MONEY
2023.07.27
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副業を始めたばかりの人のなかには、副業であってもかかった経費を計上していいのかわからず困っている人もいるのではないでしょうか。経費にできることは知っている人でも、何をどこまで経費にしていいかわからない人もいるはずです。
本記事では、副業でもかかった費用を経費計上していいかどうかについて解説します。経費として認められるものの詳細や、計上する際の注意点も解説するので、副業を始めたばかりの人はぜひチェックしてみてください。
目次
副業であっても、副業から収入を得るためにかかった費用は経費として計上できます。例えばハンドメイド商品を販売する副業を行っているとすると、ハンドメイド商品を作るために購入した材料費などは経費として計上が可能です。
ただし、当然副業をするうえでかかった必要経費しか計上はできず、プライベートな支出や生活費などは経費にできません。また、経費として計上する場合は、業務に必要なものであることを適切に証明できる必要があります。万が一税務署に尋ねられた場合には、きちんと業務に必要だった経費であることを証明できなければいけません。
所得税法において経費の計上を認めている所得の種類は、3つのみです。また、必要な経費といっても、副業による所得がどの区分に属するかによって必要経費として認められるものはそれぞれ異なります。以下で、経費計上が認められる所得の種類と、どんなものが経費として認められるかについて解説します。
所得税法において分類されている所得区分は全部で10種類ありますが、9種類の所得に該当しない所得が雑所得に該当します。副業による所得は、雑所得に分類されるのが一般的です。
副業による所得でも雑所得ではなく次で紹介する事業所得に分類される場合もありますが、本業と同等の時間をかけていたり、同等の安定した収入があったりする場合でない限りは、雑所得になると考えておきましょう。
例えば、フリマアプリで数万円稼いだ場合や、あいた時間でライターとして記事を書いて数万円稼いだ場合など、一時的なものや少額のものであれば基本的にはすべて雑所得に該当します。
雑所得において認められる経費は、雑所得を得るためにかかった費用全般です。パソコンの購入費用や通信費用、商品をネットで販売したときの販売手数料、仕事に使う事務用品、商品を作るための材料費など、幅広いものが対象とされています。
事業所得とは、主にサービス業や製造業、農業や漁業、小売業などをはじめとした事業を営んで得られた所得をいいます。
事業所得として認められるには、一定期間継続して安定収入を得ていることや、営利目的であること、職業として社会に認知されていること、本業と同等に時間を費やしていることなど条件を満たすことが必要です。副業としてスキマ時間に少しだけ仕事をし、お小遣い程度の収入を得ている場合は雑所得として扱われます。
ただし、副業といっても安定的にある程度の金額を稼いでいる場合や、本業と同じくらい時間をかけている場合には、事業所得として認められることもあります。事業所得として認められた場合は、確定申告で青色申告が利用できるため節税が可能です。
事業所得を得ている場合に経費として認められるのは、雑所得と同様に幅広くあります。事業所得を得るためにかかった費用であれば、基本的にすべて経費として計上が可能です。商品の仕入れ費用や車のガソリン代、事務所の家賃や光熱費など、幅広く経費にできます。
不動産所得とは、アパートやマンション、駐車場など不動産を貸し出して得られる所得をいいます。不動産を貸し出して得ている収入を事業所得と勘違いする人もいますが、基本的に不動産による収入は不動産所得に該当するため注意しましょう。
不動産所得において認められる経費は、土地を保有していることで発生する固定資産税、アパートやマンションの修繕にかかる費用、管理を委託している会社への手数料、火災保険料などが対象です。基本的には土地に関わる費用しか経費にできません。
副業でかかった費用のなかで経費計上できるものは多数ありますが、以下で一例を紹介します。所得を得るためにかかった費用は、基本的にすべて計上が可能です。
