MONEY
2022.02.01
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「これから個人事業主になろうとしているけど、健康保険って入らなければいけないの」、「個人事業主が加入しなければならない健康保険には何があるの」などとお悩みではありませんか。
日本の健康保険制度は「国民皆保険」とも呼ばれ、必ず加入しなければならないものですが、どの制度に入るかは個人事業主に選ぶ権利があります。
そこで本記事では、個人事業主が選択できる4つの健康保険のそれぞれの概要や、健康保険料の計算方法、個人事業主と健康保険にまつわるいくつかの疑問などについてご説明します。
目次
健康保険は日本国民全員が加入しなければならないため、個人事業主も例外ではありません。ただし、個人事業主の場合、会社員とは違い自分で入る保険を選ばなければならず、手続きも自分でやる必要があります。また、会社を辞めてからすぐに手続きをしなければならない保険もあります。知らないまま個人事業主になると入りたかった保険制度に入れなくなることもありますので、ぜひ本項で保険の種類や概要を把握してみてください。
会社員や公務員以外の方は、基本的には国民健康保険に加入することになっています。国民健康保険とは、国や自治体に保険料を支払うことで、国民が病気やケガになったときに医療行為を受ける費用の一部を国が負担する制ふ度です。負担割合は0歳から義務教育就学前の児童であれば2割、義務教育修学〜69歳までは3割負担です。
国民健康保険料の滞納がずっと続く場合、保険から負担してもらえなくなり、10割負担で支払うことになるケースもあります。
また、多くの手術は保険適用が可能ですが、最先端の医療行為などの一部の医療行為は保険が適用できず全額負担になることもあります。
原則としては、会社を辞めた日から14日以内にお住まいの自治体の窓口で国民健康保険に申し込む必要があります。
個人事業主は原則として国民健康保険に加入することになりますが、それ以外にも健康保険の任意継続という手段があります。任意継続とはその名の通り、会社員時代に加入していた健康保険に加入し続けられる制度です。ただし、任意継続に加入できるのは、会社を辞めてから2年間までです。
会社員時代に加入していた健康保険に加入し続けると、国民健康保険料よりも健康保険料が安くなるケースもあります。ただし、会社員時代は会社と折半で支払っていた国民健康保険料をすべて自分一人で支払わなければならないので、会社員時代よりも多くの保険料を支払うことになります。
国民健康保険料の計算方法は各地方自治体によって異なり、最終的な保険料の金額は地域ごとに変わります。
国民健康保険にも任意継続にも入らない第三の選択肢として、国民健康保険組合があります。国民健康保険組合とは、職業や地域ごとに組成される健康保険組合で、特定条件に合致している方のみが加入できる健康保険制度です。国民健康保険組合の保険料の多くは、他の健康保険の保険料よりも安くなっているため、加入できる方は加入しておいた方がお得です。
例えば、文芸やアートに関わっていて条件が合致する方が入れる「文芸美術国民健康保険組合」があります。通称「文美」と呼ばれていて、保険料は組合員一人当たり21,110円と、多くの方の国民健康保険料よりも安い水準に設定されています。
国民健康保険組合には他にも「東京技芸国民健康保険組合」や、「全国土木建築国民健康保険組合」など様々なものがあります。
会社員時代にも扶養に入る選択肢はありましたが、個人事業主であっても扶養に入ることも可能です。ただし、個人事業主で配偶者の扶養に入る場合は、収入の面で加入要件があります。
被扶養者になるには、扶養者と同一世帯に属している場合と属していない場合とで条件が異なります。被扶養者が扶養者と同一世帯に属している場合、年収が130万円未満で、なおかつ被保険者の年収の半分未満だと原則として被扶養者になることが可能です。個人事業主となる方が被保険者の年収の半分以上であっても、場合によっては扶養に入ることが可能です。
同一世帯に属していない場合では、個人事業主となる方の年収が130万円未満で、なおかつ援助の金額が個人事業主となる方の年収よりも少ない場合には扶養に入ることができます。
会社員時代と同様に、個人事業主の方も当然健康保険証を保有することができます。健康保険に加入していることを証明するには、健康保険証を提出しなければなりません。医療機関で保険を適用させるためには健康保険証の提出が必須となります。
例として、国民健康保険証のもらい方をご説明します。会社員の方が個人事業主になる場合、会社を辞めた日から14日以内に国民健康保険に申し込まなければなりません。国民健康保険に加入するにはお住まいの市町村役場の窓口で手続きをする必要があります。国民健康保険の申し込みが完了すると、国民健康保険証が自宅に送られてきます。
