MONEY
2022.02.22
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フリーランスになると毎年欠かせなくなる確定申告。まだフリーランスになったばかりの人だと、自分の所得がいくらになったら確定申告が必要なのかいまいちよく分からないという人も少なくないはずです。
今回はフリーランスの人に向けて、所得がいくらになったら確定申告を行わなければいけないかについて解説します。主婦や副業の人の場合など、働き方別でも解説をしているので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
結論から解説すると、フリーランスの人は事業所得が48万円を超えたら確定申告が必要です。ただし、所得とは収入から必要経費を引いた金額のことをいい、入ってくるお金の総額(収入)とは異なります。収入は、フリーランスにとっての売上高のことで、そこから必要経費を差し引いたのが所得です。
仮に売上高が1年で500万円あったとしても、経費で470万円使っていれば所得は30万円になるため、確定申告はしなくてもよいことになります。とはいえ、だからといって単純に確定申告をしないという選択肢でよいわけではない点にも注意が必要です。
後項で詳細は解説しますが、たとえ所得が48万円以下であった場合でも、フリーランスの人なら確定申告をやっておいたほうがいいケースが多々あります。
確定申告の要否は、働き方や収入の種類によって細かく異なります。扶養に入っているか、得ているお金は給与なのか所得なのかなどによって異なるので、自分がどのパターンに当てはまるのかを確認しておくことが重要です。
本記事で後述するパターンを参考に、自分が確定申告をしなければいけないのかを正しく理解しておきましょう。
まずは、そもそも確定申告が必要な人はどんな人なのかについて解説します。
原則として、フリーランスや個人事業主、自営業の人は確定申告が必要です。フリーランスの人は、会社から給与をもらっている立場ではなく、源泉徴収や年末調整も受けていないことがほとんどです。自分の収入やかかった経費を申告し、税金をいくら支払わなければいけないのかを整理して納税を行う必要があります。
ただし、前項で解説したとおり、所得が48万円以下であったり赤字であったりする場合には、確定申告は不要です。所得が48万円以上あるにも関わらず確定申告をせず、納税を行わなかった場合は罰則を受けることになるため注意しましょう。
また、クライアントから源泉徴収をすでにされている場合は、確定申告をしなければ還付される可能性のある所得税が還付されないことにもつながります。単純に所得が48万円以下だからといって安易に確定申告をしないと決めるのではなく、後述する内容に沿って確定申告をしたほうがいいか決めてください。
給与所得者である会社員は、基本的にほかの収入がなければ確定申告が不要なケースがほとんどですが、年収が2,000万円を超える場合には確定申告が必要です。ひとつの会社からの給与収入しかない場合であっても、年収が2,000万円を超えてしまうと会社の年末調整は対象外になります。
年収2,000万円という額は、手取りの金額ではない点に注意してください。税金などを引かれる前の額面が2,000万円を超えた場合に確定申告が必要なので、間違えないようにしましょう。
同じく給与所得者である会社員であっても、副業で20万円以上の所得があった場合には確定申告が必要です。フリマやネットオークション、アフィリエイトなどから得た所得も対象になるため、忘れずに確認するようにしてください。
また、後項でも解説しますが、20万円以下であっても「給与」として受け取っている場合には確定申告が必要になります。詳しくは「2ヶ所以上から給与を受けている人」の項目を確認してみてください。
公的年金の受け取りが400万円を超えている人は、確定申告が必要です。公的年金とは、20歳以上60歳未満のすべての国民が加入するもので、65歳から受け取れるもののことをいいます。公的年金の受け取りが1年で400万円を超える場合は、確定申告を行いましょう。
公的年金の受け取りが400万円以下であれば確定申告は不要ですが、ほかに所得が20万円以上ある場合は確定申告が必要になってしまうため、注意が必要です。
株の取引をしている人で、1年間に20万円以上の売却利益が出た場合には確定申告を行わなければいけません。
株の売買を行う口座の種類が「特定口座」というもので、かつ源泉徴収を「あり」で選択している人に限り、確定申告は不要です。特定口座を利用していても、源泉徴収を「なし」で選択している場合には確定申告が必要になるため注意しましょう。
また、NISA口座で取引を行っている場合は、非課税扱いになるため確定申告は必要ありません。
前項でも少し触れたとおり、「給与所得」として2ヶ所以上からお金を得ている場合には確定申告が必要です。仮に会社員が副業でアルバイトを行い、その副収入が20万円以下であっても、アルバイト先から給与所得としてお金が支払われていれば確定申告をしなければいけません。