賃貸契約している自宅の一部をオフィスとして使う場合には、収入を得るための拠点として認められるため一部を経費にできます。
例えば家賃が毎月10万円で、自宅面積のうち30%の部分を副業で利用している場合は、10万円×30%=3万円を経費にすることが可能です。一部しか利用していない場合は家賃の全額を経費にできるわけではないので、注意しましょう。
仮に副業用にどこかのスペースを借りており、副業にしか使わない専用のスペースであれば全額経費にできます。
副業に使う文房具やパソコン関連用品など、10万円未満の消耗するものや摩耗するものは、消耗品費として経費計上が可能です。小さなものだけでなく、例えば副業で利用するデスクやオフィスチェア、パソコンなども、10万円以下であれば消耗品費として計上します。
ほかに消耗品費として計上できるものには、以下のようなものが挙げられます。
副業で取り扱っている商品やサービスを宣伝するためにかかった費用は、広告宣伝費として経費計上できます。例えば、インターネット上に広告を出した場合の費用や、宣伝チラシを作った費用など、宣伝するうえで直接ではなく間接的にかかった費用が対象です。
消費者に直接会って試供品やノベルティを渡したり、展示会や販売会に出店したりと、直接的な活動でかかった費用は販売促進費として扱われます。
外注費は、外部の人や事業者に業務を依頼し、支払った報酬を計上するときに使う項目です。自分が販売する商品を外部に委託して作ってもらった場合や、Webサイトを作るうえでデザイナーやエンジニアに業務を委託した場合などが該当します。外注費ではなく、業務委託費と呼ばれることもあるのが特徴です。
外注費を支払う場合には、源泉徴収の必要有無に注意してください。業務を委託して報酬を支払う相手が法人であれば源泉徴収は不要ですが、個人事業主やフリーランスの場合には必要です。ただし、報酬の内容によって必要有無はわかれます。支払う報酬が以下に該当すると、源泉徴収が必要です。
副業に使うパソコンを購入した場合は、経費にできます。先述のとおり、10万円以下のパソコンであれば消耗品費として扱われるのがルールです。10万円以上だった場合は、減価償却と呼ばれる方法で期間経過に応じて必要経費にできます。
減価償却とは、固定資産の購入費用を使用可能期間にわたって分割で少しずつ経費に計上する方法です。パソコンが10万円以上かかった場合には、一度で経費にすることはできず、年数をわけて分割で購入費用を経費にする必要があります。
副業に使用しているスマホの料金やパソコンをネットにつなぐための通信費も、経費計上が可能です。ほかにも、固定電話料金・ハガキ代・切手代・郵便代などが通信費に該当します。
通信費も同様に副業で利用した分しか経費にできないので、例えばスマホをプライベートでも利用している場合は、副業で利用した割合でしか経費にできません。副業専用に契約しているような場合は、全額を経費計上できます。
副業を行うためにかかった旅費や交通費も、経費計上が可能です。例えばライターとして副業をしており、取材するためにどこかへでかけた場合にかかった交通費は、経費にできます。
ほかにも、必要な材料を購入するためにかかった交通費、クライアントとの打ち合わせに向かうための交通費なども経費にすることが可能です。
副業を行ううえで必要な接待交際費も、経費にできます。クライアントとの打ち合わせで利用したお店の飲食代、手土産や茶菓子代などが対象です。
ほかに、例えば副業に関するスキルアップをはかるためにセミナーに参加し、そのあと同業者と食事にでかけて情報交換を行ったような場合も、接待交際費として飲食代を経費計上できます。取引先へ御中元や御歳暮などを贈った場合も、接待交際費にすることが可能です。
副業において、経費として認められないものも当然存在します。基本的には副業に関係のない費用はすべて計上できません。以下で一例を見てみましょう。
副業として行っている仕事に関係のないプライベートな出費は、当然経費に計上できません。友人との飲み会代、副業に使っていない自宅の家賃や水道光熱費、副業に使っていないスマホの通信費などはもちろん経費にできないため注意しましょう。
