MONEY
2022.08.30
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フリーランスになると加入しなければいけない国民健康保険。システムエンジニアとして独立した人のなかには、国民健康保険料が想像以上に高いことに驚き、より安く加入できる健康保険組合がないのか気になっている人も多いのではないでしょうか。
本記事では、個人事業主のシステムエンジニアが加入できる健康保険組合はあるのかどうかや、ほかに選択できる方法、少しでも健康保険料を安くする方法について解説します。健康保険料を少しでも安くしたいと考えている人は、ぜひチェックしてみてください。
目次
まずは、個人事業主のシステムエンジニアが選択できる健康保険には、どのようなパターンがあるのかについて解説します。主に4つの選択肢があるので、それぞれチェックしておきましょう。
個人事業主の人にとって最も一般的な選択肢が、国民健康保険への加入です。都道府県が運営するもので、保険料は所得に応じて算出されます。計算方法は自治体によって異なるため、住んでいる地域によって保険料は異なるのが特徴です。
国民健康保険は、保険料が高いのがネック。とくに会社員から個人事業主になった場合は、今まで会社と折半して保険料を支払っていた状態から全額自己負担になるため、かなり高額になった印象を受けてしまう人が少なくありません。倍近い額になることも多いため、負担が大きくなる可能性が高い選択肢といえます。
個人事業主になる前に勤めていた会社の健康保険を、継続して加入することもできます。一般的には、前の勤務先で2ヶ月以上健康保険に加入していた場合に適用できるもので、最大で2年間継続して加入することができる制度です。希望する場合は、離職から20日以内に手続きする必要があります。
これまで会社と折半して支払っていた保険料を全額自分で負担するため、金額は単純に倍になると考えてください。国民健康保険と比べて確実に安くなる方法とはいえませんが、国民健康保険に加入した場合の保険料と比較して安いほうに入るのもひとつの手です。
所得に応じて保険料が変わることのない最もお得な方法が、健康保険組合へ加入することです。一般的に、健康保険は所得に応じて金額が変わるため、所得が高くなればなるほど保険料の負担も上がります。一方で健康保険組合の場合は、ほぼ一律で保険料が定められているため、所得が高くなればなるほどお得になる仕組みです。
健康保険組合には、以下のようにさまざまな団体があります。
健康保険組合は誰でも加入できるわけではなく、要件があまり簡単ではありません。特定の職についていることや、指定の資格を所持していること、指定の組織に加入していることなど、あらゆる条件が設けられています。個人事業主のシステムエンジニアが加入できる可能性のある組合については、後項で解説します。
配偶者や両親など家族が健康保険に加入している場合は、被扶養者になることもできます。ただし、収入に制限があるため、個人事業主のシステムエンジニアとしてある程度の額を得ている場合には加入できません。
要件は細かく定められていますが、ひとつの基準になるのが年間収入130万円のラインです。月に10万円ほどしか稼ぐことができないため、基本的には主婦(夫)でアルバイトやパートをしている人が対象と考えてください。
個人事業主のシステムエンジニアとして活動していても、主婦(夫)をやりながら毎月の生活費を少しだけ稼いでいる場合には、選択肢に入れてみるといいでしょう。
先述したとおり、健康保険組合は加入条件がそれぞれ厳しく、誰でも加入できるわけではありません。個人事業主のシステムエンジニアが加入できる可能性のある健康保険組合は、文芸美術健康保険組合です。それ以外の組合は、おそらく加入できるものはほとんどありません。
文芸美術健康保険組合とは、デザイナーやライター、写真家などクリエイティブ系の職種についている人を対象にした団体です。健康保険料は所得に関わらず、一律で1人月額21,200円、家族の保険料は1人月額11,600円(※2022年8月時点)に設定されています。ある程度稼ぎのある個人事業主のシステムエンジニアにとっては、かなりお得な額だと考えていいでしょう。
ただし、文芸美術健康保険組合はクリエイティブ職種についていれば誰でも加入できるわけではありません。日本国内に住所を有していること、文芸や美術に関する活動に従事していること、さらに組合が加盟している各団体の会員であることが条件とされています。
組合が加盟する団体にはさまざまなものがありますが、一例は以下のとおりです。
個人事業主のシステムエンジニアが加入できる可能性のある協会は、「日本ネットクリエイター協会」「日本デジタルライターズクラブ」「東京コピーライターズクラブ」「日本グラフィックデザイナー協会」などが挙げられます。
