MONEY
2022.09.09
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個人事業主として働くにあたって、社会保険への加入が必須となります。企業を通して保険料の支払いを行う会社員と違って、個人事業主の場合は自ら納付や社会保険の詳細に関する知識を増やしていかなければなりません。
曖昧な状態で事業を開始した場合、思わぬトラブルや危機に直面する可能性も考えられます。
この記事では、個人事業主が加入可能な社会保険の種類、従業員を雇う場合に加入義務が発生する社会保険、加入するにあたって注意すべきこと、個人事業主が支払う社会保険料の目安について解説していきます。
社会保険の概要や個人事業主として行うべきことをしっかりと把握し、リスクマネジメントを行いながら事業を成功へと導きましょう。
目次
例え個人事業主であっても、社会保険への加入は可能です。社会保険とは、疾病、失業、高齢、介護といった万が一のリスクに備えるための制度のことを指します。
加入者が保険料を支払うことで保障を得るという仕組みは私的保険と同様ですが、社会保険は公的な保険制度としての役割を担っている点がポイントです。
会社勤めをする被雇用者が加入する社会保険には、健康保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険、介護保険の5つが含まれています。
一方で個人事業主の場合、会社員と全く同じ種類の社会保険に加入することはできません。
しかし、個人事業主でも加入できる社会保険が用意されており、不測の事態に陥っても安心できる仕組みが構築されています。
社会保険は、個人事業主の方でも加入できる仕組みになっています。しかし、「具体的にはどんな種類の社会保険が適用されるの?」「被雇用者が入る社会保険とはどんな違いがあるんだろう?」といった疑問を持つ方もいるのではないでしょうか?
個人事業主の方が加入できる社会保険は、大きく分けて3種類となっています。国民健康保険、介護保険、国民年金保険に分類されており、会社員が加入する社会保険とは詳細や加入対象が異なります。
個人事業主になるにあたって、自分自身がどのような社会保険に加入できるかを知っておくことはとても大切です。公的保険が必要になった時に備えて、個人事業主と社会保険に関する正しい知識を身につけましょう。
国民健康保険は、個人事業主の方でも加入できる社会保険のひとつです。怪我や病気に見舞われた際、医療機関の利用が必要になる可能性があります。
その際に支払う医療費の自己負担額を軽減するための保険となっており、運営しているのは居住地の自治体と国民健康保険組合です。国民健康保険の保険料は、自治体や個人事業主の前年所得額によって変動します。
年間の納付回数も自治体によって異なるので、納付忘れがないように十分注意することが大切です。また、企業で働く会社員との相違点に、保険料の支払い方法、負担割合、家族の扶養可否があります。
会社員が健康保険を支払う場合、給料から天引きされるケースが一般的です。負担割合は会社側と折半になっており、配偶者や子どもを含む家族も加入することが可能です。
一方で国民健康保険の場合は、個人事業主が自ら納付を行う必要があります。保険料は全額自己負担で、家族が扶養に入れないという点にも注意しましょう。
介護保険は、介護費用の負担軽減を目的とした社会保険です。公的機関と40歳以上の国民が保険料を負担することで成り立っており、高齢者を社会全体で支援するという構造になっています。
介護保険は、40〜64歳と65歳以上で納付方法が異なります。40〜64歳の場合、国民健康保険の一部として介護保険料を納付するのが一般的です。
一方の65歳以上では、年金の受給をしているか否かで納付の仕方が変わります。年金を受け取っている場合、年金から天引きされる特別徴収が適用されます。
年金の繰り下げ受給をしている方は普通徴収となっており、自分自身で支払いを行わなければなりません。尚、介護保険料は、3年ごとに改定されています。
自治体ごとに介護保険料が異なっているため、自分自身が居住する市町村の納付額をきちんと確認しておくことが大切です。また、前年の所得によって納付額が変動するという特徴もあり、個人事業の収入に保険料が影響される点も覚えておきましょう。
個人事業主の方が加入できる社会保険に、国民年金保険があります。国民年金保険は、日本国内に居住する20~60歳の全ての人に加入義務がある制度です。
被保険者は全部で3種類に分類されており、会社員や公務員は第2号被保険者、第2号被保険者が扶養する配偶者は第3号被保険者となっています。個人事業主は第1号被保険者で、学生、農業者、漁業者、無職の方も第1号被保険者に振り分けられます。
第1号被保険者の令和4年4月時点における保険料は、月額16,590円です。会社経由で保険料を納められる第2号被保険者や第3号被保険者と違って、第1号被保険者は自分自身で国民年金保険を支払わなければなりません。
また、第1号被保険者の特権に、国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度が挙げられます。前年度の所得が低い、年齢が50歳未満といった条件を満たすことで適用される仕組みになっており、免除された期間分も50%の老齢年金を受け取ることができます。
個人事業主として働くにあたって、従業員を雇うことを検討している方もいるのではないでしょうか?従業員を雇う場合は、被雇用者のための社会保険に加入する必要があります。
個人事業主自身のためではなく従業員や遺族の生活を守るための保険となっているので、従業員を雇う際は忘れずに加入するよう心掛けましょう。
従業員を雇うことで支払い義務が発生する主な社会保険に、労災保険と雇用保険の2つが挙げられます。尚、社会保険の加入対象となっているにもかかわらず未加入の状態だった場合、懲役刑や罰金刑に処せられる恐れもあります。
健全なビジネスを長く続けていくためにも、概要や加入義務が発生する条件について詳しく見ていきましょう。