また、営業先にいくためにスーツを購入した場合など、線引が難しいものもあるため十分に吟味する必要があります。もちろん意図的に経費でないものを無理矢理経費にするのは脱税にあたりますが、考えようによっては経費にできる場合もあります。
自分が自信を持って税務署に経費だと主張でき、かつ根拠をきちんと提示できるのであれば、基本的に経費にしても問題ありません。万が一税務調査が入ったときでも、判断をするのは税務調査員であり人間です。経費にできるかどうかはグレーな部分が多く、線引きが難しいものは調査員によって判断が異なるのも事実です。
明らかに私的なものを経費として申告したり、意図的に偽ったりするのは違法ですが、自分で明確に事業用だと言い切れるものがある場合は、経費として計上しておく方が得ともいえます。仮に経費とはいえないと指摘を受けたとしても、少額の延滞税を支払えば解決することがほとんどです。
ただし、明らかに経費でないものを偽った場合や、他人の領収書をもらって経費にした場合は、脱税として重加算税の対象にされてしまうため、絶対に控えてください。
自分の治療や入院にかかった医療費は、経費にすることができません。個人の医療費は個人が負担するものであり、事業とは関係のないものと判断されます。ただし、仮に従業員を雇っている場合には、年に1回の健康診断を実施することが義務付けられており、費用は経費計上が可能です。
個人の医療費は、経費ではなく医療費控除を適用させられます。医療費控除とは、年間で支払った医療費が10万円を超えた部分に控除を適用させられる制度です。病院やクリニックでの診療にかかった費用、通院にかかった公共交通機関の交通費、出産費用、あん摩・はり師・きゅう師の施術費用などを含めることができます。
病院やクリニックにかからなかった場合でも、セルフメディケーション税制と呼ばれる所得控除制度も利用が可能です。対象の医薬品をドラッグストアなどで世帯合計12,000円以上購入する、予防接種や健康診断を受けるなど条件を満たせば利用できます。
なお、医療費控除とセルフメディケーション税制は併用できず、どちらか一方しか利用できません。
個人で納める所得税や住民税は、いずれも経費計上の対象外です。あくまでも個人として科せられている税金なので、経費にできないルールが定められています。
ただし、事業に関わる個人事業税や収入印紙税などは経費として計上が可能です。事務所として利用している不動産の固定資産税や、事業で利用している自動車の自動車税なども経費にできます。
副業でかかった費用を経費にする際には、いくつか確認しておきたい注意点があります。以下で家事按分と領収書の保管について解説するので、まだ知らない人はチェックしておきましょう。
副業でかかった費用を正しく経費計上するには、家事按分について理解を深めておくことが重要です。家事按分とはプライベートと事業をまたいだ出費を、事業用でどのくらい使ったか計算して経費計上する手法をいいます。
家事按分をよく行う経費の項目には、家賃や水道光熱費、通信費や自動車関連費などがあります。以下でいくつか考え方の例を出してみましょう。
【家賃】
自宅を副業の事務所としても使用している場合は、副業用に使用している面積の分だけ経費にできます。仮に床の総面積が100平方米、家賃10万円マンションに住んでいて、副業で使用しているのは30平方米だとすると、以下の計算が可能です。
30÷100=0.3
10万円×0.3=3万円
つまり、経費として計上できるのは3万円だとわかります。家賃にあわせて、固定資産税や建物の減価償却費、住宅ローンの金利なども同様に家事按分して経費計上が可能です。
【水道光熱費】
水道光熱費は、電気・ガス・水道のうち事業に利用したものの割合を出して計上できます。
電気はパソコンや部屋の照明などさまざまなものに利用するため該当する人が多いものの、ガスや水道は限られた人しか事業に利用しないため、注意しましょう。例えば料理教室を行っている人、料理動画を取っている人などであれば、ガスや水道も認められます。
水道光熱費は正確な数字を出すのが難しいものの、合理的な数字を設けて計算すれば問題ありません。例えば、1日のうち自宅兼オフィスを3時間だけ副業にあてているとすると、1か月で約90時間です。1か月の電気代が1万円だったと仮定し、計算例を確認してみましょう。
90時間÷720時間(30日×24時間)=0.125
