましょう。

     

    終身保険

    終身保険では、保険料を全額資産計上します。

     

    借方

    貸方

    保険料積立金

    現金・預金

     

     

    保険料積立金は、年間保険料に保険料支払日の為替レートを掛けて算出しましょう。

    また、解約返戻金を受け取る際は、以下のように経理処理を行います。

     

    借方

    貸方

    現金・預金

    雑損失

    保険料積立金

     

    雑損失の計算方法は、保険料積立金−(解約返戻金×返戻金受取日の為替レート)です。

    尚、死亡保険金を受け取るときは、以下のように記載します。

     

    借方

    貸方

    現金・預金

    保険料積立金

    雑収入

     

    雑収入は、保険料積立金-(死亡保険金×保険金受取日の為替レート)の計算式で算出します。

    退職時の名義変更の際は、以下に沿って経理処理をしましょう。

     

    借方

    貸方

    退職金

    現金・預金

    保険料積立金

    預り金

    雑収入

     

    「退職金」には、解約返戻金×名義変更日の為替レート+現金(退職金として受け取った金額)を記載します。

    「現金・預金」は、現金-源泉徴収税額で算出可能で、「預り金」には源泉徴収税額を書き込みましょう。

     

    配当金

    配当金の通知が来たら、経理処理は以下のように行います。

     

    借方

    貸方

    配当金積立金

    雑収入

     

    「配当金積立金」と「雑収入」には、通知された金額を書き込みます。

    実際に保険金を受け取る場合には、以下に沿って記載しましょう。

     

    借方

    貸方

    現金・預金

    保険料積立金

    配当金積立金

    受取配当金

    雑収入

     

    「雑収入」は、死亡保険金-(保険料積立金+配当金積立金+受取配当金)で算出します。

    また、解約返戻金を受け取る場合の勘定科目は、保険金を受け取る場合と全く同じです。

    「雑収入」の計算方法については、解約返戻金-(保険料積立金+配当金積立金+受取配当金)で割り出しましょう。

    尚、以下は、退職時の名義変更を行う際の経理処理です。

     

    借方

    貸方

    退職金

    現金・預金

    前払保険料

    配当金積立金

    預り金

    雑収入

     

    借方の「退職金」は、現金(退職金として受け取った金額)+解約返戻金+配当金積立金で計算します。

    貸方の「現金・預金」の勘定科目は、現金-預り金の計算式を使って割り出しましょう。

     

    まとめ

    まとめ

    福利厚生の充実や節税対策といったメリットを兼ね備えた法人保険ですが、加入している保険や状況によって複雑な経理処理方法が設けられています。

    保険料の支払いはもちろん、解約返戻金や保険金などを受け取る際にも経理処理を行う必要があり、シチュエーション別に正しい経理処理のやり方を把握することが大切です。

    また、契約形態、保険の種類、保険料の支払いなども、経理処理に影響を与える大きなポイントです。

     

    資産計上と損金算入を適切に区別し、保険期間の経過や最高解約返戻率などに関するルールに沿って経理処理を行いましょう。

    経理処理の方法を間違えると、税務署から修正を要求されてしまいます。

    時間や手間が発生するほか、場合によっては加算税などのペナルティを負うケースもあるので注意しなければなりません。

    2019年の税制改正の詳細や背景など、法人保険経理処理について多方面から理解を深めて、効率的かつ正確に経理処理を行ってくださいね。

     

     

     

     

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