年末調整を行うのは、本業の会社1社のみと決まっています。副収入を得ているアルバイト先では年末調整が行われないため、得た給与を合算して確定申告をし、正しく納税を行わなければいけません。得ているのが給与所得であるにも関わらず20万円以下だからといって確定申告をしないのは、罰則の対象になるため十分に注意しましょう。
以下の「副業をしている人」でもさらに詳しく解説しているので、確認してみてください。
ここからは、反対に確定申告が不要な人はどんな人なのかを紹介します。確定申告が必要な人と照らし合わせて、自分がどちらに当てはまるか確認してみてください。
会社員で副業をしている場合、本業の会社で受け取っている給与以外の副収入が20万円に満たない場合は確定申告をしなくて問題ありません。これは会社から年末調整を受けている会社員にのみ当てはまるものなので、給与所得者でないフリーランスの場合には適用されないため注意しましょう。
また、会社員であっても、先述したとおり副収入を給与所得として受け取っている場合も、このルールは適用されません。「2ヶ所以上から給与を受け取っている人」に当てはまるため、20万円以下であっても確定申告が必要です。
冒頭でも解説したとおり、事業所得が48万円以下のフリーランスや自営業の人は、確定申告をしなくても構いません。
なぜラインが48万円なのかというと、確定申告では必ず全員48万円の基礎控除を受けられるからです。基礎控除とは所得から差し引くことができるもので、儲けを48万円分少なくすることができるもののことをいいます。つまり、課税対象になる儲けが少なくなるため、そのぶん節税ができるということです。
仮に事業所得が48万円ぴったりだった場合は、この基礎控除が適用されると課税所得が0円になります。課税所得が0円だと、税金が課される対象になる金額がゼロということになるため、支払う税金もゼロになるのです。基礎控除の48万円は、所得金額が2,400万円以下の人すべてに適用されます。
本業の会社で年末調整を受けている会社員の人で、ほかに何も副収入を得ていない人は確定申告不要の対象者です。年末調整をすることで会社が代わりに必要な税金を納めてくれているため、特に自分で行わなければいけない手続きはありません。
ただし、医療費控除や住宅ローン控除を受けたい人は確定申告を行う必要があります。また、ふるさと納税で5つ以上の自治体へ寄付を行った人や、ワンストップ特例制度を使わず寄付した人も確定申告が必要です。これらの控除は会社の年末調整で行ってはくれないので、必ず自分で確定申告を行いましょう。
ここまで確定申告の要否について紹介しましたが、働き方や立場によっては条件が複雑なケースもあります。以下では、働き方別にも確定申告の要・不要が分かるようまとめてみたので、チェックしてみてください。
ここまでの解説で何度か紹介してきましたが、フリーランスや個人事業主の場合は、所得が48万円以上になる人は全員確定申告が必要です。原則としてフリーランスの人の場合は、1年の所得税額を計算し、控除を差し引いた金額がプラスになれば必ず確定申告をしなければいけません。
1年の所得合計額から、先述した基礎控除や社会保険料控除、生命保険料控除、医療費控除など各種控除を差し引いた金額がプラスになれば、確定申告が必要です。合計所得金額が2,400万円以下の人なら全員48万円の基礎控除が受けられるため、所得が48万円を下回る場合は課税所得がゼロもしくはマイナスになり確定申告は不要になります。
次に、副業をしている給与所得者(会社員)を例に解説します。基本的には、年収が2,000万円を超えない限りは確定申告をする必要がありません。会社が代わりに年末調整で正しく税金を納めてくれているため、自分で手続きすることは不要です。
ただし、副業をしている場合には確定申告が必要になるケースが多くあります。副業をしていて確定申告が必要になるケースは、以下のとおりです。
本業以外で20万円以上の所得がある場合には、確定申告が必要です。副業はさまざまなものが当てはまりますが、一例として以下のようなものがあります。
ほかにも、どんな副業であっても所得がある場合は対象になるため注意しましょう。ただし、これは「所得」であり「収入」の話ではありません。仮に上記のような副業で50万円を得ていても、かかった経費が35万円ある場合は所得が15万円になるため、確定申告は不要です。
副業として得ている金額が20万円以下であっても、給与として受け取っている場合には確定申告が必要になるため注意してください。
給与かどうかを決めるのは、雇用契約があるかどうかです。会社と雇用契約を結んでアルバイトやパートとして働いている場合には、給与所得という扱いになります。本業とは別で雇用契約を結んで働いている場合は、20万円以下であっても確定申告が必要になるため注意が必要です。
公的年金を受け取っている人の判断基準は、まず受け取り金額が400万円以上かどうかです。受け取り金額が1年で400万円を超えない限り、確定申告はしなくて構いません。反対に400万円を超えた時点で確定申告が必要なので、必ず行いましょう。