1万円×0.125=1,250円
上記の考え方で算出できます。
経費計上をする費用は、必ず領収書を保管しましょう。経費として使った証拠になるため、領収書やレシートがなければ経費にできません。
法人でない場合は、経費として使った領収書やレシートを5年間保管しなければいけない義務もあるので、きちんと受け取ることに加えて保管しておくことも必要です。
ただし、2022年1月1日に改正された電子帳簿保存法により、領収書を電子データ化しておけば原本は破棄してよい決まりに変わりました。紛失が心配な人や、紙を保管するのが面倒な人はデータ化しておくといいでしょう。
最後に、副業の経費に関してよくある質問を紹介します。よく疑問に感じるポイントを挙げているので、確認しておきましょう。
副業であっても、1年間の所得が20万円以上ある場合は確定申告が必要です。収入ではなく所得なので、収入から各種控除と経費を差し引いた金額が20万円を超えると確定申告する必要があります。
副業でも確定申告が必要なケースがあることを理解しておらず、申告をしないままでいると、無申告加算税などのペナルティが発生するため注意が必要です。
また、所得が20万円以下の場合でも、医療費控除や住宅ローン控除などを適用させたい場合、税金の還付を受けたい場合には確定申告をする必要があります。各種控除や還付は確定申告をしなければ受けられないため、必ず行いましょう。
副業で10万円以上のパソコンを購入したら、減価償却費として経費計上できます。減価償却とは、消耗品費として計上できない10万円以上のものを計上するときに使うものです。10万円以上で購入した固定資産を、使用可能期間にわたって分割で少しずつ経費に計上する方法をいいます。
パソコンが10万円以上かかった場合には、一度で経費にすることはできず、年数をわけて分割で購入費用を経費にする必要があります。経費にはできるものの、一度で経費にすることはできず減価償却が必要だと覚えておきましょう。
経費を証明するものとして、領収書ではなくレシートをもらう方法でも問題ありません。いずれも支払ったことそのものの事実と、金額を証明するうえで違いはないためです。
大きな違いはありませんが、しいていえば領収書には宛名が記載されます。誰に当てた支払明細なのか判別する必要があれば、領収書をもらうのが無難でしょう。会社員であれば、不正を防止するために経理担当者からレシートではなく領収書をもらうよう指示されることもあります。
また、レシートに印字されている文字は摩耗して消えやすいため、手書きの領収書を求められることもあります。適切に保管していても5年ほどで消えてしまうこともある印刷方法なので、会社によっては拒否することもあるでしょう。
反対に、レシートのほうが経費の証拠として有力になるケースもあります。領収書とは違い、レシートには何をいくつ買ったかや、どの品目にいくら払ったのかなどの記載があるため、内容を正しく把握することが可能です。
副業を個人で行っている場合には、きちんと正しく経費が証明できればどちらでも問題ありません。会社員の場合は、経理担当者の指示に従いましょう。
副業に使用するものであれば、車を購入しても経費にできます。ただし、プライベート用とあわせて利用する場合には、家事按分して副業で利用する分のみ経費にすることが必要です。副業でしか使用しない車なら、全額経費にできます。
車の購入費用だけでなく、ガソリン代や駐車代なども、副業に使った分だけ経費計上することが可能です。自動車の購入費用そのものは10万円以上になることが多いため、使用割合に応じて家事按分を行い減価償却しましょう。
本記事では、副業で計上できる経費について解説しました。副業であっても、収入を得るために利用した費用は経費として計上が可能です。副業に必要なパソコンや文房具、事務所としても使っている自宅の一部など、副業のために発生する費用は経費にできます。
ただし、あくまでも副業に関連した経費のみである点には注意しましょう。プライベートの支出は、経費にできません。費用の一部分のみ副業の経費としてかかっている場合には、家事按分して計上することが必要です。経費として計上するなら必ず領収書やレシートが必要なので、忘れずに受け取ったうえできちんと5年間は保管しておきましょう。