もし、国民健康保険が自宅に届くまでに医療機関で医療行為を受ける予定があれば、地方自治体の役所で健康保険証の代わりになる証明書を発行してくれます。健康保険証がなければ病院で全額負担で請求されてしまいますので、医療行為を受ける予定がある方は必ず申し込んでおきましょう。
個人事業主の方の健康保険料はいくらかかるのでしょうか。上述した4つの健康保険制度はそれぞれ計算方法が異なるため、計算方法を一つずつご説明します。特に、国民健康保険料と会社の健康保険組合の任意継続については計算方法を知っておいた方が良いでしょう。
個人事業主になったタイミングでどちらの方が自分にとってお得なのかを判断できれば、余計な健康保険料を支払わなくて済むためです。
国民健康保険料の計算方法をご説明します。国民健康保険料の計算はお住まいの市町村ごとに異なりますが、原則として同じ考え方を使います。そのため、考え方の基本を理解すれば、あとはそれぞれの市町村の計算方法を理解すれば良いだけです。
呼び方は地域ごとに異なることもありますが、国民健康保険料は「医療分」、「後期高齢者支援金分」、「介護分」のそれぞれ3つの費目を足し合わせた金額になります。ちなみに、「介護分」と呼ばれているのはいわゆる介護保険料なので、40歳未満の方は支払う必要がありません。
また、「医療分」、「後期高齢者支援金分」、「介護分」それぞれに対して「所得割」、「均等割」、「平等割」がかかったり、かからなかったりします。特に「平等割」は多くの市町村が採用していない費目です。
抽象的なことばかりではわからないと思うので、東京都江戸川区に住む35歳男性年収(総所得)450万円単身世帯の例で考えてみます。東京都江戸川区では、「医療分」、「後期高齢者支援金分」のそれぞれが「所得割」と「均等割」の合算金額で決まります。
「所得割」の金額は前年度の総所得から、基礎控除額43万円を引いた金額である「賦課所得」を基準に考えます。江戸川区の「医療分」は「賦課所得 × 7.67% 」(所得割) + 「42,000円 × 加入者数」(均等割)で計算されます。総所得から基礎控除金額43万円を引いた407万円で計算することになるので、「407万円 × 7.67%」+「42,000円 × 1」 = 312,169円 + 42,000円 = 354,169円です。
「後期高齢者支援金分」の計算は「賦課所得 × 2.43% 」(所得割) + 「13,500円 × 加入者数」(均等割)なので、賦課所得が407万円の場合、「407万円 × 2.43% 」 + 「13,500円 × 1」 = 98,901円 + 13,500円 = 112,401円です。
この35歳男性の国民健康保険料は、354,169円 + 112,401円 = 466,570円になります。月額は38,881円です。
このように、所得割や均等割などを足し合わせることで国民健康保険料を算出できます。お住まいの自治体によって料率は異なるので、正しい算出方法は自治体のホームページをご覧ください。
任意継続の健康保険料は、個人事業主になる前に勤めていた会社で加入していた健康保険料の金額になります。ただし、会社勤め自体は会社と折半で支払っていた保険料は、全額自己負担になります。
健康保険料の計算は「標準報酬月額」と「標準賞与額」に保険料率を掛け合わせて割り出されます。「標準報酬月額」は月給で、「標準賞与額」は平均的なボーナスの金額だと思ってください。
例を出して計算してみます。例えば、年収が500万円の男性のケースを考えてみましょう。「標準報酬月額」が35万円、賞与が年間1回の支給のみで「標準賞与額」が80万円だとしましょう。また、保険料率は合計で10%で、従業員が5%、会社が5%の負担割合の健康保険組合だとします。
このとき、従業員が毎月支払う健康保険料は「35万円 × 5%」 = 17,500円でした。しかし、個人事業主になると会社が折半してくれていた5%分が上乗せされるので2倍の35,000円になります。なお、任意継続の場合、賞与額に対して支払う健康保険料はないので割愛します。
任意継続の場合、退職時の「標準報酬月額」と、組合内の平均の「標準報酬月額」とを比較して、低い方の金額に対して保険料率を掛け合わせた金額が毎月の保険料になります。例えば退職時の「標準報酬月額」が35万円で、組合の平均の金額よりも低かった場合、毎月35,000円の保険料を支払うことになります。人によっては国民健康保険料よりも安くなりそうなことがおわかりいただけたのではないでしょうか。
国民健康保険組合の保険料は計算する必要がありません。それぞれご自身が加入することになる国民健康保険組合のホームページや案内をご覧になれば、すぐにわかります。計算が必要ないことも多いので、簡単です。国民健康保険料や健康保険の任意継続に比べて明らかに安いケースも多いでしょう。
例えば、「東京理容国民健康保険組合」を見てみましょう。「東京理容国民健康保険組合」の保険料は40歳未満の事業主の方であれば月額14,700円です。また、従業員の方であればわずか月額9,400円で済みます。国民健康保険料ではここまで安くなることはないので、東京都内で理容に携わるお仕事をされている個人事業主の方であれば加入する価値はあるでしょう。