ただし、400万円を超えていない場合でも、ほかに所得があるなら確定申告をしなければいけないケースがあります。なんらかの仕事で20万円以上の所得が発生している場合には、確定申告を行わなければいけません。年金受給者である65歳以上の人で増えてくる、生命保険の満期返戻金も対象です。
ここでも同様に、収入ではなく所得が20万円を超えた場合なので、収入を得るためにかかった費用を差し引いた額が20万円以上になれば確定申告が必要だと覚えておきましょう。
扶養に入っている専業主婦・主夫の人でも、何らかの方法でお金を得ている場合には確定申告が必要になることがあります。いくつかパターンがあるので、以下をチェックしてみてください。
主婦や主夫の人が、雇用契約を結んでパートやアルバイトを行っている場合、得ている給与が年間103万円以下であれば確定申告は不要です。また、このケースであれば、納税者の所得金額が1,000万円以下なら配偶者控除を受けることもできます。
つまり、年収1,000万円以下の旦那の扶養に入っている主婦が、年間103万円以下しか給与を受け取っていない場合は、旦那が配偶者控除を受けられるということです。
主婦や主夫の人が、雇用契約を結んでパートやアルバイトを行っている場合、得ている給与が年間103万円以上であっても、1ヶ所からしか給与を受け取っていないなら確定申告は不要です。
また、前項と同様の例で考えると、納税者の合計所得が1,000万円以下で、主婦・主夫の人が受け取っている給与が年間201万6,000円未満なら納税者は配偶者控除を受けられます。
給与を1ヶ所から103万円以上受け取っていても確定申告は不要ですが、2ヶ所以上になると確定申告が必要になります。違う職場を掛け持ちして合計103万円以上を受け取っている場合には確定申告が必要なので、注意しましょう。
ただし、以下のいずれにも当てはまる場合は、確定申告が不要になります。
上記のいずれにも当てはまる場合は、納税者が配偶者控除を受けられるのもポイントです。本ケースは少しややこしいので注意しましょう。
給与以外の所得が20万円を超えている場合には、主婦・主夫であっても確定申告が必要です。最近主婦・主夫層に流行っているフリマや転売、ブログやSNSからの広告収入などで発生した所得が20万円を超えるなら、必ず確定申告を行ってください。
なお、ここでも収入ではなく所得なので、かかった経費を差し引いた額が20万円以上になる場合にのみ確定申告の対象者になります。
主婦や主夫が扶養家族のままであっても、開業をすることは可能です。開業したとしても、年間の合計所得が48万円以下であれば配偶者控除が受けられ、133万円以下でも配偶者特別控除が通常どおり受けられます。この際には主婦・主夫側は確定申告をしなくて問題ありません。所定の手続きを行えば青色申告者になることも可能です。
ただし、開業をすれば個人事業主になるため、所定の計算方法に基づいて所得税額がプラスになる場合は確定申告をしなければいけない対象になります。「課税される所得金額×所定の税率−税額控除」を計算してプラスになれば、確定申告を行いましょう。所定の税率については、以下の国税庁ホームページで確認してみてください。
なお、通常の個人事業主と同じく、赤字が出た場合には原則として確定申告は不要です。
参考:所得税の税率|国税庁
フリーランスや会社員、主婦・主夫など立場に関わらず、懸賞金や当選金などで一時所得を得た場合には、金額に応じて確定申告が必要になるケースがあります。一時所得とは主に臨時収入のことを指し、一例として以下のようなものが挙げられます。
上記のような一時金を受け取った場合で、以下の計算式に当てはめてプラスになった金額を課税対象として確定申告する必要があります。全額が課税対象になるわけではありません。
申告する一時所得の金額=総収入金額−収入を得るために支出した金額−特別控除額(最大50万円)
上記の計算式に当てはめて、仮に0円もしくはマイナスになった場合には、確定申告は不要です。
ここまで確定申告が不要なケースをいくつか紹介しましたが、それでもあえて確定申告をしたほうがいいケースもあります。以下で3つのケースを紹介するので、チェックしてみてください。
フリーランスや自営業の人で、その年が赤字だった場合には原則確定申告は不要だと解説しました。しかし、赤字だった場合にはあえて確定申告を行ったほうが得をすることもあります。
赤字になった場合にも確定申告を行うことで、「純損失の繰越控除」というものができるようになります。純損失の繰越控除とは、赤字を最長3年間繰り越すことができるもののことです。
赤字を繰り越すことで、黒字化できたときにこれまでの赤字と相殺し、課税所得を減らすことができます。つまり、赤字が出たら確定申告を行っておくことで、その後黒字が出たときに課税所得を減らし、支払う所得税を軽減させることができるということです。