いずれも簡単に誰でも加入できるわけではなく、それぞれに諸条件があるため注意が必要です。たとえば日本デジタルライターズクラブだと、執筆や編集などの活動に2年以上の実績があることに加え、2年以上の会員歴を持つ人からの推薦が必要とされています。
ほかにも、特定のコンテスト等で入賞しなければ加入できない協会などもあり、加入のハードルは高いといえます。人によっては条件に当てはまるものがある可能性もあるので、各協会の入会条件を調べてみてください。
国民健康保険しか選択肢がない場合には、少しでも健康保険料を抑えて負担が減る方法をチェックしておきましょう。
先述したとおり、国民健康保険料は住んでいる地域によって計算方法が異なります。少しでも安くしたい場合や、居住地が仕事に影響しない場合は、安い地域に引っ越しを検討するのもひとつの手です。
時期や財政状況などによって異なりますが、国民健康保険料が安い都道府県には、埼玉県・神奈川県・愛知県・東京都・茨城県・千葉県・群馬県など、関東エリアが比較的多いといわれています。反対に、佐賀県や大分県、熊本県など九州エリアは保険料が高い傾向にあり、ほかにも徳島県や山口県、島根県なども高い地域として知られているのが特徴です。
ただし、都道府県単位だけではなく、自治体単位でも保険料は異なる点に注意しましょう。たとえば北海道では、最も保険料が安い自治体と高い自治体とで、3倍ほどの差があるともいわれています。
確定申告を青色申告で行うことは、国民健康保険料だけでなくほかの税金も安くなる非常に有益な方法です。確定申告には白色申告と青色申告があり、後者のほうが節税効果が大きく、ほかの税金も合計すると10万円〜65万円の控除を受けることができます。
青色申告では、白色申告よりも求められる書類の数が多かったり、書類の内容が複雑だったりと、手続きや準備に必要な要件が多くあります。白色申告では、控除される金額がないかわりに、単純で簡単な準備と手続きのみで済むのが特徴です。
とはいえ、最近では会計ソフトを導入しておけば、青色申告であっても手間や準備はさほど必要ありません。確定申告をする年の3月15日までに「青色申告承認申請書」と「改行届」を提出し、会計ソフトで日々の収支を帳簿付けしておくだけです。会計ソフトは簡単な家計簿をつける感覚で利用できるため、難しい作業は必要ありません。
最大で65万円の控除が受けられるメリットを考えると、青色申告を利用しない手はないため、個人事業主であれば必ず行いましょう。
最後に、個人事業主のシステムエンジニアが加入しておくべきほかの保険について紹介します。万が一のときに助けになってくれる保険なので、ぜひ検討してください。
所得補償保険や就業不能保険は、病気や怪我で働けなくなったときのために加入しておく保険です。
会社員であれば、病気や怪我で働けなくなり4日以上会社を休むと、傷病手当金が支給されます。平均収入の約3分の2が最大で6ヶ月間も支給されるため、生活に困ることがほとんどありません。
個人事業主やフリーランスの場合は、傷病手当金を受け取ることができないため、万が一病気や怪我で働けなくなると収入が途絶えてしまいます。十分に貯蓄がない場合や、入院が長期にわたった場合には、生活に困窮する可能性も少なくありません。
所得補償保険に加入しておけば、契約前1年間の所得の50〜70%程度を保険金として支給してくれるため、ある程度の生活費はまかなうことができます。病気や怪我による収入減少に備えておきたい人は、チェックしてみてください。
損害賠償保険とは、仕事上起こりうるさまざまなトラブルをカバーし、万が一賠償金を支払う事態になったときに助けてくれる保険です。情報漏えいや納品物の不具合、納期遅延や著作権侵害など、予期せぬ業務上のトラブルをカバーしてくれます。
悪意がなくても、体調不良により納期を遅延してしまうことや、気づかぬ間に他人の著作権を侵害してしまっていること、パソコンが盗難されて情報を漏らしてしまうことなど、よきせぬ事態は誰にでも起こりうるものです。
場合によっては、数百万円、数千万円にものぼる賠償金を請求される可能性もゼロではありません。メールの誤送信ひとつでも大きなトラブルに発展しかねないため、個人事業主であれば自分の身は自分で守る必要があります。
万が一のときに大変なことにならないよう、損害賠償保険は必ず入っておきましょう。
本記事では、個人事業主のシステムエンジニアが選択できる健康保険の種類や、少しでも保険料を安くする方法について解説しました。健康保険組合に加入できれば、保険料を安く抑えられる可能性が高いものの、加入要件は決して簡単ではありません。
加入が難しい場合は、国民健康保険料を少しでも安く抑えられるよう、保険料の安い自治体に引っ越したり、青色申告で節税したりすることを行ってみてください。
また、万が一の病気や怪我、業務上のトラブルに備え、健康保険以外の保険に加入しておくことも重要です。自己管理が最重要な個人事業主だからこそ、あらゆるリスクに備えておくことが何より重要といえます。