労災保険は、業務中に発生した怪我や病気に対する保険金を保障するための制度です。会社に属する被雇用者のための社会保険で、従業員を雇っている個人事業主は原則加入する必要があります。
怪我や病気の度合いによって異なるものの、業務中の怪我や病気の発生に伴い従業員や遺族が労災補償を受けられる仕組みになっています。
労災補償の主な内容は、従業員の怪我や病気の完治にかかる医療費が全額支給される療養補償給付、仕事を休んだ日に60%の給与を受け取れる休業補償給付、亡くなった従業員の遺族に支払われる遺族補償給付などです。
尚、あくまで従業員を対象とした保険なので、一部の業種を除いて個人事業主の方は加入することができません。労災保険は、雇っている従業員が1人を超えた時点で加入が必須となります。
従業員の労働時間や雇用期間などの条件は設定されておらず、未加入の場合は6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
雇用保険は、雇っている従業員のためにかける社会保険です。雇用保険に加入しておくことで、失業した従業員が手当や教育訓練給付金を受け取れるというメリットがあります。
従業員を対象としているので、個人事業主自身は雇用保険に加入することができない点に注意しましょう。
一定の条件を満たす従業員を雇っている場合、個人事業主は雇用保険に加入しなければなりません。
31日以上にわたって雇用する予定、週当たりの労働時間が20時間以上という条件を満たしていれば、正社員以外の雇用形態であっても加入が必要になります。
また、週当たりに30時間を超えて労働する、4か月以上の雇用契約で1年未満の雇用が繰り返される、月当たりに11日以上の賃金支払い日数がある季節労働者や、30日以内の契約で働く日雇い労働者も加入の対象です。
雇用保険への加入義務を怠った場合は、懲役刑や罰金刑に加えて未納分の保険料の支払いも発生するため十分に注意してください。
個人事業主の社会保険は、会社員が加入する社会保険とは大きく異なります。そのため、加入するにあたって注意すべき点も存在しています。
個人事業を営む方が社会保険に加入する場合、支払った保険料を経費として扱うことはできません。「確定申告の時に経費として計上したらいいのでは?」「保険料は経費として帳簿に記録しておこう」と考えている方は、社会保険が何に分類されるのかを事前にきちんと理解するよう心掛けましょう。
また、従業員を雇っている場合、従業員のために労災保険や雇用保険の支払いを行う必要があります。個人事業主が保険料を自己負担しなければならないので、出費がかさむ点についても考慮しておくことが大切です。
社会保険に関する注意点を把握することで、加入後の混乱やトラブルを未然に防ぐことができます。特にこれから個人事業主になる予定の方は、2つの注意点に関する知識を増やして効果的なリスクマネジメントを行いましょう。
個人事業主が社会保険に入る際の注意点に、保険料を経費として計上できない点が挙げられます。確定申告の際、業務関連の出費は経費として処理することが可能です。
しかし、個人事業主自身の社会保険料に関しては、経費という扱いにはなりません。
社会保険料控除という専用の所得控除が適用される仕組みになっており、個人事業主が支払う国民健康保険、介護保険、国民年金保険は全てその対象となります。経費ではなく控除扱いになるので、誤った処理を行わないように気を付けましょう。
尚、個人事業主自身はもちろん、配偶者や家族の社会保険料も控除の対象です。1年間に支払った社会保険料の全額が控除されるので、大きな節税対策に繋がります。
個人事業主として働く場合、労災保険料や雇用保険料の支払い義務が発生する点に気を付けましょう。ビジネスの規模によっては、従業員を雇う可能性も考えられます。
そして、定められた条件を満たしている場合、労災保険と雇用保険に加入しなければなりません。
それぞれの保険に対して個人事業主側に支払い義務が発生しますが、保険ごとに自己負担額が異なるという点に注意してください。労災保険の場合、個人事業主が全額分の保険料を自己負担します。
一方で雇用保険は、従業員自身と個人事業主の双方が支払う仕組みです。ただし、負担額の割合は個人事業主の方が高めに設定されているので、保険料の出費がかさみやすい点を覚えておきましょう。
ここでは、実際に個人事業主が支払う社会保険料についてシミュレーションしていきます。例えば、東京都世田谷区在住、年収500万円、経費100万円、扶養家族なし、白色申告を行う個人事業主の場合、おおよその社会保険料は年間で以下のようになっています。
国民健康保険料(介護保険料を含む) |
486,600円 |
国民年金保険料 |
199,080円 |
国民健康保険料は、居住する自治体によって変動します。例として東京都世田谷を挙げていますが、自分自身の計算を行う場合は居住地の所得割率及び均等割額を確認するよう心掛けましょう。
また、1ヶ月当たりの給料が30万円の従業員を雇っている場合、一般事業と源泉控除の条件で一人当たり1,950円を個人事業主が負担しなければなりません。
労災保険料に関しては、全従業員の前年度の給与総額×労災保険料率で計算を行います。労災保険料率は、事業の種類によって細かく分類されています。
自身の状況に当てはめるためにも、厚生労働省のHPをチェックしてみましょう。
個人事業主は、事業に関する全てのことを自分自身で行わなければなりません。会社員のように企業を通して手続きや支払いを行うことができないため、社会保険についても十分に把握する必要があります。
万が一の事態に備えるためにも、自分がどのような社会保険に加入することが出来るのかを見直してみましょう。
また、従業員を雇うにあたって、加入義務がある社会保険も存在しています。未加入の場合は罰せられる恐れもあるので、見落としのないように気を付けることが大切です。
個人事業主として支払う社会保険には、経費として計上できない、個人事業主の自己負担になるといった特徴も見られます。トラブル回避のためにも、注意点について覚えておくようにしましょう。