このように、特定の職業を営んでいる方は国民健康保険組合に加入した方が安くなるケースも多いので、個人事業主になる前にご自身の職業で加入できるものがないか調べてみると良いでしょう。
扶養に入る場合、被保険者である配偶者の方などが保険料をあなたの代わりに支払ってくれるため、あなた自身は保険料を支払う必要はありません。つまり無料です。ですから、扶養に入れるのであれば、入らない手はありません。
健康保険には扶養制度があるとご説明してきましたが、残念ながら、配偶者や子供を扶養する人自身が会社員などが加入する健康保険組合を脱退して国民健康保険に加入した場合、その被保険者の配偶者や子供を扶養に入れることはできなくなります。つまり、一家の大黒柱が個人事業主になった場合、配偶者や子供もまた国民健康保険に加入しなければならないのです。つまり、配偶者や子供がいる方の場合、自身だけでなくそれらの被扶養者の分の国民健康保険の加入手続きも一緒に済ませる必要があります。
会社員時代は健康保険組合に入っていれば配偶者と子供の保険料は支払わなくて済んだことを考えれば、国民健康保険の方が割高に感じます。ただし、配偶者や子供に所得がない場合にはその限りではないので、あくまで実際に計算をしてみて考えてみましょう。
国民健康保険料は特別な理由があれば支払いを免除したり、減らしたりすることができる場合があります。例えば、失業や病気で働けなくなったなどの理由で収入が激減してしまった場合に、所得金額の減少幅や元々あった収入額などに応じて国民健康保険料の減免ができるケースがあります。減免率についてはそれぞれの地方自治体が設定しているものによりますので、ご自身の自治体のホームページでお調べください。
また、地震や津波などの天災によって住宅などが被害を被って損害金額が一定の条件を満たしたようなケースでも国民健康保険料の減免を適用できるケースがあります。どのような天災で適用されるか、減免率はどのくらいになるかなどは、それぞれの地方自治体によって異なります。また、生活保護の扶助が開始された場合には、国民健康保険料の負担が免除されます。
2020年には、世界的に大流行を見せた新型コロナウイルスの被害を受けた方を対象にして国民健康保険料が減免される制度が一時的に創設されました。直接コロナウイルスに罹患する被害を受けたケースだけでなく、コロナウイルスの流行を防ぐために緊急事態宣言などで店舗の営業時間を短縮したことによって所得が減少したケースなども対象になっていました。
これからも同じような天災やパンデミックがあった際に、今回のように国民健康保険料の減免制度が施行される可能性は高いでしょう。あくまで、自分の責任ではなく社会全体に所得減少などの原因がある、という点がポイントのようです。
支払った国民健康保険料は、全額「社会保険料控除」として計上し、節税できます。そもそも「節税」とは何かわからない方もいるかと思うので、本項でご説明します。
個人事業主が本業で稼ぐ収入は「事業所得」と呼ばれますが、「事業所得」の金額そのものに対して税金が課税されるわけではありません。まず、「事業所得」から差し引かれるのが「経費」です。本業と関係している費用であれば、「経費」として計上できます。
例えば、あなたが事務所兼家として家を利用しているとします。この場合、事務所兼家となっている物件の賃貸費用や水道光熱費などを事業で使っている分と、家(プライベート)で使っている分との割合を算出して、事業に使っている分だけを「経費」として計上可能です。他にも、事業で使う車の費用や取引先との商談の際に使った飲食代などの交際費など、「本業に関係している」と主張できる費用であれば「経費」にできます。「経費」を増やすほど最終的に課税計算の元になる「課税所得」が減り、手元に残るお金が増えます。
また、「経費」以外に「事業所得」から差し引かれる金額には、「控除」があります。「控除」の金額を増やすことで最終的に課税額を計算する元の金額となる「課税所得」を減らすことができ、手元に残るお金を増やせます。この「控除」の中の一つに「社会保険料控除」があり、国民健康保険料も「社会保険料控除」として計上でき、節税になります。
以上、個人事業主が知っておくべき健康保険の情報についてご説明しました。
健康保険は国が全員に加入することを定めている社会保険制度なので、いずれかの制度に必ず加入しなければなりませんでした。会社員を辞めてから選択できる社会保険制度には、以下の4つがあります。
多くの方が国民健康保険に加入することになりますが、人によっては任意継続や国民健康保険組合に加入する方が保険料が安くなる可能性があります。ただし、会社時代の健康保険を任意継続する場合、会社員時代は会社と折半だった保険料をすべて自分で支払わなければならなくなるので、以前よりも金額は大きくなります。
会社員時代の健康保険と国民健康保険で大きく違うのは、配偶者や子供を扶養に入れることができない点です。配偶者や子供も国民健康保険に加入しなければならないのでご注意ください。