さらに、赤字になった場合に確定申告を行うと、税金の還付を受けられたり住民税が軽減できたりと、ほかにもメリットがあります。
ただし、純損失の繰越控除が受けられるのは、事業所得・不動産所得・山林所得から生じたもののみである点には注意してください。事業を営んで得られた所得であれば事業所得になるので、大抵の場合対象になります。
仮に確定申告の対象者でなくても、得た収入からあらかじめ源泉徴収されている場合には、確定申告をしたほうが得をすることがあります。源泉徴収はあくまでもざっくりと見積もった所得税をあらかじめ引いているものなので、場合によっては払いすぎている可能性も。
払いすぎていた場合でも、確定申告をしなければ戻ってきません。確定申告で正しく納税額を申告することで、払いすぎた分が還付されます。クライアントによっては源泉徴収を行っているところが少なくないので、必ず確認してください。もし源泉徴収をされている場合には、確定申告することをおすすめします。
ここまで確定申告の要・不要を解説してきましたが、確定申告が不要などんなケースにおいても、別途住民税の申告を行うことが必要です。年末調整や確定申告を通して納付するのはあくまでも所得税であり、住民税ではありません。
仮に確定申告を行った場合には、所得税を管轄する税務署から各自治体へ情報が届けられ、そこで住民税の計算が行われます。確定申告を行わなかった場合は、住民税を管轄する各自治体へ情報が届かないため、住民税の計算が行われません。その場合は、別途自分で各自治体へ住民税の申告を行う必要があります。
会社員であれば会社が住民税も代わりに納付してくれますが、フリーランスの人で確定申告をしなかった場合には、別途住民税の申告が必要になるのです。もし住民税の申告を行わず、納付しなかった場合には罰則に値します。
確定申告をあえて行うメリットがほかにある上に、いずれにしても別途住民税の申告が必要となれば、はじめから確定申告を行っておいたほうがいい場合もあるので、自分の状況に応じて検討してください。
最後に、フリーランスの人が確定申告をする上で重要なポイントを解説します。いざ確定申告の時期になって困らないよう、日頃から気をつけておきましょう。
いうまでもありませんが、確定申告では漏れや虚偽のないよう申告を行いましょう。特に虚偽の申告に関しては、バレたときに厳しい罰則が与えられます。例えば、経費でないものを経費と偽って申告したり、他人の領収書を使って経費にしたりすることは絶対にやめてください。
バレないと思っていても、いつ税務署の調査が入るかはわかりません。調査が入ると、ほとんどの不正がバレてしまいます。税務署が本気で調べればわからないことはほとんどないため、絶対に不正はやめましょう。
確定申告で漏れがあった場合は、5年以内であれば「更生の請求」というものを行って訂正することができます。とはいえ更生の請求を行うのは手間なので、できる限り日頃からしっかりと管理を行い、漏れがないよう正しく確定申告を行うのがベストです。
確定申告をスムーズに行うためには、日頃からこまめに会計ソフトで帳簿付けを行っておくのがおすすめです。感覚的に入力ができる便利な会計ソフトとはいっても、仮に確定申告の時期になってから1年分をまとめて入力するのは骨が折れます。場合によっては経費の用途を覚えていなかったり、領収書を紛失したりと、正しく帳簿付けが行えない可能性も。
できれば週に1回程度、もしくは動きがある度にこまめに帳簿付けを行うのがおすすめです。少なくとも月に1回は行うようにしましょう。
確定申告を青色申告で行うことで、大きな節税効果が見込めます。確定申告には白色申告と青色申告があり、後者のほうが節税効果が大きく、10万円〜65万円の控除を受けることができるものです。
白色申告は、控除される金額がない代わりに申告が簡単に行えます。必要な書類も最低限でいいため、準備から手続きまですぐに完了するのがメリットです。ただし、10万円〜65万円の控除枠がないことを考えると、おすすめはできません。
青色申告は、確定申告時に提出する書類や保存しておくべき帳簿が多かったり、控除を受けられる条件が設けられていたりと、やや準備も手続きも複雑です。
とはいえ、確定申告をする年の3月15日までに「青色申告承認申請書」と「開業届」を提出し、会計ソフトを利用して毎月の収支等を管理していればさほど手間はかかりません。会計ソフトが勝手に書類を作ってくれるので、感覚的に進めていけば確定申告ができます。
最大で65万円の控除が受けられるとかなりの節税につながるので、必ず青色申告で行うようにしましょう。
フリーランスと一口にいっても、さまざまなパターンによって確定申告の必要有無は変わることがわかりました。基本的にはフリーランスなら所得が48万円以上の人は全員確定申告が必要です。
確定申告が必要のないフリーランスであっても、あえて確定申告をしたほうがいいケースも複数あります。その年の利益を確認する機会にもなるため、対象外であっても確定申告をしておくといいでしょう。確定申告を行う場合は、漏れや虚偽のないよう気をつけてください。